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うっかりうっかり

さらに感謝を

初日は特に問題なく終わった

不寝番、とは言っても一晩中寝ないで見張っている訳ではないがそれも学生と冒険者で一緒に行った

冒険者は流石に慣れている者ばかりだが学生はそうもいかない

オーカと一緒に不寝番をやった学生は起こしに行ってもなかなか起きなかったし、起きたとしてもとても眠そうにしていてそれでは周りへの警戒はできないだろう、といった有様だった

まあ、こればかりは仕方ない、慣れなのだ

最初から完璧にできる人間など存在しない、ましてやこれだけ人がいる場所では各々の緊張感も欠けるというもの

今はとりあえず寝ないで次の人に交代できればそれでいい


不寝番を終えたオーカは自分のテントに戻る

モブ3人衆が来るかと少し思ったが来たとしても返り討ちすればいいだけなのでさっさと寝た

誰かが近づいてくれば気配でわかる、変に気にしすぎても明日に響く、休めるうちは休んでおくのも冒険者の鉄則なのだ


そして次の日

学生たちは皆眠そうだ、それもそうだろう

普段朝日と同時に起きるなんてことはないだろうから、しかし日の光というのも有限だ

夜には長距離の移動なんてするものではない、明るいうちに少しでも距離を稼ぐのだ


「朝食をとったらテントを片付けすぐに出発するのであまり食べすぎないように!今日は昨日より歩くからな!」


ヨシヤーノの声が響くと学生たちはげんなりとした顔をしていた


2日目も同じようにひたすら歩き、時に休憩し野宿できるポイントに付いたらテントを張り狩りをする

疲労が溜まってきているが昨日よりも各々で考えながら行動できている、やはりこの学園の学生は皆優秀なようだ


そして3日目、ようやく目的地にたどり着くことが出来た


やっと休める!などと学生は口に出すがそうもいかない、やはりやる事はたくさんあるのだ


「じゃあとりあえず今日もテントと狩りで別れて行動してくれ」


今日もオーカは狩り班と共に行動している、今日は狩り班にランコとデニスがいる、デニスの方はなんだか少しストレスが溜まっていそうだ

まあ、学生はほぼ全員なにかしらのストレスが溜まっていそうな感じではあるが


「じゃあ狩り班全員であっちの方までいくよ」


オーカの言葉を受け狩り班が移動していく

どの辺に敵がいそうかなどをレクチャーして学生に狩りを任せていると突然


ズドーン!!


爆発音が起こる

何事かとオーカや引率の冒険者は武器を手に音の方へ向かう、すると


「ちょっとデニスさん!なんでそんな魔法を使うんですの!?」


どうやらあの爆発音はデニスが放った魔法が原因のようだ

それを聞いたオーカは不審に思う、そんな魔法を使うような凶悪な魔物はここにはでないはずなのだ・・・


「凄い音がしたけどどうしたの?」


オーカが2人に話しかける


「オーカさん聞いてください!さっきそこにワイルドボアがいたんですけどデニスさんがフレイムハンマーを使ったんです!」


フレイムハンマー、それは炎を圧縮させ敵に放つ魔法で燃やす、というよりは炎で物理的に殴るような感じの魔法である、最後に破裂もするのでなかなかの攻撃性能だ


「えー、ワイルドボアにそんな魔法を?」


「どの魔法を使おうが俺の勝手だろうが!それにどの魔法を使えなんて言われなかったぞ!俺はロイホス家の人間だ!得意な炎魔法を使って何が悪い!」


「別にどの魔法を使うかは得意不得意があるからなにも言わないけど・・・後先は考えた方がよかったんじゃないかな?」


そこには爆発により窪んだ地面とばらばらになった元ワイルドボアが散乱していた

これがワイルドボア1体の討伐や魔物に向けての示威行為ならそれでもいいのだが今回は食べる為に魔物を倒そうね、という趣旨があるのだ

それになにより爆発音を聞いて他の魔物が逃げてしまったようだ

人間に殺意を持っている魔物だって逃げる時は逃げる、見つけたら即戦闘となるような魔物はそんなに多くない、獣型ならなおさらだ


「黙れ、俺のような人間は狩りをする必要なんかないんだ、こんな事そこらへんの人間にやらせておけばいい!ロイホス家の人間がやる事じゃない!」


「ふーん、そう、じゃあランコ別の魔物狩りにいくわよ、教えてあげる」


オーカはそれを聞くと好きにすればいいと言わんばかりに何も言わずにランコを連れその場を去った

そこまで教育してやる義理はない

そんな奴に食事はやれないと言っても他の学生が食べようとしてる肉を奪って食べるのも目に見えている

本人がそう思っているなら周りが言ってもなにも変わらないだろう

ランコは少し気まずそうにしているが何も言わずにオーカの後をついてきた


後ろから舌打ちが聞こえたような気がするが気のせいだろう

オーカはこの時だけ鈍感系になったのだ


ランコが何かを言いたげな表情でこちらを見ている

この時オーカの鈍感系が解消された


「いいのよ、結局周りから押し付けられても本人が納得してないならなんにもならないわ、私にできる事はこの演習を無事に終わらせるように目を光らせている事だけ、歪んだ性格を直すのは私には管轄外よ」


「そう・・・ですわね・・・、でも私はオーカさんがうちの学園の先生になってくれればいいのにって思ってますわ!」


「えー、先生?無理だよ、教えられる事なんてなにもないし」


「そんな事ないですわ!うちの学園では武芸も教えておりますしそういった先生にならぴったりだと思いますの!」


「あはは、それこそ無理だよ、私の戦闘は相手を殺す事と生き延びる事しか考えてない戦闘だからね、貴族のは形式とか相手への敬意とか面倒な事いっぱいあるでしょ、私は勝つ為には卑怯な事だってするよ、負けたら死ぬからね」


「冒険者というのもなかなか厳しい世界なのですね・・・」


「貴族の世界だって厳しいと思うよ、ま、想像の中でしか知らないけどね」


「ふふ、でも楽しい事もありますわよ、お茶会したりダンスパーティだってありますし」


「おー、ダンスパーティって本当にやってるんだ、でもああいうのってただ楽しむ為のモノではない訳でしょ?」


「そうですわね、子供の頃は純粋に友達に会えるって感じでしたけど今となっては家の繋がりの確認だったり結婚相手を探す場所であったりで面倒な事も多いですわ、でもやっぱり友達に会えるのは楽しいですわよ」


「そっかー、友達ねー、いないからなー、冒険者仲間は友達じゃなくて同業者だしねぇ、なんかあったら刺される可能性だってあるからなー」


「それはまた大変ですわね・・・じゃあオーカさんさえよかったら私とお友達になってくださらない?」


ランコの顔はオーカから見ても美人だ、その美人にいい笑顔で言われて断れる人間がどこにいようか


「えー、本当?じゃあ初めての友人だなぁ」


「うふふ、2人の時はオーカって呼んでいいかしら?」


「うん、いいよー、まあ、この演習が終わったらずっとオーカでいいよ、仕事でマルゲイン学園の方に来るかもしれないしね、その時時間があったらお茶でもしようか」


「あら、それはいいですわね、この2週間でお別れじゃなくてよかったですわ、お手紙とか出せればいいんですけど決まった家とかありますの?」


「ああ、それならサブウエエの街の冒険者ギルドに出してくれればいいよ、そしたら私に届くはず」


「わかりましたわ!」


美人が笑っている、これだけでこの演習は成功したと言っても過言ではない

なんとか無事に送り届けないといけないな、オーカは少し背筋を伸ばした


他の学生と合流し狩りの仕方を再度教えながら再開する

先程の爆発音で魔物は逃げてしまったので少し見つけにくかったが何とか食料は確保できた

この場所に何日か留まるので少し多く取る分には構わない


狩りが終わったのでテントのある場所へと戻る

爆発音に関してはもう周りの冒険者に共有しているので大した騒ぎにもなっていない

鳴った直後は皆警戒をしていたようだが今はもうそんな事なかったかのようにしている


皆が集まった時また解体をし食事の用意をする

デニスはどうしているだろうかと少し気になったが色んな学生に質問攻めにあい探すどころではなかった


解体があらかた終わった時、再度音が聞こえる


ズドーン!


そして


グラグラグラグラ


(地震?気にしてなかったけどこの世界にも地震ってあるのね)


オーカは元の世界ではよく経験していた為焦りはない、建物が建っている訳でもないので倒壊の恐れはない、というか震度2くらいの地震じゃその心配している人間なんかいないだろう


だが


何が起こった!?今のは魔物の魔法か?攻撃されているのか?


周りにいる人間はパニックになっている


(あれ?この動揺の仕方って・・・)


オーカは慌てているマックに声をかける


「ねぇ、マック、今の地震ってさ」


「へいっ!師匠!地震ってなんすか?」


「いや、今地面揺れたじゃない?」


「それを地震っていうんすか?師匠は物知りっすね、というか地面が揺れたのにそんなに冷静でいられるなんて流石師匠っす!」


マックがでかい声をだす

その声に釣られたのか冷静でいるオーカを見たからなのか周りの冒険者達は徐々に落ち着いていった


(地震はない国だったのか・・・じゃあ原因はその前にした爆発音・・・あの音は・・・)


「ヨシヤーノさん!とりあえず全員いるか確認して!パニックになってる子がいたら落ち着かせてあげて」


オーカが声をかけるとヨシヤーノはすぐに動いてくれた


そして


「はぁー・・・あの3人がいない、か・・・気づかなかったな、いつからだろう・・・」


「解体の時には見たか?」


「いえ、私は見てないですね、刃物を使った作業なので目を離せませんでしたし・・・というか地震、いや、さっきの地面が揺れる前に爆発音があったの覚えてますか?」


「ああ、あったな」


「あの音、狩りの時にデニスが使ったフレイムハンマーの音にそっくりなんですよね」


「ちょっと離れた場所で聞こえた気がしたな、仕方ない、捜索するか」


「はー・・・じゃあ私行きます、多分私が探すのが1番早い」


「わかった、じゃあ俺とマックの3人で行こう、連絡用に魔法の合図を決めてくるからちょっと待っててくれ」


「わかりました」


連絡用の魔法と言っても狼煙のようなものだ、空に向かって何発魔法を打てば見つかった、とかその類の

もちろん魔物に見つかる事になるがこの場所くらいならどんな魔物に見つかってもこの3人なら大丈夫だろう


「はー・・・ねぇ、マック」


「へいっ!」


「ヨシヤーノさんが付いてくるので私が適当に捜索しないように、とかそういう訳じゃないよね?」


「いや、流石にそれは考えすぎじゃないですかね?」


「ならいいけど・・・はー・・・っし!ヨシヤーノさんが帰ってきたら音がした方に向かうわよ!」


「へいっ!」


正直乗り気がしない捜索が始まる

誰でイベントを起こすかって考えるのが難しい

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