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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

劫初の鬼

作者: A-10

ひねくれた性格の青年・天野は、人が嫌がる仕事ばかりしている。

様々な実験台になるという危険なものだ。

それが出来るのも特異体質のおかげで、普通の人間と同じ細胞や体をしているが、死んだとしてもすぐに生き返るのだ。

それは自分の意思で行える。

・ ・ ・(時折、ある男が人を多く殺す夢をみる…)


そんな毎日をおくっていた彼を訪ねて来た一人の美女。

彼女は陰ながら天野を見守っていた。

しかし今回、姿を現したのには理由があった。

「あなたを保護しに来ました」

突然、あやしい男たちに襲われる。

彼女は天野を連れて逃げ切ることに成功する。

到着した施設にはとても変わった人間がいた。

マッドな科学者

イケメンの殺人快楽者

感受性の強すぎる美少女

子供みたいに無邪気なナイスバディ美女

感情が欠落しまくった天才少年

変態思考が神レベルの男

羊の皮を被ったエリート警察官


・ ・ ・(時折、地獄で拷問を受けている、ある男の夢をみる…)


天野を襲ったのは世界的に有名な製薬会社で、彼を永久的な人間モルモットにするために狙っていた。

助けてくれた女と組織によって守られていたが、彼一人を守るために多くの被害が出てしまう。

このひねくれた男一人を守って何の意味があるんだと、内部もバラバラになってくる。

そして、とうとう敵の組織力の大きさに屈することになり、天野は見放される。

しかし、施設で親しくなった変わった友人たちは天野を見放さなかった。

組織は天野を多額の金で相手に売りわたすことを決定する。

味方だった者が敵になり、逃げることが困難になって来た。

それでも仲間達は最後まで戦ってくれた。

……なぜ、親密でもない天野の為に命をかけたのか。

施設にも闇があり、問題があった。

天野と自分自身を重ねた者もいたのだろう。


人とは違う。変わっているだけで、ひどい目にあう。本当の意味での…自由が欲しい。


しかし、一人また一人と死亡する。

死の間際の彼らの表情は……様々だった。


安堵・涙・恐怖・快楽・無・希望・理解


彼らは……己のために戦い、自分自身と戦ったのだ。


・ ・ ・(時折、血の海から姿を現した男が、鬼に変わる夢をみる…)


そしてとうとう天野は一人になってしまう。

癖があったが初めて出来た友人たち。

天野は思った。

一人孤独だったあの生活が幸せだったのだと。

だが、今まで感じたことのない感情を知ることが出来た。

それは彼らのおかげだ。

自分の為に死んでしまった彼らの為にも、限界まで逃げることを決意する。

日本の田舎を渡り歩く。

一人で行動していて初めて感じる孤独。

今までなんとも思っていなかった孤独が…………つらい。

そして、徐々に精神を汚染していく。

眠れば悪夢に苛まれ、起きていれば心が苦しい。

厳しい精神実験をこなしてきた自分だとは思えない。

天野は恐怖する。

精神的に追い詰められた天野は、何度も死のうとする。

しかし、その体は…死を受け入れてはくれない。

何度も生き返ってしまう。

考えられる死に方をいくつも試したが、駄目だった。


・ ・ ・(時折、永い年月を拷問にあった鬼が、ついに果てる夢をみる…)


倒れている天野を介抱してくれた家族がいる。

その優しさや温もりにふれ、落ち着いてくる。

家族の中に、とても愛らしい幼い少女がいた。

彼女と遊んでいる時だった。

少女は天野に一輪の花を差し出す。

それを…笑顔で受け取る天野。

今までこんな自然に笑顔が出たことなどなかった。

受け取った時だった。

頭の中に、“シャラン”…という鈴の音のようなものが響く。

そして……

その場に倒れる天野。

彼は……、二度と……動かなかった。

花を受け取った天野は……

“天の邪鬼”であり、“天の邪鬼”

では…なくなっていた。

ーーー彼の…罰は終わったのだ……。

最期…、彼は……、

邪悪な鬼ではなくなったため、天に召されたのだった。

もしも、あの時……

花を受け取らなかったら、彼の罰は…

続いたのかもしれない……。

・・・・・・・・・

天野は大変重い殺人などを繰り返してきた男で、ついには……邪悪な鬼となる。

死んだ後も地獄をさまよい、やがて人間界に転生する。

そこでも彼は罪を償うため、生かされた。

少しずつ心が豊かになった鬼を、天は許した。

少女は……神の使いだった。

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