偽女オーガ騒動?
書きたかった話!
「えぇっと・・・」
あまりの衝撃でオーカは立ちすくんでしまった
今の話が本当だとしたら自分の偽物が現れたのだ、そうなってしまっても仕方あるまい
周りはまだざわついている、この話に伸るか反るか?
俺はついていくぜ!と声をあげるもの、ついていける自信がないといい諦めを口にするもの、反応は色々だ
「なあ、ちょっと聞きたいんだが」
マックは近くにいる今の話を聞いていた冒険者に声をかける
「あん?なんだ?」
「今の話を聞いてたか?女オーガってのはなんだ?」
「あん?お前ら見た事ねぇ顔だが新参か?その体つきを見ると冒険者としてはやれてそうだな、この街には最近来た口か、じゃあ知らねぇのも無理はねぇな、説明してやってもいいけどなぁ・・・」
「ああ、これで1杯飲んでくれ」
「おう、そうこなくっちゃな!女オーガもよぉ、最近になってこの街に来たんだ、でも噂はこの辺の冒険者なら皆聞いた事があってよ、お前は聞いた事あるか?」
「いや、あまり詳しく聞いてた訳じゃねぇな」
「そうか、まあ、それでよ、その女オーガ様はよ、1人でオーガヒーローがいる集落を壊滅させたとかストーンアントをマザー型ごと1人で潰しまわってるとかってくらいの強さなんだとよ、ほんとかね、ハハハ、それでここの冒険者ギルドのマスターが仕事を頼んでたみたいでな、結構でかい仕事になりそうだって皆噂してたんだ、どんな仕事はかしらねぇが上に行けばわかるだろ、兄ちゃんも結構強そうな身体してるんだから行ってみたらどうだ?」
「そうか・・・ありがとよ」
「ああ、それとよ、これはでかい声ではいえねぇんだけど」
「ん?なんだ?」
「女オーガ様は露出狂じゃねぇかって噂があるんだ、俺もちらっとしか見た事はないんだがいい女でよ、肩とか腹とか足とか結構出しててな、それがまたたまらなくてな、ガハハハ」
「そ、そうなのか」
「上にいった連中にゃ女オーガ様を一目見たいってだけの奴もいるんじゃねぇか?早く行った方がいいぞ、ガハハハ」
「お前は行かないのか?」
「俺は無理だ、女オーガ様の強さについていけやしねぇよ、自分の力量を見誤ると死ぬんだぜ、覚えときな」
「ああ、悪いな、ありがとよ」
マックは男に別れを告げいまだに呆然としているオーカの元に駆け寄った
「師匠・・・師匠!」
「はえっ!!」
「大丈夫ですか?」
「ああ、うん、大丈夫、でもそっかー・・・女オーガって名前結構人気あったんだね」
「まあ、師匠はやる事派手ですからね、噂にもかなり尾ひれついてたみたいですけどオーガヒーローの話とかストーンアントのマザー型の話とかはここまで広まってるみたいです」
「うーん・・・まあ、私としては構わないけど・・・ちょっと面白そうだから覗いてみようか」
「へいっ、師匠ならそういうんじゃないかと思いました」
「あ、そうだ、じゃあ今からマックがパーティリーダーね」
「へい?」
「同じ名前で呼ばれているだけじゃなくて私の二つ名を語ってる人がいるって事でしょ?ばれたら大変じゃない」
「いや、それはそうかもしれないっすけど」
「いいから!マックは私の事を・・・そうね、ハルって呼びなさい」
本名が桜花なので春、実に安直な名前である
「ハル・・・さん・・・っすか?」
「馬鹿ね、ハルって呼び捨てするのよ」
「今更師匠を呼び捨てっすか?難しいっすよ」
「黙ってやるの、やらなかったら師弟関係は終わりよ」
「そんな勘弁してくださいっすよ」
「それが嫌なら頑張りなさい、ほら、いくわよ、あ、そうだ、私の武器は剣でいくわ、この前デュラハンから落ちた片手剣あるじゃない、売らないでよかったー」
「斧持ってる女性なんか普通に居そうっすけどね」
「いるけど少ない事は事実よ、なんにせよバレるような事はなくしておくに限るわ、さ、リーダー!はやく行きましょ!」
「そうっすね」
「敬語禁止!」
「へい・・・、よし、ハル、行くぞ」
「へいっ!!」
「なんだかなぁ・・・」
呆然としてた割には楽しそうなオーカにマックは少し呆れている
だがまあ、楽しそうならいいのかもしれない、この世界には娯楽は少なすぎるのだ
オーカ達は2階へと向かった
2階の部屋には大勢の冒険者がいるがその中に偽女オーガらしき女性はいなかった
「よし、こんなもんだな、全員を連れて行く訳にはいかねぇがここにはとりあえずで来た奴もいるだろう、依頼の話を始めるから無理だと思ったら部屋から出て行ってくれ」
さっき2階から冒険者達に話しかけた男が喋り始めた
「依頼はシンプルだ、この時期になると冬眠する為に栄養を蓄えている熊を討伐してその皮を狙う」
ざわざわ・・・
それだけの説明でピンときた冒険者が結構いたらしく中には部屋から出て行った者までいた
「どうやら中にはわかってない奴がいそうだから詳しく説明してやる、ここからちょっと行った所に住んでいるギガンティックグリズリーは冬眠前になるとたらふく飯を食う、そうすると皮が硬くなるから防具としていい素材になる、だが食った分強くなる、戦闘力に自信がない奴はいくら女オーガ様がいたとしても死ぬだけだから出て行った方がいいぞ」
ギガンティックグリズリー、まあ、言ってしまえばでかい熊だ
だがその攻撃力はなかなかに凄まじくさらにこの時期になると皮が硬くなり防御を考えなくてよくなる分さらに攻撃の苛烈さが増すという魔物だ
冒険者達が部屋から出ていくのも理解ができる
「ふん、結構残ったな、しかしなぁ・・・ちょっと話を聞いてみないと実力がわからねぇのもいるからな、少し話を聞かせてくれ、この部屋から出なければ自由にしていい」
そういうとその男は1番最初にオーカの方に向かって歩いてきた
そこにマックが立ちふさがる
なかなかいいリーダーっぷりである、ドーナとルードと一緒にいた頃を思い出しているのだろうか
「お前ら2人パーティか?」
「ああ、そうだ、俺がマック、こっちはハル・・・だ」
「ほう、階級は?」
「俺が4,こっちが3だ」
「おいおい、死にてぇのか?足手まといに分け前なんか渡さねぇぞ?」
そこにオーカが割って入る
「大丈夫ですよ、最近冒険者始めたばかりで階級はあがってないですけどちゃんと戦えます」
言いながら腰に帯びる片手剣を見せた
「ほう・・・まあ、いいだろ、だがさっきも言った通り足手まといだと思ったら分け前はねぇからな」
「はーい」
それだけ話すと男はまた別のパーティに声をかける
何組かに声をかけた所で男が最初にいた場所に戻った
「おう、それじゃ何か質問ある奴はいるか?」
「報酬はどれくらいだ?」
「出来高払いだ、仕事が出来ねぇ奴は銅貨すら手に入らねぇ、仲良く山分けなんて俺達の仕事にはねぇんだ」
「これからすぐ出発するのか?」
「準備が必要だろうから出発は明日の昼だ、今日くらいは酒飲むんじゃねぇぞ!」
「他には、ねぇか?」
オーカが手をあげる
「あん?なんだ嬢ちゃん」
「女オーガさんは強いって話なのになんで今回こんなに冒険者を集める事にしたんだ?」
「それは私が答えよう」
がちゃりと部屋の扉が開き女性がはいってきた
黒髪のワイルドな美人だった
少しウェーブがはいった髪の毛が胸元まで伸びている
元の世界でいえばラテン系、と言えばいいのだろうか、少し焼けた肌が健康的である
身に着けている物はチューブトップと七分丈のパンツのみである
肩の三角筋の膨らみもさることながら胸もでかい
そして腕もしっかり筋肉で太い
お尻から足へのラインにもしっかりと筋肉が乗っており誰がどう見てこの人が
「女オーガだ・・・」
部屋の中がざわつく
「俺初めてみたよ」
「確かに・・・強そうだ・・・」
そんな声に耳を貸さずに偽女オーガはオーカの方へと近づいてくる
「さっきの質問はお嬢ちゃんかな?この時期のギガンティックグリズリーの皮はかなり高値で売れるんだよ、もちろんそれを私達で狩れば大儲けできる、だけどね、そういう時は邪魔しようとするもんがでてくるんだ、今のは俺が狙っていたとかここは俺の縄張りだとか言ってな、まあ、それだけならまだ可愛いもんさ、中には皮を取って帰ってきてる所を襲われたって冒険者だっている、そういうクソみたいな冒険者を排除するのが目的だよ、それで納得してくれるかい?」
「なるほどね、確かにそれなら固まって行動する方がよさそうね」
「ああ、そうさ、お前達!そういう悔しい経験をした事ある奴がこの中にはいるんじゃないかい!?今回は大丈夫だ、一緒にこの儲け話を乗り越えようじゃないか!」
「「「おー!!」」」
辺りは興奮に包まれた
確かにそれで悔し涙を流した事がある冒険者達は多いようだ
「じゃあ出発は明日の昼だ!街には時計があるからちゃんと見るように、時計の見方が分からない馬鹿はいないだろうね!?よし、じゃあ解散!」
女オーガに初めて会えたとかで興奮している者は部屋からでようとしない
部屋から最初にでたのはオーカ達だった
「ねぇ、マック」
「へい、ししょ・・・いや、ハル、なんだ?」
「あれは誰が見ても女オーガだわ、私とあの人どっちがそう見える?って100人に聞いたら100人あっちって言うよ」
「そうっすか?いや、そうか?よくわかないな」
「だってあの人はしっかりと全身に筋肉があるのわかる見た目してるじゃない?私の怪力はスキルだからね、現に最初に疑いの目で近づかれた訳だし」
「まあ、見た目だけしか見ない奴らなんでしょうね」
「お、なによ、マック、成長したんじゃない?」
「俺の師匠に最初そうやってぶっ飛ばされたんでね」
「あはは、その師匠なかなかやるわね」
「はっはっは、自慢の師匠だからな」
「あはは・・・まあ、それでその見た目はいいんだけどね、っとちょっとここじゃ人が多くて話するの不味いわね、宿に行きましょうか」
「へいっ、いや、おう!」
マックはまだ慣れてないようだ
オーカ達は宿へと戻る
オーカは自分の部屋に荷物を置くとマックの部屋へと向かった
「それで師匠、何か気になる事でもあったんすか?」
「言葉使い!まあいいわ、ここは誰もいないし、えーっとね、確かに見た目は女オーガ!って言われてもおかしくない見た目だったんだけどあの人全然強そうに思えなかったのよ」
「師匠もっすか?俺もっす」
「えー、やっぱり・・・?このクエスト大丈夫かなぁ?」
偽女オーガの事が気になる2人
だがもはや賽は投げられた
後は直接戦いをみてみるしかないのである
「それにしてもあれくらいの身体だったらあの格好でも変な噂たたないのかしら?」
オーカの噂のせいであの格好をしているのか、元から偽女オーガがああいう格好が好きなのか
その謎はきっと解明される日はこないであろう
うーん、なんか長くなりそうな雰囲気




