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怒りは唐突に

ネーミングセンスが悪いならパロればいいんだ!

オーカが急に怒り出した

周りにいる者達は何故オーカがこんなにも怒っているのかわからないだろう

このような輩はこの世界にはごまんといる、いちいち突っかかってはきりがない

それに最初はオーカを軽く見ていた自分達にも怒る事はなく実力を自ら証明し信頼を勝ち取っていったオーカである

それなのに何故こんな事で?

この中では1番長い付き合いのマックもオーカが怒り声を荒げるのは初めての経験だった


「あんたね、まず顔も見せないでいきなり勝負しよう、なんて言われてわかりましたって言う人間いると思ってるの?いると思ってるならそいつは相当の馬鹿か戦闘狂よ、というか戦闘狂って言葉が嫌いなのよ、ああいうのは戦いたいんじゃない、ただ単に自分より弱そうな人間を探して戦って悦に入ってるだけの雑魚よ、あんただってそうなんじゃないの?大体強い人と戦いたいならこんな所で探してないでもうちょっと進めばそんな人がごろごろいるセブンレブンの砦があるんだからそっちで探すのが普通でしょ、それなのにカッコつけて俺と勝負しろ?勝負から逃げるのか?でかい図体してる癖にそんなのもわからないくらい馬鹿なのかしら?」


オーカは元の世界にいた時上司に恵まれていなかった

自分勝手なで他人を巻き込み、自分の言った通りに部下が動かないと不機嫌になる、そんな上司だった


そしてその上司が好きで呼んでいた小説に出てくる他人の事を一切考慮しないで戦闘を吹っかけてくる戦闘狂の男と若干性格が似ていたのでこの手のタイプが嫌いになったのだ

その小説でそいつが殺された時はいつも以上にお酒が美味しく感じられたくらいに嫌いなのだ


「ふむ・・・そうか、人間と話す時は顔を見せた方がいいのか・・・」


「は?あんた森からでも来た・・・」


オーカは最後まで言えなかった

目の前にいる怪しい奴がフードを取ろうと頭に伸ばしたその手は明らかに人間のそれとは違っていたからだ


「全員後ろに下がりなさい!」


腕の異様に気づいていなかった者、気づいて恐怖に支配されていた者もオーカの指示により素早く後ろに下がる

これはオーカの指示でオーク狩りをしていた経験があるからだろう


「なに、すぐに攻撃したりはしないさ」


ゆっくりと露わになったその顔からは2本の角が生えていた

赤銅色の肌、2本の角、そして巨大なその体躯・・・そう今目の前にいたのは人間じゃなく


「オーガだ・・・」


「その通り、俺の種族はオーガだ、顔を隠していた理由がわかってくれたかな?」


魔物というのは本来人間に対して殺意しか持たない

だが例外は存在する、オーガもその1つだ


普通であれば魔物は魔物を襲わない、だがオーガは違う

その殺意は同じ魔物にも向けている、そして魔物を倒す事で強くなっていく

その過程で知恵をつけ感情のコントロールを身に着けるのだ


「あんたくらい流暢に喋れるオーガは初めて見たわ」


ちなみにオーカがオーガを見たのはこれが初めてである


「そうかい?俺の群れには何人かいるぞ?まあ、でも勉強になったよ、このまま進んでいけば強い奴が多くいる所があるんだな?」


(これはちょっとまずい事を口走ったか・・・?)


「そうね、でもあんたが望む戦いはないかもしれない」


「ん?それはなんでだ?」


「わざわざ私に向かって声をかけたって事はあんたは1対1の勝負がしたいんでしょ?セブンレブンの砦にいるのは軍人よ、魔物1体に対してわざわざ1対1で戦うなんて事はしないわ」


「そうか・・・それは残念だな、だが先ほど俺はお前に興味がなくなったと言ったがあれは訂正しよう、横を通り過ぎようとした時に腰につけている武器をすぐ手に取れるようにしてただろう?何かあったら自分でなんとかしようとしていなきゃそういう動きはできない、それに今だってお前が1番前にいるしそんなでかい荷物を背負っているにも関わらず疲れを見せていない、今だって俺が何かしたらすぐに反撃できる用意をしている、どうだ、俺と勝負しないか?」


「呆れて物も言えないわね」


「勝負に勝てば俺の死体を手に入れる事ができるぞ?人間の世界でも狩った得物によって待遇が変わってくるんだろう?」


「おあいにく様、そういうのは望んでないわ」


「そうか、じゃあお前の後ろにいる奴らに矛先を向けてみればいいのかな?」


オーガはにやりと笑う、その口には巨大な犬歯が見える


「そうすれば?そしたらあんたがやりたい戦いはできなくなる、何人に囲まれる事になるかしらね?」


「くははは!やはりお前だ、俺はお前と戦いたい、どうだ?周りの奴らを見逃してやるからというのは戦いの理由にはならないか?お前を無視して周りを攻撃すればお前に殺されるかもしれんがその前に半分は殺せるぞ?」


「はー・・・仕方ないわね・・・ただし条件があるわ」


「おう、いいともいいとも、言ってみろ」


「人目に付かない所でやる事と私が勝ってもあんたを殺さないわ、負けた後にとどめを刺せって言われても絶対にやらない、それでいいなら付き合ってあげる」


「俺には殺すなとは言わないのか?」


「言う訳ないでしょ、あんたとなら100回やっても全部勝てるわ」


「くはははは!言うではないか!では場所を変えようか!」


「あんた達、さっさと街まで帰りなさい、オーク肉の鮮度が落ちるわ、私の分も持って行ってね、よろしく」


「でも師匠!」


「「「姐さん!」」」


「あー、大丈夫よ、さっきも言ったでしょ、100回やって全部勝てる相手だって」


本気かよ・・・相手はオーガでしかもこれだけ成長しているんだぞ・・・?そんな事をお互いに言わないまでも全員が思っていたようでオーク狩りのメンバーは互いに目を見合わせる


「マック!」


「へいっ!」


「あんた達!」


「「「へいっ!」」」


「あ、はい、これオーク肉ね、これよろしく、よし、ちゃんと思ったわね、全員まわれーみぎっ!」


「「「へいっ!!」」」


「かけあーし、開始っ!」


「「「へいっ!!!ご武運を!!!」」」


「お待たせ、んじゃあっち森の中まで行こっか、人目に付くの嫌だし」


「ああ、そうだな」


オーカはオーガの前を歩く


「あんた名前なんて言うの」


「あ、ああ・・・ガストンだ、スカイーク一族のガストン」


「そ、ガストンね、私の名前はオーカよ、よろしくね」


「ああ、オーカか、覚えておこう」


「よし、こんなもんでいいわね、ガストンの武器はそのグレートソード?」


「ああ、我が一族に伝わる業物だ」


「ふーん、じゃあ私もこっちにするわ」


オーカは腰の武器をしまい袋から薙ぎ払い丸を取り出して構える


「どうやらさっきいった言葉ははったりではないみたいだな」


ガストンの頬に汗が流れる

武器を構え本気になったオーカから放たれる雰囲気にガストンはその強さを肌で感じていた


「じゃあ行くわよ」


「ああ!来い!」


オーカは薙ぎ払い丸を振り上げ力を籠め振り下ろした

オーク肉の運搬で筋力向上に腕力向上、そして脚力向上などのスキルも強化されているそのスキルを全力で使い込められたその一撃は


(お、重い・・・そしてなんて速さだ、人間がここまでの威力を出せるとは!!)


グレートソードでかろうじて受け止めたが踏ん張りがきかず思わず後ろにはね飛ばれた


そこを見逃さず飛んでくる突きの連撃、グレートソードの腹で受けるがこれも相当な威力だ

受けるだけでは絶対に勝てない、ガストンはそう思い飛んできた突きを横に躱しオーカに斬りかかる


「ぐはっ!」


だがそこに待っていたのは蹴りだ

みぞおちに刺さるように放たれた蹴りはガストンの腹筋の防御をいともたやすく打ち破り内臓へとダメージを与える


だが身体は持ちこたえている、後ろに吹き飛んだりはしていない

ガストンは痛みを無理やり忘れ振り上げたグレートソードをオーカに向かって振り下ろそうとした


「視線を外したのが失敗だったわね」


その言葉が耳に入ると同時に顎先に何かが走った衝撃を感じた

だがそれがなんだったのかはわからない、ガストンの身体は糸の切れたマリオネットのようにただ地面へと倒れこんでいった


「あ、やっと起きたわね、ごめんね、いい所に当たりすぎちゃったみたいね」


ガストンが目を開けたのでオーカは声をかける


「俺は倒れていたのか・・・最後何をしたんだ?魔法か?」


「いいえ、ただのパンチよ、力は込めたけど魔法は込めてないわ」


ガストンは驚いた表情を見せた、パンチ1発で俺が倒されたのか?そんな馬鹿な、とでも言いたげである


「約束通り、私はガストンを殺したりしないわよ、わかってるわよね?」


「も、もう1度・・・もう1度勝負を!」


「しないわよ」


オーカは食い気味に答えた


「言ったでしょ、100回やって100回勝てるって、弱いものイジメになっちゃうから」


ここまで言えば流石にもうもう1回とは言ってこないだろう


「じゃあ俺が強くなればまた戦ってくれるんだな!?」


「いいわよ、でも剣をいっぱい振りました、なので強くなりました、なんて事私は認めないからね」


こう言ってしまえばもう勝ちである

あとは強くなってるように思えないとだけ言っていればいいのだ


(ふー・・・いやー、はったりが効いてよかったわ、危ない危ない、こっちの世界では格闘技の技術が発達してないけど人間以外もそうなのかはちょっと賭けな所があったわね、でも狙い通りに行ってよかった、首が太かったから心配したけどあんだけ口を広げてたらそりゃ脳も簡単に揺れるわよね)


普通に戦ってもオーカはガストンに勝てていただろう

だがそれだと怪我をするかもしれない、最悪の場合死んでいる可能性もある

刃物を突き付けあっているのだ、絶対にないとは言い切れない


「じゃ、私は帰るから、ガストンも早く帰りなさい、さっきの人達が応援を呼んでる可能性があるからなるべく人目に付かない所通って帰りなさいよ」


「ま、まってくれ」


「待たない、それじゃあね」


オーカは走り出した、後ろで何か言っているガストンの言葉はすべて無視した

嫁がどうとか言っていたが多分気のせいだろう


いや、絶対に気のせいのはずだ

パロればいいんだ!

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