この世界での一歩目
また書きたくなったので書いてます
そこから先はもう無我夢中だ
何をどうしたのかもう覚えていない
私の目の前は3匹の獣だったものが転がっている
「さっきは完全に骨だったから何とか耐えれてたけど・・・これはちょっと・・・うぷっ」
そこに昨日の夜食べたもの飲んだものが追加される
先ほどの感触がまだ手に残っている
私は初めて自分でほかの命を終わらせた・・・
わかっている、私だって他の命を食べて命を繋いできた
わかっている・・・わかっているがそれでも・・・
「うえぇぇぇえええ!!」
目の前に広がる惨劇、むせかえるような血と吐しゃ物の匂い、私はその場面から目を背けるように後ろを向きさらに吐き続けた
どれくらいたっただろう、もうすでに胃の中身は空っぽだ
「口・・・洗いたい・・・手も・・・」
目の前にある川にいき口をゆすぎ返り血のついた手甲を洗う
「でも・・・まだやる事があるんだ・・・」
神様からこの世界に来る前に文字を読む能力と同時にもらった生き残るための知恵、それは動物の解体の仕方
最初に殺した狼はメイスによって叩きすぎたのかもう原型はとどめていない
だがほかの2匹はかろうじて解体ができるくらいの形は残していた
血の付いたメイスと斧を足元におき袋の中に手を入れ解体用としてもらったナイフを手に取る
そして今までの人生では知ることがなかった、知ろうとすら思ってもいなかった知識を使い狼の皮を剝いでいく
空っぽの胃袋からは何も出ないのに何度も何度も吐き気が胃袋の中を殴りだしている
「でも・・・これが出来ないと・・・これに目を背けたら私はきっとこの世界でなにもできない・・・」
この世界では死というものは常に近くにある
子供の頃から動物を狩り皮を剥ぎ食料にする事なんかも珍しくない
貴族という温室育ちの子供だって魔物と戦う術は仕込まれるので泣きながら皮を剥いでいる人間は存在しない
「はぁ・・・」
終わった・・・
そこには殺し方が不格好だったせいか誰も買い取りなんかはしないであろう狼の皮と食べても不味いことが約束されているかのような肉と骨が転がっている
私は血で汚れていない所に仰向けで転がった
「次はもうちょっと落ち着いてやらないとな・・・はっ!!」
少し気分が落ち着いてきたが精神的に疲れたので少し目を閉じようとした時強化された聴力がなにかがこすれるような音をとらえた
心臓が高鳴る、なに?なに?なに?頭の中には色々な思考が生まれては消えていく
そしてあたりを見回した時に
「ゴブリン・・・よね・・・」
色々な創作物でよく見かける人間でいえば子供くらいの身長で緑の肌の人型の魔物、ゴブリン
気づいた時はもう囲まれている
見つかった、音を出しすぎたから?それとも匂いか?
血の匂い、吐しゃ物の匂い、それが奴らを引き寄せたのか?
「一応そうね・・・プランとしては確かにゴブリンもやらなければいけないリストにはいってたわよ」
私は足元にあるメイスと斧を持ち立ち上がりながら昨日の神様との会話を思い出す
『ああ、君は女の子だし一応言っておくけどこっちの世界のゴブリンとかオーガとかは普通に女でも殺しにくるからね、気を付けた方がいいよ』
「あー、それってよくあるゴブリンは女がいないから子供を産ませるために連れ去る的な話ですか?」
『そうそう、でもこっちの世界じゃ魔物って全部魔王の意思によって作り出されてるからね、生殖で繁栄とかはしないんだよ、魔動力が濃い所は強い魔物が、薄い所は弱い魔物が定期的に補充されていく感じ、おおよその数は何百年ずっと変わってないね、誰かに倒されたらその分どこかで産まれてくる』
「それって魔動力が世界から減ってそのうち魔物が産まれなくなったりするんじゃないですか?」
『いや、魔王ほどの個体なら世界的にみて魔動力の減少は見られるけどその辺の雑魚が死んでもまったく意味がないね、そうだなー、海からコップを使って水を取り出すような感じ?』
「魔王ほどの個体ならって・・・魔王って倒されたことあるんですか?」
『ああ、あるある、地の女神が封印した時に1回、あとは魔王が産まれてすぐだね、あの頃は自分が魔動力が薄い所に行ったらどうなるかってわからなかったんだろうね、だから結構簡単に倒されてたはずだよ』
「地の女神様が封印された時はどの辺で倒されたんですか?魔動力が濃い所ですか?」
『いや、その時も結構人間が住んでる所の近くまで来てたよ、今じゃ人間の領域でいえば真ん中よりちょっと魔物側ってくらいかな』
「なんで魔王は1度やられたのにまた来たんですかね?」
『魔王っていうのは魔動力を媒体に産まれた最初の個体でね、どうやら魔力を持っている存在を憎んでるみたいなんだよね、なんていうの殺意の塊みたいな感じ、何が何でも殺してやるぞ!みたいな、それで1回目は単身突っ込んできて2回目はちょっと頭使って仲間を引き連れてって感じかな』
「それで2回倒されてからはもう完全に自分の住処に引きこもりですか・・・」
『そうそう、でもまあボスクラスの個体を倒していけば魔動力も減っていくとは思うからそうしていくうちに家からでてくるんじゃないかな?そうしたらちょっとは弱くなった魔王と戦えるはずだよ』
「そうですか・・・そういえば魔動力を持っている魔物と魔力を持ってる人間、あとドワーフがいるって言ってましたよね」
『ああ、あと魔力を持ってるのはエルフだね』
「やっぱりエルフもいるんですね、有名どころですもんね、その両方を持ってないような生物もいるんですか?」
『いるいる、家畜だとかの動物は魔力もないし魔動力もないから魔石もないよ、あとはそうだね、魚人とかドラゴニュートなんかもいるけどこの辺はちょっと特殊な存在って感じかな』
「どんな風に特殊なんですか?」
『他にもダークエルフとかもいるけどこれは後天的に魔力か魔動力に中てられた存在なんだよね、だから君たち人間に対して有効的な奴もいれば殺意マシマシな奴もいる、魔力に中てられた存在だったら話も通じたりするんだけどね、魔動力に中てられた方はよっぽど高位な存在じゃないと人間の話なんか聞いてもくれないだろうね、で話は戻すけどゴブリンってさ、高位な存在、いると思う?』
「うーん、ゲームとかだとゴブリンキングとかそういった敵は出てきたりしますけど」
『その辺はこっちの世界でも産まれてるね、でも同族に対しては稚拙だけど支配と統治をしているよ、でも君達を見つけても殺すー!しか言わないだろうね』
「そうですか、まあ、でも襲われてとかそういう心配はしないでいいのはちょっと楽でいいですね、やられる前にやればいいんですからね!」
『アハ!君は面白いね、そうだね、それが最善だね』
そう・・・やられる前にやればいい・・・
それができるかどうかが問題だ
あの時神様は面白いと言った
そうだ、今自分で考えても面白い事を言ったと思う
今までやった事がない事をできて当然のようになにも考えずに言っていたのだから
また胃袋の中から吐き気が殴りかかってくる
「これは味覚の強化はしないで正解だったな」
そんな冗談を無理やり口から出しなんとか自分を落ち着かせようとする
だが頭とは裏腹に体は言う事を聞かない
こちらが存在に気付いたことを悟ったゴブリン合計5匹が身を隠すのをやめ殺意をむき出しにしながら私の方を見ているからだ
今まで向けられた事のない本物の殺意を前に私の足は震えていた
ああ・・・多分子供を産ませる事を考えるゴブリンだったらきっと醜い笑顔を見せながら油断しつつ近づいてくるんだろうなぁ・・・
そんな事を考えたがこの世界のゴブリンは殺意の塊だ
世界を作った時にできたバグから産まれた魔王と同じだけの殺意を持ちながら目の前のゴブリンは一歩、また一歩と近づいてくる
そしてすべてのゴブリンが手に持った素手で殺すよりはこの方が楽だと思ったので作ってみました、と言わんばかりのつたない、だがそれでも命を散らすには十分な武器を構えた
「ストーンバレット!」
私はメイスを持った右手を前に出し魔法を唱える
この世界では魔法を使用するのに詠唱なんてものはなく魔法の名前を言えば使えるのはもう試している
地の女神が封印された今となっては人間は誰も使えない、魔動力を持ち魔法の素質がある魔物にしか使えない地属性の魔法
人前ではあまり使わない方がいいだろうとは言われていたが地の女神を復活させる際にきっかけになるかもしれないという事で教えてもらった魔法により生まれた拳大の石が横に並んだ5匹のゴブリンの真ん中の個体の頭に命中しゴツッとイヤな音を立てる
バタッ、もうそのゴブリンだったものは倒れた音以外はなにも音を出せない
こいつは遠距離攻撃を持っている、それがわかったからなのか残りの4匹が勢いよく私のほうへ突っ込んできた
「ふんっ!」
残ったゴブリンは槍を持った個体が2匹と剣をもった個体が2体
槍が当然他の2体よりも攻撃が先に届く
ゴブリンが倒れた音により同時にスタートしたゴブリンは同じようなタイミングで槍を私に突き刺そうとしたので右手に持ったメイスを横に振り槍の穂先を私の体から外した
そして左に素早く動きながら左に持った手斧で1番左にいた剣を持ったゴブリンの頭を切りつける
槍をもったゴブリンは2体とも真ん中だったので一番右のゴブリンからは攻撃が届かない
ぎゃあーと叫んでいるのであろう切り付けられたゴブリンを絶命すべく私はもう1度、今度は思い切り力を入れて頭を叩き割った
その時槍の軌道を無理やり替えられたゴブリンが体制を立て直し私の方へもう1度攻撃を繰り出そうとしているのが視界にはいった
とっさにそのゴブリンに向かい手を伸ばす
先ほどみたストーンバレットを思い出したのかゴブリンは躊躇した
「それっ!」
私は魔法を唱えずに伸ばした手を振りかざしメイスをそのゴブリンの頭目掛けて放り投げた
グシャ、さっきよりも嫌な音がする
そして左手も振り上げ斧をもう1匹のゴブリンの眉間に命中させ絶命させる
「何かあった時のためにと思ってセットした投擲力、さっそく役に立ったみたいね」
投擲力は身体能力なのだろうか?スキルの枠の外、いや、枠のギリギリのような力だけど試しに作ってみたら作れたのでセットしておいたのである
「これであと1人・・・この武器も使っておきたかったのよね・・・」
腰にある袋の中に手をいれる
「行くわよ・・・薙ぎ払い丸・・・」
説明しよう!この主人公はネーミングセンスが皆無である!
ちなみに作者も皆無です
 




