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物欲センター再び

3連休2日目なので書きました

オーカとマックは今ではビクドン山の常連だ


もう2か月もビクドン山ダンジョンに籠っている


機馬の材料を手に入れようと籠り始めたビクドン山ダンジョンだがマックのある一言のお陰でここまで籠る事になったのだ


「師匠はもっと強くなることを望んでいるんですよね?それだったらやっぱりここで狙いの魔心珠取りませんか?」


この言葉にオーカは悩む

確かに純粋に防御力を上げるアイアンゴーレムの魔心珠は欲しい


オーカの思う最強の魔心珠セットの根幹であるとも言える代物だ


「いや、確かに欲しいけどさ、ミノタウロスだって1か月籠って出たくらいだよ?そんな簡単にはでないよ」


「そりゃそうですけど他のダンジョンは今の所行く予定ないじゃないですか、それにアイアンゴーレムから謎の機械が出ればそれだけ儲かりますよ」


「うーん・・・確かに・・・」


アイアンゴーレムから出るドロップアイテム謎の機械

これは機馬を作るうえで必須なアイテムだ

これを買おうとするとべらぼうに高い


高い理由として2つ理由があげられる

1つ目はアイアンゴーレムの生息地だ


アイアンゴーレム自体はそこまで強い魔物とは言えない

だが謎の機械を綺麗な状態で手にするにはダンジョンの中でドロップを狙うしかないのだ

ダンジョン外でアイアンゴーレムを倒そうとすると大抵魔石周辺を狙う事になるがこの謎の機械は魔石の近くに存在している

そして倒すとどうしてもショートしてしまうので使い物にならない

だから謎の機械を狙うとなるとダンジョン内で狩るしかない


ビクドン山は計7階層からなるダンジョンだ


ビクドン山ダンジョンと言う名前ではあるが内部は遺跡のようになっているのでどちらかといえばビクドン遺跡ダンジョンと言うのが正しいだろう


このビクドン遺跡ダンジョンの2,3層と6,7層にのみアイアンゴーレムは発生する

2,3階層にでてくる他の魔物はアイアンゴーレムよりも弱い為狙うならここが楽ではあるのだがアイアンゴーレムが発生する場所は1階層ごとに1部屋だけという区切られたスペースでしかない


他の魔物も相手にしなくてもよいので楽だし謎の機械がドロップすればまとまったお金になるのでこの部屋はいつも人がいる


部屋の壁の周りに居座りアイアンゴーレムからヘイトを向けられるのをずっと待ち続けるのだ

冒険者から先に手を出すのは暗黙のルールで禁止されている

もしそれを破ると後が怖い

皆ピリピリしながら狩りをしている


仮に冒険者が寝ている時にアイアンゴーレムからヘイトを向けられたとしても誰も助けてはくれない

もし代わりに倒したとしてそのアイアンゴーレムから謎の機械がドロップしたらどちらに所有権があるのかで必ず揉める事になる


助けてほしい時はしっかりと助けてくれと声に出さないといけない

そしてドロップ品に対して口を出すのはご法度だ


ダンジョン内でなにがあったとしてもその騒動はダンジョンの外へ出る事はない

それなら少しでも波風を立てないようにしなければならない


6,7階層には2,3階層よりもアイアンゴーレムは多く発生する

階層の至る所に沸く為に待ってなければいけないなんて事はない


だが問題は他の魔物だ

6階層は狛犬の様な石で出来た犬型の魔物とガーゴイルと呼ばれる石で出来た悪魔型の魔物が存在する

狛犬の方は石造りの割に素早く体格も小さいので攻撃を当てにくいし石なので硬い、そしてドロップがまずいので不人気だ

ガーゴイルの身体はそれ以上に硬く、さらに魔法も放ってくる、そしてやっぱりドロップがまずいので狛犬よりも不人気だ


そして7階層はそれにプラスして部屋に1匹だけデュラハンが沸く


このデュラハンはビクドン遺跡を基準にすると異常な強さを持っている

もちろんそれだけ強いとなるとドロップは美味しいのだがこいつを狩ろうとするならもっと他のダンジョンに行った方がいい


ビクドン遺跡ダンジョンでは1番の外れと言われこいつも不人気だ


そして高い理由その2は沸き時間の長さだ

6,7階層は即時沸きだか2,3階層は倒してから復活するまでに時間がかかる

24時間アイアンゴーレム部屋に人はいるが常に戦っている訳ではない

1匹が沸く、倒す、そして待つ、これを繰り返している


よってあまりにも低下力な冒険者が来るといやがらせを受ける事もなるので注意が必要だ


6階層でアイアンゴーレム狩りをする冒険者は自分で機馬を作りたいというマニアくらいしかいないだろう

7階層に至っては6階層が大変な込み具合をしている時に行くかどうかくらいなものだがまず6階層が溢れるほど冒険者がいたためしなんてない


「それで師匠、うちらは6階で狩るんですよね?」


「いや?デュラハンも倒してみたいから7階層かな」


「本気ですか?相当強いって話ですけど」


「でも攻撃魔法とかは使ってこないって話だしね、ダンジョン内だとアースクリエイト使えないからハメる事とかはできないけど私達なら多分いけるでしょ」


「そうっすか?師匠に勝算があるならわかりました、7階層まで行きましょう」


「デュラハンと言えば階級が9だかの冒険者がデュラハンドロップの大剣を使ってるって話だったわよね」


「有名っすね、ただビクドン山でドロップさせた訳じゃなかったと思いますよ、リビングアーマーしかでてこない凶悪なダンジョンがあるとかでそこで手に入れたって話聞いた事あるっす」


「あー、すごいわねぇ、いつか行ってみたいわね」


「そうっすね、まあ、一歩一歩って所っすね」


「ふふ、確かにそうね、じゃあ今回もどうせすぐには出ないだろうからばっちり準備して籠るわよ!」


「へいっ!頑張りましょう!」


それから2か月である、幸い謎の機械は何個かドロップしているので目的は達成されたともいえる

だが魔心珠はでてこない

計4種類の魔物が存在し2か月狩り続けているがどの魔物からも出てこないのだ


ミノタウロスばかりでるギュカクダンジョンとは違いここのダンジョンは無機物ばかりなので食事を補給しに街まで戻ららなければいけない、だがその時間を考えたとしてもミノタウロスを倒した数よりもアイアンゴーレムを倒した数の方が上になっているだろう


「でないもんっすね」


「そりゃそうよ、数が出てたらあんな値段になる訳ないわ、まあ、謎の機械がこれだけ出てるからプラスはプラスよ、それに最初は結構硬そうにしてたけど最近はすんなり倒せるようになってきたじゃない、スキルが成長したんじゃない?」


「そうっすね、俺の斧攻撃補正もこのダンジョンで大分強化されたっす」


「やっぱり強い敵と戦うのが強くなる為の近道なのね」


ダンジョンアタックを始めた当初はオーカが薙ぎ払い丸1発でアイアンを倒している横でマックは3回か4回ほど攻撃を当てやっと倒せていた感じだった


だが今となっては確定で2発で倒せている、これはなかなかの成長っぷりだ


「他の魔物が鬱陶しいけどね、7階層で誰にも会わない理由がよくわかるわ」


2日か3日起きにダンジョンに出入りをしているため周りの冒険者とは入口でよく会う

このダンジョンでは上下に移動する階段は一つしかなく階層を抜けなくても上に行けるので3階層で他の冒険者と別れるのだ

もちろん上にいくオーカ達は珍しく注目もされている

だがアイアンゴーレム部屋での競合相手ではないので他の冒険者達はオーカ達に好意的だった


食堂でご飯を食べている時なんかは結構話しかけられる

大体が謎の機械がドロップしない愚痴とアイアンゴーレム部屋の人口密度に対する愚痴だ

6階層に2人でいけるあんたらが羨ましいとよく言われた

そして機馬の話もよく出てくる

オーカ達は機馬マニアだと思われているのだ


「俺も最初はさくっと出して自分の分も出してここから出ようと思ったがねぇ・・・今となってはなかなか・・・」


これもよく聞く話の1つだ


あとは7階層で狩りをしているというとデュラハンについてもよく聞かれる

やはりドロップには皆興味津々で大剣はでたのか?でたなら見せてほしいと言われる

だが


「デュラハンからのドロップは鎧の破片以外は全然だよ、別に探し回って狩ってる訳じゃなくて見つけたら狩ってる程度だからね」


と答えはいつも変わらなかった


だがそんなオーカの話も周りからしたら凄い事である

部屋でアイアンゴーレムからヘイトを待っているだけの冒険者はデュラハン退治などできないのだから


「さてお腹もいっぱいになったし私達はもう行くわね、それじゃあね」


オーカ達が食堂を去ったあと残された冒険者達は思うのだ


「7階層であんだけ狩りをしてても狩りをやめないって事は謎の機械はそんなに落ちないのか・・・他の場所で狩りをしてる方がいいんだろうか・・・」


オーカ達が魔心珠狙いという事を知らない冒険者達はドロップ率がそんなに低いのかと嘆いていた

オーカがやってきた2か月前と比べて今アイアンゴーレム部屋にいるのはもはや自棄になったもの、雇われて籠っている物が大半となった

1発あててやろうという冒険者の数は減った

それにより愚痴の数も少し減ったようだ


オーカ達がいつものように階段をあがり7階層へと出る

するとそこにいきなりデュラハンがいた


だがそのデュラハンはこの2か月狩りつくしてきたデュラハンとは少しばかり様子が違っていた


「あれ?デュラハンって片手剣と盾装備だったよね?」


「そうっすね、大剣装備のデュラハンなんか初めてみたっす」


「ん-・・・なんでだろうね」


オーカすら知らない事あるのだがこの世界のダンジョンにおける場違いなダンジョンに発生する魔物の中にはたまにレア種というものが存在する

普段から周りに比べて強すぎると敬遠され討伐される事が全然なく放置されている為にそれに出会った冒険者はほとんどいない

今回はたまたま見つけたら狩ろうと積極的に動いていた為にレア種発生までこぎつけたのだった


「大剣って事は例の大剣ドロップするのかな?」


「そうかもしれないっすね、あのデュラハンを倒したからドロップしたのかもしれないっす」


残念ながらこの考察は間違えている

レア種と言うのはドロップ率が普通のと比べて増えているだけであってドロップ枠が増えるという訳ではないのだ

だがオーカ達がそれを知る術はない


「まあ、とりあえずさくっと倒しちゃいましょ、倒したら何をドロップするかわかるわよ」


「へいっ!いきましょう!」


周りに他の魔物がいないのでオーカはとりあえずストーンバレットを大剣デュラハンに向けて放つ


ゴンッ!


派手な音が響く

だがオーカは少し違和感を感じた


「マック、あのデュラハンちょっと今までより強いかも」


「え?そうなんすか?」


いつもだったらヘイトを集める為にストーンバレットを放ちあとは薙ぎ払い丸で攻撃する、といった感じでオーカ1人でデュラハンを倒していた

相手の装備は片手剣と盾なので間合いに気を付けていれば問題はない

気を付けると言えばたまに使ってくるシールドバッシュだけだ

これは盾を構えながら突撃してくるので間合いが一気に狭まるし盾を前に出してくるので止めるのはなかなか難しい


今オーカは大剣デュラハンにストーンバレットを当てたがなんとなくいつもより効いていない感覚があった

レア種と言うのはドロップ率が上がる代わりに魔物の強さも上がっているのだ

これを良しとするかどうかは冒険者の強さ次第だろう


「ちょっと様子見したいな、マック、他の魔物には手を出さないでなにかあったらすぐに動けるようにしておいてくれる?」


「へいっ!」


はたして目の前にいる大剣デュラハンにオーカは叶うのであろうか

そしてそのドロップは・・・

欲しいものがあったら籠る、これ、村の掟

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