祝!ノミネート
「悠斗、来てるぞ」
「何が?」
「メール。“星の声”、新人賞ノミネートだってよ」
「……は?」
◇◇
星乃悠斗先生
このたび、貴作『星の声』が弊社主催のライトノベル新人賞にノミネートされました。
つきましては、受賞候補者としてのインタビューおよびプロフィール掲載のご協力をお願い申し上げます。
※なお、作品の真摯なテーマ性と静謐な文体が高く評価されております。
編集部より
◇◇
「……静謐な文体って、俺、普段“追放されたけど実は最強”しか書いてないんだけど……」
「バレたら終わるな」
「終わるな」
奧昌は即座に“キャラ作り”を始めた。
プロフィール写真は、眼鏡+白シャツ+文庫本を持たせて撮影
インタビュー用の回答はすべて「読者の心に静かに届く物語を目指しました」
SNSの過去投稿をすべて非公開に(「あとがき3分割」とかが残ってるため)
「これで“真面目作家”として完璧だ」
「……俺、誰なんだろうな」
◇インタビュー記事(奧昌代筆)
――本作『星の声』は、非常に静かな物語でした。なぜこのような作風に?
星乃:日常の中にある“ささやかな奇跡”を描きたかったんです。
――普段はどんな作品を?
星乃:静かなものを……(優雅にアールグレイを啜る)
「……これ、バレたら炎上するやつだよな?」
「バレなきゃ伝説になる」
◇◇◇
そして、授賞式当日。
会場に飾られる『星の声』のパネル
司会「では、次の候補者は――“星乃悠斗”先生です!」
スクリーンに映る、過去作『【完結済】異世界で目覚めたら俺だけスキルが“無限編集”だった件』
「バレたあああああああああああああ!!!!しかもAIが書いて炎上して消したやつ‥…」
◇
星乃:えー……創作とは、幅広い表現の可能性を探る旅でありまして……
奧昌(小声):“ギャップ萌え”ってことで押し切れ