謝罪…
ある日、星乃悠斗のスマホに一本の電話が入った。
「……編集部のアネゴからだ」
「出ろよ」
「いや、絶対怒られるやつだろこれ……」
「出ろ。“逃げるは恥だが、PVは伸びる”って言うだろ?」
「言わねえよ!!」
◇◇
「星乃先生、少しお時間よろしいでしょうか」
「はい……(終わった…)」
「“完結済み”と記載されていた作品が、未完のまま更新が止まっておりますが……」
「あ、それは……あの……構想中でして……」
「さらに、“饒舌太陽先生も絶賛”とありますが、こちら実在しない作家のようですね?」
「……ッ」
「あと、“あとがき3分割”はさすがにやりすぎではと社内でも話題に……」
「(全部バレてる……!!)」
◇◇
「悠斗、落ち着け。これは想定内だ」
「どこがだよ!?完全に詰んでるだろ!!」
「いや、まだ手はある。“謝罪回”だ」
「謝罪回……?」
「そう。“謝罪回”はPVが伸びる。“炎上後の誠意”は、最高のコンテンツなんだよ」
「お前、もう人間やめてない?」
謝罪回タイトル案(奧昌作)
『【お詫び】このたびの件について、作者からご報告があります』
『【重要】完結済みと記載した件についてのご説明』
『【真実】神代レイ先生は実在しませんでした』
「これで“謝罪PV”を稼ぎつつ、次回作の宣伝につなげる」
「……お前、炎上マーケティングの鬼かよ」
公開後…
「やっぱり完結してなかったのかw」
「でも正直に謝ってるのは好感持てる」
「饒舌太陽先生、好きだったのに……(涙)」
「……なんか、逆にファン増えてない?」
「だろ?“やらかし”は、正しく燃やせば“伝説”になる」
「タダシクモヤセバ……?一応俺アネゴにシバかれたぞ…?」