女オーガ誕生
今日も書きたくなったので(略
静寂の中誰かが言ったオーガという単語が徐々に広がっていく
オーガ、それはこの世界にも存在し前の世界でも名の知れた魔物である
大体のイメージが怪力で脳筋な戦闘狂というイメージではないだろうか
それはこの世界でもどうやら一緒のようだ
周りからは本物のオーガじゃないよな?とか魔物がこの街に入れるわけだろう、とかそんな声が聞こえる
一瞬で自分の兜を潰された出来事に呆然とした悪童のと呼ばれていた男が我に返る
「てめぇ!俺の兜を!許さねぇ!」
殴りかかろうとしてきたので私は身構える
元の世界では殴り合いの喧嘩なんかはした事がないがこの世界にきて視力や反射神経などをスキルによって高めているので1人に絡まれるくらいならなんとかなるだろう
「それ以上騒ぐのはおやめください!」
殴られそうになった時後ろから声がかかる
きっと受付のお姉さんの声だろう、だがそれで攻撃が止まる確信がないので私は目の前にいる男から視線を外せなかった
「・・・ちっ!くそっ!てめぇ覚えておけよ」
そういうと私の手の中にある兜だったものをひったくり一緒に入ってきた2人に目配せをしながら男は冒険者ギルドからでていった
(ははーん、さてはこいつ受付のお姉さんがタイプだな?それなら目の前で女を買うだのって話してるんじゃないよ、まったく)
男が出ていったのを目で追い完全に出ていってから私は受付のお姉さんの方へ振り替える
さっきまでは笑顔だったお姉さんは今は少し困ったような顔をしていた
「私冒険者登録したくてきました、オーカっていいます、よろしくお願いします」
「それはわかりましたけどここではいざこざは起こさないようにお願いしますね」
「はいっ!すいませんでした!」
いい返事といい角度での謝罪、これは元の世界の社会人という地獄を経験したものにしかできない技術だろう、言ってて涙がでそうだ
「わかってくれればいいんですよ、それじゃあ登録始めましょうか、先ほどの力を目の当たりにしてパーティに勧誘したそうな方もいそうな空気です、その人達の為にも早めにやった方がいいでしょうね」
受付をやっているくらいだからかなりの美人さんである
困った顔も綺麗だったが笑顔はさらに美人だ
「そうですか?でもパーティ組んだりするのはちょっと迷っているんですよね」
「考え方は人それぞれだとは思いますけどあまり推奨はできないですね・・・」
この世界では多くて6人くらいでパーティを組み冒険という名の仕事に出かけるのが多いらしい
中にはずっとソロの人もいるにはいるがそういった人間は街から離れられないような理由があるか一般常識を超越しているような人間だ
冒険者になりたての小娘にソロですか、頑張ってくださいね、なんていう人間はきっとこの世にはいないだろう
だがこちらとしてもやる事が決まっている以上ずっと金を稼ぐ為だけの冒険はしていられないのだ
宴会で神様は別に期限なんかないから何十年後になっても構わないよなんて笑っていたがこちらは人間であり寿命があるのだ
そんな悠長な事言ってられない
元の世界に戻るのだって早い方が・・・
しまった!元にの世界に戻る時私の年齢はどうなるのか聞いていなかった、この身体は10年若返ったものだから10年後に戻れば同じ年齢で元の世界に戻る事になる
だが元の世界は10年進んでいるんだろう、そうしたら私は10年前にいなくなったと思ったら同じような見た目で戻ってきた事になる、なんでその事を聞かなかったんだ!
やっぱり酒はダメだ!この世界ではお酒禁止だ!!
「あの・・・そんなにソロでいたい理由があるんですか?」
「あ!すいません、ちょっと思い出した事がありましてそっちの方に意識とられちゃってました!」
「そうですか?まあダンジョンによっては複数じゃないと入場できないような縛りがあるものや団体行動を条件としてるクエストなどもありますので色々経験しながら決めていけばいいと思いますよ、あちらにあるスペースでパーティ募集をしてますので直接声をかけてみてもいいですしこちらにこういった人材を探していると言う相談をしてくれれば情報を提供する事もできますので活用してください」
にこりと笑った顔を見てきっとこの受付さん目当てでこの街から出ないで頑張っている冒険者もいるんだろうなと思った
冒険者ギルドと傭兵ギルド、どちらにはいろうか迷っている人がいて受付さんで決めた奴もいるに違いない
そうなると傭兵ギルドの受付さんも見てみたいな・・・また思考がそれてしまった
「じゃあ簡単な説明と登録の準備がありますからあちらの奥の部屋まで進んでください」
そうか、受付さんも私1人に構っているほど暇じゃないよな
あれから数分も経っていないのに私の後ろには列ができているくらいだ
すんなりと会話ができたのはきっと偶々なんだろう、次にこの受付さんとお話できるのはきっと低い確率と待ち時間が必要なんだろうな
「わかりました、ありがとうございます」
私は軽く頭を下げ案内された奥の部屋へと歩いて行った
コンコンと2回ノックをしすいませーんと声をかけると中から何か用か?という声が聞こえてきた
「冒険者登録したくてやってきましたー」とさらに声をかけるとガチャリと音を立て扉が開いた
「冒険者志望が扉を叩いて確認するのは珍しいな、大体の人間は礼儀がなってないからそんな事はしない」
(あー、確かにその方がそれっぽいかも)
「まあいい、掛けてくれ」
中にいた人はきっと引退した冒険家だろう、目じりのしわと白髪から年齢を感じさせるが胸板と腕の太さが半端じゃない
なんでこんなに強そうな人が裏方をやっているんだろうか、何かあった時の為に表に立たせてた方がいいんじゃなかろうか
「初めまして、俺はこのギルドで副ギルド長をやってるスミスってもんだ、名前を教えてもらえるか?」
「あ、はい、オーカって言います、よろしくお願いします」
副ギルド長なんて肩書を持っている人が新人の登録なんてするのか、そんな考えが頭に浮かぶ
「オーカか、今なんで副ギルド長が登録をするんだろう、って考えだろう、顔に出ている」
「え、はい、思いました」
「だろうな、たまにいるんだよ、受付で奥の部屋って言われて1番奥の部屋に来ちゃうそそっかしいのがな」
ガハハハと豪快に笑う
「あれ?間違えてました?すいません」
「いや、いいんだ、俺も事務作業ばかりでは嫌気がさすからな、ここに来た奴の登録は俺がしてやってるんだ、半年に1回くらいだけどな!」
また豪快に笑う、私はなんだか恥ずかしいやらで身体が小さくなっていきそうだ
「さてじゃあ始めようか」
「・・・よろしくお願いします・・・」
恥ずかしさでいっぱいだった私は早めにこの場所から消えたかった
だがギルドの仕組み、階級、ダンジョンへ行く為に必要な事、パーティへの加入など色々な話を聞いているうちにその考えもなくなっていった
この世界の冒険者ギルドの階級は主に数字で表すようだ
下が1で最高が10
4になってやっと一人前、7以上になると人々から尊敬される、10はもはや人外、そんな感じらしい
階級を上げるには冒険者ギルドに貼ってあった依頼をこなしていくか物納がメインらしい
どの魔物を倒せるかが指標という事だろう
階級の説明を受ける時にドッグタグを渡された
そこに血を垂らし副ギルド長が魔力を注いでいく
そうするとドッグタグに1という数字が表れた
「これでステータス画面に冒険者ギルド所属ってのと1って階級が出たはずだ、見てみろ」
「わかりました」
心の中でステータスオープンと呟くと目の前にステータス画面が現れる
言葉にしなくても出てくる事は森の中を歩いている時に確認済みだ
「あっ、本当だ、ありますあります」
「そうか、ちょっと見せてくれ、あー、ロックを外す必要はないからな」
「ロック・・・?」
なんだそれは、初めて聞く単語だ
「知らないのか?珍しい奴だな、田舎からでてきた感じには見えないが」
ちなみに巻き上げたスカートは若干下してある
「あ、いえ、私の住んでた村は結構田舎だと思います、アハハ」
「そうかい、まあいいや、ロックを外すと相手に自分のレベルとかスキルとかステータスの細かい部分まで見えちまうんだよ、パーティを組むのに必要だという奴もいるがその辺は個人差だな、ロックしてある状態だったら名前と所属とランクしか表示されない、所属って言っても裏社会の人間なんかでも冒険者だ傭兵だのに登録してあるから所属がどこであれそれだけで信用するんじゃないぞ、中にはそこの所属を自分の組織にしてるイカれた連中もいるがな」
レベル、ステータス、この世界にはそれがある
自分にそれがあるのはわかっていたが他の人のを見た事がないので自分のレベルがこの世界でどれくらいのものかわからない
ステータス画面を見せてもそれが見えないようになっているのは安心だ
なるべくその辺の情報収集も早くしたいと思っていた
「よしよし、ちゃんと登録できたな、それにしてもお前さん・・・苗字持ちだとはどっかの貴族なのか?」
安心しきっていた私に爆弾が投下された
「知らない事とは言え失礼しました」
スミスが頭を下げる、全然関係ない事で自分より倍以上は生きているであろう男の人に頭を下げられたら困ってしまう
「あー、いや、違います違います、確かに苗字はありますけどずーっと遠い先祖のなんです、この国出身じゃないんです、普通の一般人にも苗字がある国出身なんだそうです」
「そうか?それなら勘違いされないようにする為に変えておいた方がいいな、名前の所は変えれるからな、中には呼んでほしい二つ名とかいれてる奴もいる、名前はいじれるからこの名前だけみても相手の事を信用するんじゃないぞ、本名である確証はないんだからな」
ステータス画面について色々と知れたのは大きかった
登録を済ませ話を聞き終えた私は仕事を探さずに今日まで!と決めている宿に戻っていった
「久しぶりに俺の部屋まで通された奴、オーカだったか、そんな事をしでかしたのか」
「はい、スミス様、あの怪力はなかなかのものです、オーカさんが登録をすると言ったら色々なパーティが勧誘をしたいという事で受付に並び始めましたから」
「そうか・・・なんだか変な奴ではあるんだが悪い奴ではあるまい、試しにと少し殺気を送ってみたりもしたが本人は気づいてないんだか気にしてないんだか、反応すら見せなかったくらいだから抜けてる奴かもしれないがな」
「なんにせよ期待の新人って感じですね」
「そうだな、ロックを知らないならレベルやステータスを見ておけばよかったか・・・いや、それで敵対とは行かないまでも友好関係を築けなくなるとしたら厄介か、今後が楽しみだな」
そんな話をしているとは知らない私はお風呂に入り髪を洗っていた
「へっくしょん!噂されてるのかな?あの悪童君かな?1回は喧嘩売りに来るんだろうなー」
その時はこてんぱんにしてやろう!そう思いながらさっさと髪についた泡を流し風邪をひかないようにと湯舟に飛び込んだ
小説書くの難しいなー、楽しいけど