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種明かし
——マーサは気づかなかったのだろうか。ルーファスが魔物を自分で殺したことは一度もなかったということに。
この接近を許したのは情報伝達の怠慢だ。
ルーファスが傷ひとつなく復活した時に驚きもせず、偽物の可能性も疑わなかった理由。それは、ルーファスと今世の俺があの施設出自だからだ。
俺たちは世界と一部だけ重なり合って存在している。
俺の場合はスライムだ。スライムしか倒せない代わりに、スライム以外からの攻撃は無かったことになる。
そういう実験だったのだ。
——ルーファスの場合は、人間だった。




