129/131
幕間2 芋女
赤い髪を肩まで垂らした少女……真アイリスは、絶望に打ちひしがれていた。
「ねぇ、レオン……私ってそんな芋女に見える?」
ことの発端は、再結成したアイリス達『聖光の剣』が止まった宿にて女将さんから頂いた一言だ。アイリスの綺麗な赤髪を見た途端顔を顰めて、「あんたみたいな芋娘が泊まる場所はないよ」と言われたのだ。なんとかその場はレオンが収めてくれたが、アイリスの怒りは収まることを知らなかった。
アイリスのボディは、アイリス本人が作った人形である。——それも、自身の性癖を完全に詰め込んだお気に入りなのだ。それを芋女などと……。思い出すだけでも腑が煮え繰り返る。レオンが仲裁に入らなかったら今頃スッキリしていたのに。流石に人目を憚って殺しはしなかっただろうが、死ぬより酷い目に合わせてやったに違いない。今のアイリスの容姿は、自分の推しと同義なのだ。推しを芋女などと揶揄するものは、万死に値する。




