人生を悲観的に見ていた僕と余命半年の彼女の恋物語*短編集収録予定
永遠の初恋~髙橋勇太編~
ふと目が覚めると、
そこは見慣れた僕の部屋ではなく、
無機質な音が流れている病室だった。
僕の名前は髙橋勇太。明日で高校3年生になる。そして来年卒業する”はず”だ。なぜ”はず”なのかというと、僕は肝臓がんのステージ1にかかっている。学校に行って卒業できるか分からないのだ。家族は気丈にふるまってくれているが、僕の気持ちはまさにどんぞこだった。そのため僕は家族にきつく当たってしまう。この前だって、旅行に行こうと言われたのに、ひどい言い方で断ってしまった。高校2年間で好きな人もいなかったし、運動会だって学級閉鎖で二回ともなかったし、文化祭は、、、記憶にない。僕は青春という人生の中で最も幸せにみんなが過ごす時期を過ごしていないに等しいのだ。悲しすぎる。むなしすぎる。
今日は入院してから1か月。外出許可が下りたので、久しぶりにてんぷらを食べに行った。久々に食べたあぶら物はうまいの一言に尽きた。衣がサクサクで、エビなんてぷりぷり過ぎてこんなに天ぷらってうまかったっけと思うほど食べてしまった。翌日。案の定、胃もたれ。ベットから出たくない。どうせベットの中にいるだけの一日なのだ。しかし、今日はたのしみがある。隣の部屋の文子さんと会えるのだ。文子さんは僕と同い年で、病気の名前は知らないが、余命宣告されている。余命はあと半年。彼女と話していると、地獄のような日々の中に光明が差してくるのだ。そして僕は、文子さんのことを好いている。理由は、僕と違って余命宣告されているのに明るく笑っていられる強さ。そして共通の趣味である写真撮影だ。僕は森の中の鳥など、自然の中にある自然のものをとることが好きで、彼女は都会の中にある自然のものが好きなそうで、間反対だけど意外と話が合う。「この角度からとるとかわいい」とか、「このビルとこの花が対照的で美しい」など、第三者から見たらドン引きされるような会話をしている。でもその時間が一番楽しい。文子さんの病室に行くと、文子さんは色鉛筆を使って、彼女の撮った「野鳥とビル」という写真を絵にしていた。
「おはよ〜」
「お、勇太じゃん!どぉどぉ?きれいじゃない?」
「すごいやん!やっぱ文子には敵わねぇわ、」
「なにいってんのw」
なぁんて他愛もない話して、一緒に談話室でお茶を飲む。それが僕たち二人の日常だ。
そんな中、文子さんからある秘密を打ち明けられた。実は昔、付き合っていたが病気で迷惑をかけたくないと別れた元カレ。文子さんは振り方がひどく、元カレを傷つけたのでは、と心配していたらしい。学校名を聞いてみると、僕と同じ高校だったので、話してみることにした。
翌日、見舞いに来てくれた親友に文子さんの元カレの話をすると、連絡先を教えてくれた。事情を伝えると、明後日ならこれるという事なので、文子さんには秘密にしておくことにした。2日後、元カレさんがやってきた。脚長くて、顔小さくて、モデルかよ、とは言わなかったが、実際僕と並ぶと背の差がすごかった。名前は夏斗というそうで、僕に感謝してくれた。5階の文子さんの病室に行くと、2人とも目を見開き、どちらともなく涙を流し始めた。僕はどうしたらいいのかわからず帰ろうとすると、「ちょっと待って」「ちょっ待ってて」と二人から言われ、仕方なく部屋の隅でパズルゲームをやっていた。30分くらい経ったろうか、そろそろ帰ろうと声をかけ、連れ出した。夏斗さんは泣いていた。声は出さないが、座ったベンチの下に水たまりが出来ていた。きっとそれは今まで会いに来なかった自分への卑下と悔しさと、会えてよかったという安堵が含まれていたのではと思う。病院への帰りのバスの中で僕は自分の行いを反省し、メールでだけど両親に謝った。自分だけでなく、両親もつらいのだとやっとわかったのだ。
その後、僕は文子さんと連絡先を交換し、メールを毎日するようになった。
文子さんからの最初のメールはなぜかレポート形式でメールに慣れてないのかななんて思った。
7/29 天気:晴れ体調:まあまあ
今日は、夏斗がまた来てくれました。2人でいろんな話をしました。前よりも絵もうまく なり、頭もよくなっていて、絵しりとりしていても楽しかったです。いつ勇太は来るの?
ん~、夏休みの課題が多くて、なかなか終わんなくてね、辛い、、、てかさ、なんでレ ポート形式なの?もっとあっけらかんでいいよ??
OK!そんな感じにしてみる!夏休みの課題か~私はないんで!頑張ってね!
うわ、うわ、よくない(笑)まあでも頑張るよ!また明日ね!
また明日~
ざっとこんな感じだ。メールの内容は恋人っぽいかな?なんて思える。メールだと現実では耳たぶが真っ赤になって言えないようなことも言えるので、ある意味いいかもしれない。
2週間後、僕が文子さんの病室へ行くと、誰もおらず、文子さんが静かに寝ていた。僕は起こさないようにそっと黄色のマリーゴールドを花瓶の中に活け、そっと立ち去った。そんな日々が続いた。1週間後、メールが来なくなったので心配して文子さんの病室に行くと、布団はきれいにたたまれ、写真を入れたファイルや文子さんのスケッチブックなどがなくなっていた。間に合わなかったのか、、と思い、自分を責めていると、「あぁ、いたいた~」と聞きなれた声がして、振り返ってみると、文子さんだった。
「ごめんね~実は引っ越したのよ」
なんだ、心配した、よかった、気持ちが涙となって出てくる。
「どうした?勇太、痛い?」
こんな時でも文子さんは僕の心配をしてくれる。なんて優しいんだ。
「いや、安心しちゃって、」
「も~男なんだから、ほら、泣かない泣かない」
文子さんは天使だ。間違いなく僕の暗い人生の中で唯一の光がさす存在、一緒にいて時間を忘れられる存在だ。その日、僕たちは談話室でいつもの10倍はしゃべった。病室に移っても話し続け、文子さんがしゃべり疲れて寝た頃、僕は家に帰るため、バスに乗った。
そして家に帰る途中、乗っていたバスが乗用車に追突され、炎上、爆発。僕の意識は宙を舞いながら、文子さんの幸せを願った。
永遠の初恋~山口文子編~
家族で仲良くご飯を食べ、談笑している。
しかし突然目の前がブラックアウトした。
ふと目が覚めると、そこは見慣れた家ではなく、無機質な音が流れている病室だった。
私の名前は山口文子。明日で高校3年生になる。そして来年卒業する”はず”だ。なぜ”はず”なのかというと、私は心臓病にかかっている。学校に行って卒業できるか分からないのだ。家族は気丈にふるまってくれているが、私の気持ちはまさにどんぞこだった。そのためどうしても家族やほかの人にきつく当たってしまう。この前だって、病気のことで心配されたくなくて、彼氏の夏斗をひどい言い方でフってしまった。高校2年間で好きな人は夏斗しかいなかったし、運動会だって2回とも優勝できなかったし、文化祭は病院にいたので参加できていない。私は青春という人生の中で最も幸せにみんなが過ごす時期を過ごしていないに等しいのだ。悲しすぎる。むなしすぎる。
今日は入院してから1年半。外出許可が下りたので、久しぶりにお寿司を食べに行った。久々に食べたお寿司はおいしすぎた。今までにこんなに食べたことないと思うほど食べてしまった。翌日。ベットから出たくない。どうせベットの中にいるだけの一日なのだ。しかし、今日はたのしみがある。隣の部屋の勇太君と会えるのだ。勇太君は私と同い年で、病気の名前は知らないが、1か月前から入院している。彼と話していると、地獄のような日々の中に光明が差してくるのだ。そして私は、勇太君のことを好いている。理由は、私と違って明るく笑っていられる強さ。そして共通の趣味である写真撮影だ。私は彼女は都会の中にある自然のものが好きで、彼は森の中の鳥など、自然の中にある自然のものをとることが好きで、間反対だけど意外と話が合う。「この角度からとるとかわいい」とか、「このビルとこの花が対照的で美しい」など、第三者から見たらドン引きされるような会話をしている。でもその時間が一番楽しい。そんなことを思い返していたら、彼が私の病室にきた。ちょうど私はは色鉛筆を使って、私の撮った「野鳥とビル」という写真を絵にしていた。
「おはよ〜」
「お、勇太じゃん!どぉどぉ?きれいじゃない?」
「すごいやん!やっぱ文子には敵わねぇわ、」
「なにいってんのw」
なぁんて他愛もない話して、一緒に談話室でお茶を飲む。それが私たち二人の日常だ。
そんな中、私はある秘密を打ち明けた。実は昔、付き合っていたが病気で迷惑をかけたくないと別れた元カレ。私の振り方がひどく、元カレを傷つけたのでは、と心配していること。○○学校にいることを話してみた。 3日後、夏斗がやってきた。勇太君と並ぶと背の差がすごかった。私は声を出し、夏斗は目を見開き、どちらともなく涙を流し始めた。勇太君が帰ろうとしていたので、「ちょっと待って」と引き留めると、夏斗も引き留めていた。2人から言われ、仕方なく部屋の隅でパズルゲームをやっていた勇太君は子供みたいだった。30分くらいずっと話していたら、勇太君が夏斗にそろそろ帰ろうと声をかけ、連れ出した。夏斗は泣いていた。
その後、私は勇太君と連絡先を交換し、メールを毎日するようになった。
メールに慣れてないのでどうやって打ったらいいのかわからず、適当に打った。
7/29 天気:晴れ体調:まあまあ
今日は、夏斗がまた来てくれました。2人でいろんな話をしました。前よりも絵もうまくなり、頭もよくなっていて、絵しりとりしていても楽しかったです。いつ勇太は来るの?
ん~、夏休みの課題が多くて、なかなか終わんなくてね、辛い、、、てかさ、なんでレ ポート形式なの?もっとあっけらかんでいいよ??
OK!そんな感じにしてみる!夏休みの課題か~私はないんで!頑張ってね!
うわ、うわ、よくない(笑)まあでも頑張るよ!また明日ね!
また明日~
ざっとこんな感じだ。メールの内容は恋人っぽいかな?なんて思える。
2週間後、勇太君が病室へ来てくれたらしい。起こさないようにそっと黄色のマリーゴールドを花瓶の中に活け、そっと立ち去ったのだろう。1週間後、向かいの病室に入ってうつむいている勇太君がいたので、「あぁ、いたいた~」と声をかけた。振り返った顔をみると、目が真っ赤だった。
「ごめんね~実は引っ越したのよ」
勇太君は涙を出している。
「どうした?勇太、痛い?」
なんか悪いことしたかな、
「いや、安心しちゃって、」
安心した。ピュアすぎてかわいかった。
「も~男なんだから、ほら、泣かない泣かない」
勇太君は私の暗い人生の中で唯一の光がさす存在、一緒にいて時間を忘れられる存在だ。その日、私たちは談話室でいつもの10倍はしゃべった。失った日々を取り戻すように。病室に移っても話し続け、私はいつのまにか寝ていて、起きたら勇太君はいなかった。
そのまま私はふわふわ浮いているような感覚に襲われ、
そのまま再び眠りについた
「面白い!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!
していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません!
ぜひよろしくお願いします!