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偽女オーガ騒動決着

うーん、書きたかった話もラストかな!

「師匠!!」


「赤黒」がもがき苦しみながら宙をかいている所を見るとオーカはどうやら無事のようだ

だがあの巨体が上に乗り暴れているのだ、いつ潰れてもおかしくないかもしれない


マックは攻撃をしようか考えた、だが今の状況で攻撃をするとなるとオーカにも衝撃が加わってしまうのではないか?そう思うとなにもできなかった


更に暴れる「赤黒」、その首に巻き付いている腕はしっかりとキープされていて力が緩まる気配はなかった


そしてその時は訪れた

ずっと暴れ続けていた「赤黒」の2本の腕がだらりと地面についた


ボキン!


「赤黒」の顔が後ろに回る

オーカが確実に止めをさしたのだろう、「赤黒」の力が抜けた事でやっと首の骨を折る事ができたらしい


「師匠!大丈夫ですか?」


「あー、マック、大丈夫、だけど流石にこの姿勢じゃ力はいらないや、ちょっとこいつ持ち上げてくれる?」


「赤黒」の下からオーカが力なく答える

かなりの力を使ったのだろう

マックが「赤黒」の腕を持ち引っ張るとオーカが下からでてきた

背中についた雪をパンパンと掃う


「あー・・・重かった・・・」


「流石に潰されたかと思ったっす」


「あー、下が雪だったからね、なんとかなったよ」


下が地面だったらどうなっていただろうか、もしかしたらオーカが潰されてたかもしれない

それくらい「赤黒」は高く飛んでいた


「殴り始めた時はヤケになったのかと思ったっす」


「いやいや、命かかってるんだしヤケにはならないよ、ただまあ、あそこまでダメージ通らないとは思わなかったなぁ」


オーカが「赤黒」を殴り始めた時、ただたんに力を込めて殴っていた訳ではなかった

魔力を腕に込めそれを相手に流し内臓にダメージが与えられないだろうかとやってみたのである


結果は惨敗

練習もせずにぶっつけ本番の思い付きだったので仕方ない

だが練習をすれば今よりも効果が出て実戦で使えるかもしれないという手ごたえは感じられた


「それにしても斬れない相手がいるなんて考えもしなかったよ」


「そうっすね、斬撃耐性忘れてたっす」


「今までごり押しでなんとかなってたもんなぁ」


オーカは腰に付けた袋をさする

中には大切な武器が3本はいっている


「まあ、なんとか首に腕が回る相手で助かった、って所かな」


「そうっすね」


「おかげで皮もまるまる手に入ったしね、最初からこうしたほうがよかったかもしれないね」


オーカは笑った


「確かに1番綺麗な皮になりそうっすね、でも結局肉と皮は切り分けないといけないから同じようなもんっすよ」


「あはは、そりゃそうだ、さて、流石に私もちょっと疲れたし帰ろうか」


「へいっ!お疲れ様でした」


「ありがと、マックのお陰で助かったよ、お疲れ様でした」


オーカはアイテムボックスに「赤黒」を仕舞いこみ機馬を出した

死んだ時点でアイテムボックスにいれればなにも無理やり引っ張る事なんてなかったとこの時になって気づいた


「ま、細かい事は気にしないってね!出発出発!」


まだ残っていた馬車の跡を機馬に乗り追いかけていく

もしかしたら偽女オーガを追い抜かすかもしれない

その時は・・・流石に放置は可哀想か、嫌いな性格とはいえ流石に雪の中1人だけ置いていくという事はできなさそうだ、オーカはそんな事を考えていた


それから何分ほど走っただろうか、オーカの目の前に馬車が見えた


「あれ?あんまり進んでなかったみたいだね、待っててくれたのかな?」


「そうかもしれないっすね」


「おーい、皆ー」


オーカは手を振りながら馬車に近づく

馬車の方からも手を振り返してくれた


やいのやいのと騒いでいるが何を叫んでいるのかは聞こえない

いや、聞こえてはいるのだが被っていて誰が何を言っているのかわからない、が正解か


オーカとマックはさらに機馬の速度を上げ近寄った


「おまたせー!待っててくれてありがと!」


「よく無事だったな!」


「あいつはどうしたんだ?倒せたのか?」


「大丈夫なのか?」


今度は何を言っているのかよく聞こえた

オーカが機馬から降りる


「へっへっへ、どう思う?」


「もちろん倒したんだろ?」


「というか・・・階級3って言ってなかったか?その機馬のエンブレム、トヨタックだぞ?」


「階級3でトヨタックの機馬であのギガンティックグリズリーがはいるアイテムボックスを持ってるっていうのか?」


「詐欺もいい所だな」


「あはは、あんまり階級上げる気がしなくてねぇ・・・」


「そんな事より聞いたか?あの女オーガは偽物だって話を」


冒険者達が口々に会話を紡いでいく

オーカは若干押され気味だ

きっと冒険者達は色々な面で興奮しているのだろう


「あれ、誰から聞いたの?」


「本人からさ、俺達はここで待ってたんだ、2人が帰ってくるのを、そしたら1人で逃げてきたからどうしたんだ?って話を聞いたんだ、そしたら全部暴露したよ」


「それで今2人は?」


「一応馬車の中にいる、ここでボコボコにした所であまり意味もないしな、帰り道に襲われたとしたら少しでも人数が多い方がいいしな、嘘つきだとしてもだ」


どうやら冷静さはあるらしい


「それでなんだが・・・」


1人の冒険者がそう言うと周りが全員黙る

皆何かを聞きたそうだ


「ああ、サブウエエの街では私は女オーガって呼ばれてるよ、でも他の所でそう呼ばれてる人がいてもおかしくないからね」


「「「「おおおおお!!!!」」」」


冒険者達の目が輝きだした


「いやね、俺は本当はそうなんじゃないかと思ってたんだよ」


「馬鹿野郎、ギルドで酒飲んでる時に1番に2階にあがったくせに」


「いやいや、俺なんかは」


やいのやいのとまた騒ぎ出す


「はいはい、とりあえず早く帰ろうよ、天気悪くなってもいやだし暗くなると面倒だよ」


「お、おお、それもそうだな」


オーカの声に全員が従い馬車の周りを囲む

馬車の前にいる機馬を動かして歩き始めた

オーカ達も機馬を仕舞い一緒に歩く事にした


「そうだ、お嬢ちゃん、いや、女オーガ様よ」


「別にお嬢ちゃんでもいいけど私の名前はオーカよ」


「オーカ?ハルって呼ばれてなかったか?」


「あはは、偽名で参加してみました」


「そうだったのか、まあ、女オーガ本人だもんな、そのくらいはするか、それで偽物が女オーガの名前を語った理由ってのをさっき聞いたんだけどよ、あいつらは2人とも戦闘能力があまりないらしい、だから冒険者は諦めて実家に帰ろうと思ったんだと、その時に聞いたのがあんたの噂だって話だ、階級は低いがかなりの怪力で黒髪の美人、あまり活動的ではないので顔は知られていない、それに最近は全然姿を現さない、って話だそうだ、それで女の方が魔法で筋肉があるように見せて髪も黒くして名前を騙ってたって話らしい」


「あー、そうなんだ、確かに階級3くらいやろうと思えばわりとすぐ慣れるからねぇ・・・」


「そうだな、まあ、俺達は確かに騙された訳だが名前を騙られた1番の被害者はオーカだ、だからぶん殴る権利がある、俺達より先にな、そういう理由もあるからボコボコにしてないんだ」


「なるほどね、でも私が本気で殴ったら多分皆殴る気無くなると思うよ?」


オーカが笑いながら言うと馬車の中から「ヒィ」という声が2つ漏れてきた


「階級ねぇ・・・仕方ない、ギルドに言ってみるかなぁ」


「そうした方がいいだろうな、所で最近姿を現さなかったってのはなんでなんだ?」


「ん、機馬の材料取りに3か月くらいダンジョンに籠ってたのと作ってもらうのに2か月くらいかかってね」


「何階だ?」


「7階」


「それでなんでそんなに時間かかるんだ?2階で待ちながらならまだわかるが」


すると別の冒険者が口を挟んできた


「おいおい、そこじゃねぇだろ!オーカの機馬はトヨタックだぜ?それなのに2か月で作ってもらったってもしかして・・・」


「あー、大丈夫、偉くない偉くない、そこはたまたま縁があっただけだよ」


「そうか?敬語使ってなかったからぶっ飛ばされると思って焦ったぜ!」


帰り道、尽きぬ会話、戦利品もある

オーカ達はいい気分でギルドまで戻っていった

危惧していた邪魔をする者は結局出てこなかった、これは女オーガ効果だろう


ギルドの前で馬車を止める


「じゃあとりあえずギガンティックグリズリーの皮をギルドで査定してもらってその分の3割を貰えるって事でいいかな?」


「「「「異議なし!」」」」


「あれ?でも馬車に乗ってる数少なくない?」


「ああ、俺とこいつがアイテムボックスにいれてる、流石に大量すぎてな、馬車がギシギシ言ってたから、皆の合意の元でな」


「なるほど、じゃあとりあえず全部出してくれる?」


馬車の中とアイテムボックスからすべてのギガンティックグリズリーを出す

周りからも注目を集めている

そんな中一緒に狩りをしている冒険者達の期待を込めた視線がオーカに集まる


「さぁ!見せてくれよ!」


「そうだ!俺もみてぇ!」


「んじゃあ出すよー」


一緒に行っていない冒険者や街の人もなにをしているのだろう?とこちらに注目している


「これだー!」


袋に右手を突っ込み、袋の中で「赤黒」の首を掴み一気に出す


「「「「「「「おおおおおおお!!!!!」」」」」」」


その場にいた者は全員「赤黒」を見て驚いた


なんだあのでかさは、かなり強そうだ、あいつらって女オーガ様と一緒に狩りにいったやつらじゃ?俺も一緒に行けばよかった、など周りから聞こえてくる


「あれ?女オーガ様はどこだ?」


そんな声が聞こえて


「お前ら!よく聞け!ギガンティックグリズリーを狩りに行くと言い出した女オーガは偽物だった!」


ざわつきが周りに伝播していく

ギルドの中や食堂の中からも人がでてきた


「あいつらは俺達が女オーガの顔や見た目を知らない事を良い事に自分が女オーガだと言い張って俺達をギガンティックグリズリーの住んでいる所まで連れ出した!そして自分達は一切戦わずに金だけ持ち帰ろうとした!!」


さらにざわつきが大きくなる

というものこの演説をしている一緒に狩りをしている冒険者はこの街では結構有名らしい

お嬢ちゃんお嬢ちゃんとオーカに話しかけてくれたいい奴である

だがオーカは名前を聞いていない、まあどうせこの後飲み会になるだろうからその時に全員の名前を聞いておこう、と思っている始末だ


そんな冒険者が言っているのだ、信ぴょう性も高い


「そしてこのひと際でかい「赤黒」にギガンティックグリズリーが現れた!偽女オーガはこいつを前に逃げ出した!」


ここまでいくとこの話を聞き逃すまいと逆に静かになっている


「だがこの「赤黒」のギガンティックグリズリーを狩ったものがいる!こいつの名前はオーカ!サブウエエの街で女オーガと呼ばれている!噂になっている本物の女オーガだ!」


さっきまでの静けさから一転、今までで一番ざわつきが大きくなる


「おいおい、流石にそれはないだろう、チャルメ、もう年だし引退した方がいいんじゃないか?」


あ、この人チャルメって言うんだ、オーカは呑気にそんな事を考えた


「あん?チキラか、今の話に嘘はない」


「こんな細い小娘があの女オーガな訳ないだろう?馬鹿な話すぎて酔いもさめちまったぜ」


いや、全然冷めてないだろう、周囲の人間は思った


世の中にはいるのだ、なんにでも逆張りしたい人間が

多分この2人は仲が悪いのだろう、だから食って掛かってきたと見える


「女オーガ様の姿が見えねぇって事はあの人は死んだのか?それの責任を逃れる為に全員で口裏合わせただけなんじゃねぇのか!?女オーガ様が倒したギガンティックグリズリーの皮を独占する為にお前ら全員で・・・なんて事は流石にしてねぇよなぁ?」


チキラと呼ばれた男の顔からは笑みが止まらない


「俺達がそんな事!」


オーカがすっと手を挙げる、チャルメと呼ばれた冒険者が黙った


「つまり私が女オーガだって証拠を見せればいいんでしょう?あんた知ってる?女オーガのもう1つのあだ名」


チキラの腰につけている兜をオーカが素早く奪い取る


「「兜潰し」よ」


グシャ

チキラの兜はぺったんこになりもう2度と被れないだろう


思ったより長くなったけどかけてよかった、確かな満足

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