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轍
魔王を、義父を、復活させなければならない。自分が施した封印を解いて。
溢れ出る後悔は何の意味も持たない。唯一できるのは、贖罪だ。義父の復活を成して、生き続けること。
そのために、逃げ延びなければならない。この戦場から。こんなところで死ぬわけには行かないのだ。
決意を固めた時。ふと、キノコのお腹に火傷の痕が見えた。海馬が刺激され、私の犯したもう一つの罪が脳内にフラッシュバックする。
「お兄ちゃん……?」
それと同時に、ユウトもまた震える声を絞り出していた。
「恒夫叔父さん……?」
——3つの世界を跨いだ二人の運命が、ようやく結びつきそうになっていた。




