"あの人"の名前 ♯“これは、今年一番泣いた”──饒舌太陽(※個人の感想です)
「悠斗、タイトルに“あの人の名前”入れようぜ」
「……あの人って?」
「“〇〇先生も絶賛!”ってやつ。実際に絶賛してなくても、してそうな雰囲気出せば勝ち」
「いや、それ完全にアウトじゃん!」
「大丈夫。“〇〇”を“架空の人気作家”にすればいい」
「……それ、逆にタチ悪くない?」
◇◇
奧昌の作戦
架空の人気作家「御手洗ダンゴ」や「万万森アポロ」、「饒舌太陽」などをでっち上げる
「〇〇先生も絶賛!」とタイトルに入れる
読者は「誰?」と思いつつも、“すごそう”な雰囲気に釣られる
◇◇
「“饒舌太陽”は“泣ける系の巨匠”って設定でいこう」
「設定って何だよ……」
タイトル案(奧昌作)
『【御手洗ダンゴ先生も絶賛】異世界で出会った、たった一つの涙』
『【万万森アポロ推薦】追放された私が、世界を救うまでの話』
『“これは、今年一番泣いた”──饒舌太陽(※個人の感想です)』
「最後のやつ、注釈で逃げてるのが逆にリアルだな……」
「リアルさが大事。“嘘っぽい本当”が一番強い」
——公開後。
「御手洗ダンゴって誰?でもタイトルに惹かれて読んだ」
「万万森アポロって検索しても出てこないんだけど!?」
「内容は普通に面白かったから許す」
「……なんか、読者の方が寛容になってきてない?」
「それが“ブランド効果”ってやつだ。“名前”が先に立てば、中身は後からついてくる」
「……お前、もう出版社立ち上げろ」