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依頼の内容は

今日も書きたくなりました

「さて時間もないし君達に頼みたい仕事の話をしよう」


「お断りします」


「話を聞かないで断るのかね?」


「正直呼び出されて仕事の話をされるとろくな事が待っていないと思うんですよね」


「なんでそう思う?」


「私達以外にも冒険者はごろごろいるのに私達の所にわざわざ話が来るからです」


「それは君達を期待しての事かもしれないぞ?」


「遠慮してます」


「ふむ、じゃあまず今回は君達にこの仕事の依頼をしたい理由から言おうか」


(おかしいな、断ったはずなんだけどな)


だがスミスの話は終わらない


「まずは最低限の礼儀を弁えているという所だな」


「あー!絶対貴族関係ですよね!いやです!帰ります!」


「まてまてまて、貴族と言ってもまだ子供だ、マルゲイン学園の野外演習の引率をしてもらいたい」


「貴族でガキって最悪の組み合わせじゃないですか、絶対いやですよ」


この時スミスはお前だってガキだろうという言葉を全力で飲みこんでいた


「まあ、確かにその考えもわかる、だが子供というのは大抵実力を見せれば黙るものだ、なあ、そうは思わないか?女オーガよ」


「思わないですよ、どうせ貴族からしたら私なんか路傍の石ころですよ、どんな目にあうかわかったもんじゃない」


「だがなぁ、この依頼はヨシヤーノからオーカがいいんじゃないかって相談を受けている案件でなぁ」


「ええ、ヨシヤーノさんですか?なんでまた・・・」


ヨシヤーノというのはサブウエエの街の冒険者ギルドではかなりの実力者であり人格者である

オーカもなんやかんやと目をかけてもらいよくしてもらっている

そのヨシヤーノの名前を出されるとちょっと弱い


「あいつもそろそろいい年でな、そういう引率だの訓練なんかの任務を多くこなしていてな、お前がいつもマックと2人での任務ばかりな事を気にしているんだ」


「はー・・・階級をあげるにはもっと人と絡まないといけないってあれですか?はっきり言っておきますけど私は冒険者の階級を上げる事に固執していません、面倒事が増える気がするので」


「その言い分はわかる、だがな、オーカの実力はここ最近皆の耳に入っている、しかも階級が低いとなれば安価で仕事を頼める訳だ、ここまで言えば何が言いたいかわかるだろ?」


「はぁ・・・同じ階級やちょっと上くらいに頼む依頼が私に殺到するって事ですか?それならそんなの受けなければいいんじゃないですか」


「そうもいかん、実際オーカに仕事を頼みたいと言っている人間は大勢いる、もちろん大工や引っ越し業者からも頼まれているぞ、ああ、ちなみに女オーガに頼みたいってやつらも結構いる、結構名前売れてきたみたいじゃないか」


「はぁ・・・女オーガって言ってきた人のは全部断っておいてください」


「ああ、わかった、だが今回の依頼はもちろんオーカにという事でヨシヤーノからきているが?」


「わかりましたよ、ヨシヤーノさんが言うならいい経験になるんでしょう、本人にもうやめてくださいって話はこっちからしておきます、今回だけですからね」


「よろしい、期間は大体2,3週間を想定している報酬の話は大体こんなもんで・・・」


目の前に金貨が何枚かおかれる

それを見てオーカはますます嫌な予感がした


「3週間でその値段だとしても結構な値段じゃないですか、それなのに仕事の人員が埋まらないなんてなにか隠してるんじゃないですか?


「いや、そういう訳ではない、高い値段だしてもいいから本物を、というのがあちらが出した条件だ」


「そうですか、本物ねぇ・・・ところでマックもその依頼一緒に行っていいんですか?」


「無論だ、君達はパーティなのだから」


「了解しました、じゃああとはヨシヤーノさんに聞きます」


「ああ、検討を祈る」


トントン、その時扉が叩かれる音がした

どうぞ、の声で扉を開けたのはサティ、なんというタイミングだ、どうやら扉越しに話を聞いていたようだ

全然気づかなかった


「清算が終わったようだな、じゃあそれをもっていけ、当日は遅れるなよ」


「わかりました、不本意ながら受けた依頼はちゃんとこなしますよ」


「それでこそだ」


スミスは上機嫌そうな顔で笑った

反対にオーカの顔は不満げだ


そんなこんなで依頼の日の前日、当日は朝に出発という事で早めに集まりマルゲイン学園へと目指す事になっている

集合場所には何人かの冒険者たちがいた


「はー・・・こんな時期に演習なんて貴族はどこか抜けてるんじゃないかしらね」


今は夏だ、これじゃあ演習という名前のピクニックだ


「そうっすね、出かけるには最高の季節っすからね」


オーカとマックがぼやいていると大きな男が近づいてきた


「よぉ、オーカ、それに悪童」


「どうも、こんにちは」


「おいおい、まだ拗ねてるのか?この前散々説明しただろう」


「わかってますよ、頭ではわかってるけど感情が追い付いてないだけです」


スミスに呼ばれたその日にオーカはヨシヤーノの所へ出向き二度とこのような依頼で自分の名前を出さないでほしいと頼んでいる


「そういう所はまだまだ子供だな!」


ドキリとした

1度は30歳を超えた事があるのに確かに子供みたいな事を言っている気がしたのだ

だが・・・こればかりは納得ができない、できれば貴族とかに関わらずに生きていきたいと常々考えていたからだ


「まあ、いいですよ、もう、それでそろそろ出発ですか?」


「ああ、人数もそろったしな、道中魔物がでるかもしれない、その時は頼んだぞ」


「魔物も盗賊も全部任せてください、まあ、この集団をみて喧嘩ふっかけてくる盗賊なんかいるとは思えませんけどね」


裕福そうな商人を護衛しているならまだしもここにいるのは全員冒険者だ

対してお金を持ってなさそうなに火力だけはある、そんなところに突っ込んでくるような馬鹿な盗賊ではどの道長生きはできないであろう


「流石女オーガだ、頼りにしてるぞ、よし、お前ら、全員そろってるな、準備はいいか?」


ヨシヤーノが周りの冒険者にも声をかける

全員準備は万全のようだ


「では出発だ!」


ほど半日をかけマルゲイン学園へと向かう

道中は驚くほど平和だった、というか平和すぎて暇だった

そりゃこんなにむさくるしい連中だ、魔物だってどうせなら若い女がいる所にでてきたいだろう


(あれ、その理屈で言うと私って・・・)


オーカは考えるのをやめた


「お、見えてきたぞ、あれがマルゲイン学園がある街、クル・マヤーだ」


初めて来る街、ここは近くに小麦畑が多く麺料理が有名だ

スープの中にはいっている麺料理が最近のトレンドで何店舗もできているそうだ


「お前らは全員宿をとっておけ、オーカ、お前は俺と一緒にマルゲイン学園へと挨拶にいくぞ、おい、なんだそのイヤそうな顔は、有無は言わせんぞ」


「はー・・・貴族の学校の先生に挨拶って絶対めんどくさい・・・」


「聞こえてるぞ、絶対に学園ではその顔はするんじゃないぞ」


「はいはいー」


「ったく・・・おい、マック、オーカの分の部屋も忘れずにとるんだぞ」


「へいっ!師匠いってらっしゃい!」


「はーい、いってきまーす」


オーカはしぶしぶとヨシヤーノの後をついていく

クル・マヤーの街はサブウエエの街の街より発展しているようだ

流石貴族の学校がある街なだけあって少し歩けば貴族(っぽい高そうな格好をしている人)がいる


(貴族って徒歩で移動してるの?イメージと違う・・・)


そんなオーカの心の声が聞こえたかのようにヨシヤーノが小声で話しかけてくる


「ああいったのは階級が低かったりする貴族だ、この街では貴族がその辺を歩いていても変な目で見られることは少ない、それだけ貴族用の店なんかがごろごろしてるからな、だがやはり階級が高いには馬車に乗って移動したり使用人なんかを使って買い物をしている、だからそんなにきょろきょろするなよ、難癖つけられても知らないぞ」


「はーい」


この世界ではそんなものであるらしい

更に話を聞くと貴族でも店で麺を食べるのが最近の流行だとかなんとか

それもあって街には貴族が多くいるのだ


もしかしたらこの世界に異世界の料理ラーメンを持ち込んだ人間がいるのかもしれない

そう思ったが店で出されているスープに入った麺料理を見たがラーメンとは似ても似つかない感じだったのでこの考察は外れているかもしれない


相変わらずきょろきょろとしながらも道なりに進んでいくと大きな門を構えた大きな建物の前までやってきた


「ここが・・・」


「そう、マルゲイン学園だ、こっちに受付があるからまずはこっちだ、行くぞ」


「はーい」


受付で手続きをして中へ通される

最初はオーカをみて編入の手続きですか?なんて声をかけられたがサブウエエの街の冒険者ギルドから来たと言うとあら、すいません、オホホとばかりに会話を流された


マルゲイン学園の中のとある一室に2人は通された

そこで出された紅茶はサブウエエの街の冒険者ギルドで飲んだ紅茶よりも美味しかった


(やっぱり貴族の学校だけあって高いもの使ってるのね)


なんとなくお茶菓子に手を出すのだけはやめておいた

自分の目の前にだけ出された事がちょっと気になるからだ


「待たせたね、ヨシヤーノ君」


ガチャリと扉をあけて入ってきた男性がすぐにヨシヤーノに声をかける

私はすぐに紅茶をテーブルに置き立ち上がり頭を下げた

面倒な貴族と関わりたくはないとはいえどこれは仕事だ、仕方がない


「おや?その子は?君に娘がいたのかい?」


「いやいや、ナカモト学園長、この子は同じ冒険者でしてね、今注目株なので経験させておこうと思って連れてきたんですよ、きっとそのうちナカモト学園長の耳にも名前が入る事になるでしょう」


「ほう、そうなのか、しかしなんだね、あまり若い子にそう恩着せがましくするものではないぞ、よかれと思っても本人はどう思っているのかわからんからな、うちの娘もそうだった、はっはっは!なぁ、それで名前はなんていうのかね?」


「オーカと申します、初めまして」


「なかなかしっかりしている子じゃないか、うちの学生にも見習わせたいくらいだ」


「ご冗談を、マルゲイン学園の噂は私も耳にしています、優秀な方々を多数輩出なさってるとか、そのような学園に通ってる方々に見習わせる所なんて私にはありませんよ」


「ははは、そんな噂がうちの学園にあったかな?はははは」


正直に言えばそんな噂はオーカの耳にはいってきてはいなかった

それが入ってきたのはほんの少し前だ、タイミングで言うとクル・マヤーの街を入ってからマルゲイン学園へ向かう道中だ


だがそう言われて怒る人間はいないだろう、実際結構有名な卒業生もいるらしい

オーカが世間知らずなだけである


「確かにこの子は将来大物になりそうだな、ヨシヤーノ君が目をかけるのもわかる気がする、だがほどほどにな、嫌われてからじゃどうにもならないぞ、はははは!!」


どうやらナカモト学園長は結構気さくな人らしい

だがそんな明るい空気の中でもわかる、この人は相当強い

オーカはそれを感覚で感じていた


このナカモトは2代前の王国魔術団長である

早い話がナカモトが若い時には魔法では右に出る者がいなかったくらいの人物である

今は持病の腰痛と戦いながら若い人材の育成を主な仕事にしている


「よし、じゃあオーカは初めてだし簡単にこの野外演習の概要を説明しよう」


ナカモト学園長が仕事の話を切り出した

ジロウは流石に名前の世界観があわないか・・・?

いや、しかし・・・

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