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そして
キノコのお腹の火傷痕が、まるで刻印のように輝き始める。それは、かつて私が犯した罪の証。義父を封印するために使った術式の痕跡だった。
「逃げるだけじゃ、贖えない……」
ユウトの声は、静かだが確かな決意に満ちていた。
私は頷いた。逃げ延びることは、贖罪の第一歩に過ぎない。だが、今ここで命を落とせば、すべてが無意味になる。義父を復活させること——それは、私たち二人が背負うべき運命だった。
そして、森の奥から、微かな鼓動のような音が聞こえてきた。それは、封印が揺らぎ始めた兆し。魔王——恒夫——が、再び目覚めようとしている。
「行こう、ユウト。すべてを終わらせるために。」
二人は、森の闇へと歩みを進めた。罪と記憶と運命を背負いながら——。




