表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/69

物欲センサー感度良好

今日も書きたくなった

始めは気楽だった


すぐに終わるちょっとした観光くらいのイメージだった


美味しいものを食べながら軽く身体を動かしつつまたお腹を減らしそして美味しいものを食べる、そのくらいに考えていた


だがこの生活ももう1か月が経つとそうも言ってられなくなった


最近ではダンジョンからでるの事でさえ4日に1回程度

疲れたり眠くなったら階層の途中の階段で休む

もちろん横になれる訳でもないし床は硬いのでそんなに疲れはとれない

だがしかしここまで行くと意地である


周りにいる冒険者ともすっかり顔なじみになった


でたか?という視線を向けるとでないさ、と顔を横に振る

そっちは?という視線を向けられこちらも顔を横に振る


そしてそのあとはお互いに溜息だ


そして後から来た冒険者を何人も見送った


ちょっとレベル上げに来た奴、同じく斧を狙っている奴、他のレアドロップを狙っている奴


もう何人とここで知り合いそして離れていったか

そんなオーカ達はただいま休憩中である


「本当にでないわね・・・1体倒すのにそんなにかからないから結構登ってきてるけどこれ以上は危ないわ、ここの沸きペースと強さが今の私達の限界」


「そうっすね、これ以上の階層にいくとミノタウロスエリートがメインになるっすからね」


今は縦に登っていくギュカクダンジョン全8階層の5階で狩りをしている

2人でミノタウロスエリート1体を相手するには難しい話でもないが1対1、そして1対多となると流石に厳しい

やはりパーティというものは4,5人で組むのが1番効率がよいのかもしれない


「まあ、それはさておき問題はドロップ率よ、お肉がいっぱい出るのは嬉しいけど1か月籠ってこんなにもでないものなの?」


「いやー、それは俺も初めてなんでわかんないっすけど話に聞いた限りでは出る時は出るけど出ない時は出ないって言ってますからね」


「はー・・・そうよね、最初は普通のお肉でもドロップしたら嬉しかったけどもう今は喜べないわ・・・」


たまに出る上質な肉にはまだ喜べるくらいの元気は残ってはいるのだが


「どうします?諦めてビクドン山の方いきます?」


「ん-、でも結局効率悪いのよね、ここで出すしかないわ、さ、また頑張りましょう」


「へいっ!なんかすいません、師匠」


「馬鹿ね、あんたの武器だけど私の為でもあるのよ、パーティなんかそんなもんよ」


「へいっ!」


オーカ達はまた武器を構え襲い掛かってくるミノタウロスを狩り続ける

手慣れた様子で相手を屠っていく様は流石女オーガだと周りの冒険者に言われ居酒屋ではちょっとした話題になっている、もちろん本人はそれを知る由もない


ダンジョンから出るのは荷物が多くなってきた時やベッドで眠りたくなった時くらいなものでドロップ品として肉がでるので居酒屋に行く時間も意味もないからだ


唯一救いなのはマジック階級とまではいかないが何本か斧をドロップしているので赤字にはなっていない事だろうか


休憩が終わり何体目、いや、何十体目を倒した時だろうか、ミノタウロスが塵になっていく時にコツンと軽く地面を叩く音がした


(魔石にしてはちょっと音が違う?あっ!これは!)


「お、師匠!魔心珠じゃないですか!」


「馬鹿!静かに!」


そういってオーカはあたりをきょろきょろと見渡す、幸い近くには誰もいないようだ


「あ、すいません!」


「これが出ると難癖つけられる事がある事くらいマックだって聞いた事あるでしょ、揉め事はごめんだわ」


魔心珠、それはかなりの低確率でドロップするステータスそのものを強化できるアイテムだ

ダンジョンにいる魔物からのみ落ちると言われていてその価値は高い

ゆえに今の魔物は俺が途中まで倒してた、だとかここは俺の縄張りだとかでなんとか奪おうとしてくる輩だって出てくる始末

ダンジョンの中だ、隣でさっきまでにこやかに笑っていた奴がいつ自分に刃物を向けてきてもおかしくない

それだけこの世界では人の命が安く、使えるアイテムというのは高額で売買されているのだ


「マック、あんた魔心珠はセットしてるの?」


「いやいや、してる訳ないっす、こんな高価なもの、師匠はどうなんです?」


「私だってないわよ、折角だから使っておけば?ミノタウロスのなんてマックにぴったりじゃない」


使い方は簡単で手で握りぐっと力をいれて砕くだけ

それだけで魔心珠の中に封印された魔物の力が手に入るのだ

セットできる数は1人につき3つまで、3つセットした状態で新たにやろうとするとただ壊れるだけなので要注意だ

セットした力はある種の呪いであるので祓う事ができその後にだったら別の魔心珠をセットする事ができる


「ミノタウロスの効果は筋力と確か斧を装備した時の攻撃力が増えるはずよ」


「それなら師匠が使ったほうがいいんじゃないっすか?」


「私は斧だけじゃないしね、それに私は伸ばすなら火力以外を伸ばしたくて、手に入るかどうかはわからないけど一応3つ決めてるのよ、マックだって冒険者やってるなら1度は考えた事あるんじゃない?最強の魔心珠セットとか」


「ありますね、実はミノタウロスのは考えてたんすよ」


「じゃあいいじゃない、さっさと使っちゃいなさい、先行投資ってやつだから気にしないでいいわよ」


「へいっ!ありがとうございます!」


マックはミノタウロスの魔心珠を砕きステータスを上昇させる、これでさらにここでの戦闘が楽になるだろう


「師匠はどんなセットで考えてるですか?」


戦闘を再開させたマックがオーカに尋ねる

力を得る前と得た後では攻撃力がかなり違うみたいでさっきよりも軽快にミノタウロスを倒している


「私?私は防御よりで考えてるのよね、だからゴーレム系、トロル系、あとは魔法を伸ばしたいから精霊系かな、魔法系は結構値段高いから正直売ってもいいかなって感じするけどね」


「確かに魔法系は値段全然違うっすよね」


「昔オークションに死の書って魔物の魔心珠でたの知ってる?噂では相当な額のお金が動いたそうよ、城が建つくらいのお金だって、いいわねー、夢があって」


「凄いっすよね、シュエーシャ図書館のダンジョンなんてまだまだいける気がしないっすよ」


「そうよね、まあ、仮に1か月籠ってもでる気はしないわ、その噂を聞いて何十人も冒険者が押し寄せて帰ってこなかった人も大勢いるって話だしね」


「欲をかきすぎるのもよくないっすね」


「そういう事ね」


ゴトッ


「お、両手斧、あ!マック!見て!マジック階級よ、これ!」


「おお、本当っすね!」


「これでギュカクダンジョンともおさらばよ!もう一生分の牛肉を食べた気もするしさっさと出るわよ!」


「うっす!あ、でも師匠、ちょっとボスの顔だけ拝んでいかないっすか?」


「ボスか・・・ここのボスって・・・」


「エルダーミノタウロスっす」


「また牛か・・・ちょっと見たい気もするけどパスよ、不意に襲われたって逃げる手段がないし」


「そっすね、じゃあ帰りましょうか」


「そのうち倒しましょ、美味しいお肉を落とすって話だけど今はそんなに食べたい気分じゃないしね」


オーカ達はそのまま帰路につく

途中でガラの悪い冒険者に絡まれたりもしているがはっきり言って書くほどの事でもないのでそこは割愛しておく

大体1発2発で倒され女オーガの名前を広げていく事にしか繋がってないからである


目的のものを手に入れ、さらに高価なおまけもあるとなればオーカ達もそんな連中をわざわざ殺すような事はしない

何も出てないときに絡んでいたらやられている可能性はあったかもしれないが・・・


オーカ達はギュカクダンジョンを後にし宿屋で疲れをとり野菜をいっぱい食べた後にサブウエエの街に戻った

ちょうど同じ方向にいく商人のキャラバンがいたので護衛任務を受け小遣いも稼ぐ事に成功し気分は上々だ

そのお陰もあるしギュカクダンジョンでの濃密な1か月が1か月前の出来事を忘れさせていた


そしてミノタウロスの肉とドロップした斧や魔石を現金化しようと冒険者ギルドにはいり副ギルド長と目を合わせるその時に全てを思い出したのである


「あっ!やべっ!」


そう思った時にはもう遅い

副ギルド長は一瞬でオーカの近くに寄りそして出口をふさぐような形で陣取ったのだ


「やあ、オーカ君、久しぶりだね、戻ってきたって事はもう機馬の材料は手に入ったのかな?あそこは遠いからわざわざ帰ってくる事はなかろう、という事は頼もうとしていた仕事の話ができるという事だろう?」


「いやー、それが私達ギュカクダンジョンに行ってたのでビクドン山はこれからなんで・・・」


「ほう!そうかそうか!つまり機馬はそこまで早急に必要だったという訳じゃあないようだね!」


ダメだ、これは何を言っても解放されそうにない

仕方ないのでオーカは腹をくくった


「わかりましたわかりました、話は聞きます、でも受けるかどうかはまた別ですよ?」


「よろしい!じゃあさっさと部屋まで行こう、なに、話をしている間に会計は終わるようにしておこう、君、早急にオーカ達の会計を終わらせて話が終わったら持ってくるように、いいかね?」


(話が終わったら・・・か・・・しかも頼んでるのはサティさんか、こりゃ仕事受けるまで持ってこなさそうだな)


苦虫を嚙み潰したような顔をしてみるがスミスはオーカの顔には一切触れなかった、視線すら送っていない


(さて、これから振られる任務はなんだろうか、できれば・・・面倒にならなそうなのが望ましいのだが・・・1か月も焦げ付いてるんじゃ無理だろうなぁ)


オーカは天を仰ぎ溜息をつく


「何しているんだ、早く来るんだ」


自分の部屋の前でスミスが叫んでいる、これ以上待たせたら1か月も待ったんだぞとか言われそうだ


(やれやれ、ずっと平穏とはいかなそうだね)


「はーい、今行きますよー」


オーカは小走りでスミスの後を追う

その足取りはスキルで強化されているのにかなり重たかった

そろそろ世界の説明だったりも終わりかな?

数話かけて1エピソードとかも書いてみたいな

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ