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順調な滑り出し?

脳筋!脳筋!

初めて冒険者ギルドを訪れてからもう2週間

色々な所からパーティの打診を貰ったが私はソロで動いていた

まだこの街に来たばかりで色々知っておきたい事とかがあるので、というのが断る時の常套文句だ


実際これは本当の事で私は街の中で終わるような依頼を中心に受けている

その怪力があるんだからもったいないなんて言葉をかけられるがまずはちゃんと生活の基盤を安定させる事が優先だ

知らない人だけの所で生きていくにはこの世界は過酷すぎる

少しでも顔を売り信用できる人間だと思ってくれる人間を増やしていくのだ


もちろん街の中で終わるような仕事への依頼金は微々たるものである

私は安いがそれなりに綺麗な宿へと転がり込んでいる

数か月単位で連泊するので安くしてくれと頼んでいた事は他の客には内緒だ


今日もお使いクエストの為に朝早くから冒険者ギルドに向かう、これはもう日課だ

貧乏冒険者に休みはないのである、一晩で体力が回復する若いうちになんとか階級を上げておかなくては


体力や回復力などはもちろんスキルで強化してあるがそれでも疲れるものは疲れる

しっかりと身体の状況を把握しておくのも冒険者にとって大事な要素なんだろう

私はこの世界にきて半月くらいだ、その辺の事もちゃんと把握できるようになるまでは命を天秤にかけ金を稼ぐ事はできない


そんな事を考えている時あからさまに後をつけられている感じがした

相手も別に隠そうとしてないのであろう、気配が駄々洩れである


(まあ、来るとは思ってたし、ね)


私は気づいてないふりをしながら冒険者ギルドに向かう道ではなく人通りの少ない方へを進路を変えた

相手もその事に気付いたのだろう、姿を隠す事なく堂々と私の後ろを3人でついてくる


完全に周りに人がいなくなったのを確認して私は振り返る


「さて、そろそろこの辺りでいいと思うんだけど、一応要件聞いておこうか?前回と同じじゃないといいんだけど」


「ああ?わかってんだろ?この前やられた事のお返しだよ」


(うーん、清々しいほどのテンプレだ)


私は内心ニヤニヤとしてしまう


「てめぇ!何笑ってんだ!」


どうやら顔にも出てしまったようだ


「いやー、ごめんごめん、でも流石に街の中だし得物はなしかな?どうする?そっちに合わせてあげるけど」


「馬鹿言え、お前なんか素手で十分だ、俺の武器の階級はマジックだぞ?それを使ったら一瞬で終わって憂さ晴らしにならねぇじゃねぇか」


(あれ?マジック武器ってもしかして結構世の中にあふれてるのかな?それともたまたま運がよかったとか?この辺はもうちょっと調べてみないと)


「そう、じゃあ私も武器は使わないであげる、いつでもどうぞ、かかってらっしゃい」


こんな事を言っているが心臓は今にも破裂しそうなほどだ

目の前にいるのは私よりも30センチは身長が高く筋肉もしっかりとついている大男なのだから無理もない

贅肉もついている感じはするがそれにより体重もあってきっと攻撃は重かろう

さて、どうするか・・・


 こちらから攻撃をする

 相手の攻撃を受ける

 相手の攻撃をかわす


私が選ぶのは


 相手の攻撃を受ける


これだ


今は鎧など着てないがそれは相手も同じ事

スキルにより防御力をあげてはいるが一度攻撃を食らってみたいと思っていたのだ

この状況は使える


ちなみに身体能力向上で防御力をあげるのはかなり悩んだ

なにをどう上げていけばダメージを減らせるのか・・・

試しに防御力向上というスキルを作りセットしようとしてみたがこれは適応されなかった

漠然としたものじゃダメらしい

あーだこーだと考えながらセットしたスキルで防御面にかかわりそうなものは「皮膚強化」「骨密度強化」「身体操作強化」この3つだろう

正直ぱっと言われればどこが身体能力なんだ?と思うかもしれないがこの身体能力向上というスキルどうやらスキルを作ってセットする時に色々ごねると判定が通る時がある


皮膚強化については紫外線のダメージを防ぐのは皮膚の役目、だとか菌やウイルスなんかを入れないようにしているとか色々押し並べたら若干のタイムラグがあったがセットされた

セットされた後は皮膚の硬さが増した気がした


骨密度と身体操作も同じ要領でごねてみたので何とかセットされた、これで骨折しにくくもなっただろうし思った通りに身体を動かせるから攻撃を受け止める事も簡単にできるだろう

視力強化で動体視力も向上しているし反射神経強化もそれを助けてくれている


私は目の前に向かってくる拳をしっかりと目で追いながら何も防具をつけていない前腕でガードした


体重差があるので後ろに少し飛ばされてしまったが痛みとしては大した事がない


「くっ!」


悪童にもダメージがない事がわかったのだろう、人の事言えないが表情に出さないようにした方がいい、これは練習しなくてはいけない

だが今回は思いっきり表情にだしてやるシチュエーションだ


私は思いっきり口角をあげながら


「はっ!なんだわざわざ相手してやるほどのものでもなかったか!結果は見えただろう?もう帰りたまえよ、私は忙しいんだ」


煽る


「今の攻撃はなんだ?その体躯の癖に随分貧弱なパンチだな、その辺で畑仕事してるお爺さんの方がまだ腰の入ったパンチが打てるんじゃないか?」


煽る


「そんなんじゃゴブリン1匹殺せないだろう、もう冒険者なんか引退して田舎で畑仕事でもした方がいいんじゃないか?」


煽る

見る見るうちに目の前の大男は顔を真っ赤にしていく


「悪童じゃなくてただのガキじゃないか」


「うるせぇ!!」


大男が勢いをつけまた殴り掛かってくる

これを待っていた

相手が怒り思いっきり向かってくるこの瞬間を


大男の攻撃を避けた私の右ストレートが大男の顔面に刺さる


(初めて男性の顔を殴ったけどいい気分にはなれないな・・・ってしまった!私の力で殴ったら殺しちゃわない!?)


右ストレートを食らい数メートル吹き飛んでいく大男の身体を見ながら私は冷や汗をかいた

血がでているがもしかして首が吹き飛んだか?


(大丈夫、そんなに力いれてない、手加減してる手加減してる・・・)


恐る恐る近づいていくと・・・


(よかった、息してる、うわ、でも鼻曲がってる・・・お腹にしておけばよかったか・・・)


私が近づいてきた時大男の取り巻きであろう2人も心配しながら近づいてきていた

そちらに視線を向けるとビクッ!と身体を震わせながら恐ろしいものを見る目を向けてきた


「これに懲りたら二度と声かけるな、さっさと連れて行って回復魔法でもかけてもらうんだな」


私はその視線に耐え切れなくなりさっさとその場を後にする事にした


(今日は・・・仕事受けるのやめよ・・・)


絡んできたのは相手の方なので私が悪いわけではないが後味がよろしくない

そしてあの視線・・・あれは正直堪えられない


(やりすぎたよー・・・調子のったよー・・・謝った方がいいのかなー・・・)


宿に戻った私は布団にくるまりながらそんな事を考えながら寝てしまった


それから・・・



「はぁー・・・あんた!この前も来てぶっ飛ばされたでしょ!懲りないの!?」


「うるせぇ!今日はお前を倒せる気がするんだ!勝負しろ!」


3日起きに来ては元気に腹を殴られ吹き飛ばされていく大男

取り巻き2人もあきれ顔だ、もちろん私もあきれ顔だ


(こいつ・・・ここまで脳筋だったとは・・・)


もうこいつに絡まれるのも5回目だ、多分もう最初の目的や冒険者ギルドで絡んだ事なんか忘れているに違いない


今のこいつはただ私に1発攻撃を当てたいが為に向かってきている


「ちょっとあんた達!いい加減にしろ、って伝えさいってこの前言ったでしょ?」


私は取り巻き2人に向かって怒鳴る

吹き飛んでいった大男は目を回しているから話を聞ける状況にない、というか散々本人には伝えているが効果がない


「いやー、ちゃんと言っているんですけどねぇ・・・なぁ」


「ああ、言っているんだけどなぁ・・・」


「はぁー・・・どうりゃいいんだか・・・」


このままでは3日起きに大男に腹パンする事まで予定にいれて動いていかないといけない

そろそろ街の中で仕事をする毎日からおさらばして外へと目を向ける時期が来たのかもしれない


(計画的はそろそろとは思ってたけど・・・まさかこんな奴に後押しされるなんてね・・・)


私は肩を落としながら冒険者ギルドへ向かい今日の仕事を探した

犬のお使い、買い出し、ドブ掃除、今のこのもやもやとした気持ちを晴らすならなんでもやってやる

最近私の怪力を買って引っ越しや建築の仕事なんかは名指しで入るようになってきた

ただそれも毎日ある訳でもないし本当にそろそろ頃合いなのかもしれない


(あー・・・脳筋相手にすると予定が崩れていくわー・・・でも私も脳筋な所あるっぽいからなー・・・私も誰かに迷惑かけてたのかなー)


今日も布団にくるまって色々考える事が確定のようだ

それでもしっかり睡眠をとって体力が回復するこの身体には感謝するしかない

脳筋!脳筋!

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