出会い
書きました!書き直しもしました!
オーカとマックは今マイセーン草原にいる
何故ここにいるかというとそれは3日前に遡る事になる・・・
「オーカさん冒険者ギルドの人が呼んでるみたいで探しに来ましたよ」
朝の鍛錬を終え汗を流し宿屋に戻ったオーカに宿屋の看板娘のホシノが声をかける
「え、ホシノちゃん、それほんと?」
そう聞くとホシノが首肯する
「師匠なんかやらかしたんすか?」
「いやいや、マックじゃないんだからやらかすわけないでしょ、この悪童」
「いや、悪童ってのは昔からこの街に住んでやんちゃばっかりしてたからつけられてたあだ名なんですけどね」
マックが笑って答える、どうやらマックはこの街が、この街の住人が好きらしい
「あー、マックのやらかした事を私になんとかさせるつもりかもしれないわね・・・逃げるか・・・」
「いやいや、本当になにもやらかしてないっすよ!というかここ最近はずっと師匠といたんすからやらかす時間なんかないっすよ!」
それは確かに、オーカは納得した
依頼を受ける時やダンジョンへ行く時は当然2人でいくしそれがない時は朝から昼まで鍛錬をするのでマックの夜は早い
鍛錬に付いてこれるようにはなったものもご飯を食べたらすぐに寝ないと体力が持たないのだろう
「だとしたら・・・いやぁ、いやな予感しかしないわ、やっぱり逃げるべきかしらね・・・」
「オーカさんなにもしてないなら行った方がいいと思いますよ?」
「むぅ・・・」
ホシノの言う事は真っ当だ
身に覚えがないのなら行くべきだ
だがこういった展開にはトラブルがつきものである事はゲームや小説で学んでいる
どうにか逃げられないものか・・・
「もう依頼を受けてるからいけないって事にしたらいいんじゃないすかね」
「いや、その依頼を出してる側の人間が呼び出してきてるんだから私たちがなにも受けてない事は把握済みでしょう、まあ、いいわ、とりあえず行ってみましょう」
「へいっ!」
そして呼び出され副ギルド長の部屋へと案内された
「呼んでおいて遅れてすまなかったね」
副ギルド長の部屋で待ちながら出されていた紅茶を飲んでるとあたかも俺は忙しいんだぞ、といった顔でスミスが部屋に入ってきた
「いえいえ、忙しいのはお互い様ですよ」
とりあえずけん制しておいた、無理難題を押し付けられても困る
「ははっ、言うじゃないか、じゃあお互いに忙しい身な訳だし早速本題に入ろうか」
藪蛇だっただろうか
「君達にはマイセーン草原でのオーク退治の依頼を受けてほしい」
突然ではあるがこの世界の食糧事情について話をしておこう
この世界では主に肉、小麦を使って作った料理、そして果物が食べ物の主流である
肉は元の世界と同じ牛、豚、鳥がよく食べられ、小麦を使った料理はパン、パスタが多い
果物はそのまま食べたり果汁を水で薄めて飲んだりする
元の世界とこの世界の違いはというとその食べ物をどうやって調達しているかどうかだ
流石に小麦は畑で育て収穫するのが一般的だが肉や果物は違う
魔物を狩るのだ
牛肉はミノタウロス、豚はオーク、鳥はオオニワトリ、強い個体で言えばコカトリスなどがよく食べられる
もちろん家畜としての牛、豚、鳥もいるが飼育に費用がかかる為値段も割高だ
駆け出しの冒険者の口にはまずはいらない
果物はトレントなどを代表とする木の魔物になっているのでそれを狩る
倒しても大体そんなに時間がかからず復活するのでめったな事では食事には困らないだろう
もちろん家畜や普通の木からなる果物と比べると味はかなり落ちる事にはなるが
そして先ほどスミスの口からでたマイセーン草原のオーク、ここのオークはサブウエエの街の台所の肉事情を一手に任されるほどの土地でありこの丘が近くにあるからより肉が安価になり駆け出しの冒険者が集まりやすい街になっている
それ故にマイセーン草原のオーク退治はちゃんと固定でオークを狩っている業者が存在していてオークを狩るのもしっかり管理されている状態だ
見晴らしのいい草原なので密漁も難しい、なによりオークはでかいのでこっそり狩ったとしても持って帰ってくる時に目立つ(もちろんアイテムボックスがあればわからないがそこまで金がある冒険者はオークを狩るよりももっと稼げる仕事に行くだろう)
「なんで私達にそんな依頼を?あそこはちゃんと決まった人がいるでしょう?」
「理由は2つだ、まず1つは君達の冒険者としての実力を認めているからだ、オークに後れを取る事はないだろうし君がたまに納めている得物の解体の綺麗さについてはうちの職員が褒めていたほどだ、冒険者が嫌になったらいつでも歓迎だそうだ、それに君の怪力具合はこの街ではとても有名だ、女オーガと呼ばれるほどの怪力だからな」
つまりオークにやられる心配もなく、しっかりとした状態で大量に持ち帰ってこれるだろうという事で白羽の矢が立ったのだ
もしかしたらアイテムボックスの存在がばれているのかもしれない
一応ぶん殴り君と叩き割りちゃんは腰につけているしギルドに物納している時も手に持ったりしているので隠せているとは思っているのだが油断はできない
「それはありがとうございます、それでもう1つの理由はなんですか?」
スミスは神妙な顔になりながら口を開く
「マイセーン草原にレア個体が現れたんだ」
レア個体、それを聞いた瞬間やっぱり嫌な予感が的中したか、と思った
レア個体というのは偶然の産物だ
風が吹いたか、ドラゴンが寝返りをしたか、あるいは魔王がくしゃみをしたか
偶然に偶然がかさなり魔動力が濃くなると起きる可能性がある2つの事象の1つであり、もう1つは異常繁殖だ
異常繁殖というのは本来それ以上は産まれないはずの場所にいつも以上の魔物が発生する現象である
だがこの世界に産まれてくる魔物は繁殖はしないが食事はするし魔動力が薄くなれば生命活動を続けられなくて死んでいく
異常繁殖というのは大体数日から長くても数週間で元の数に戻っていく
飢えというよりは魔動力が足らなくなる事が主な原因である
だがレア個体(この場合は種族の名前にヒーローの名が冠される)はそうはいかない
普通の個体よりは必要とする魔動力が多いが生命力が強いので先に通常の個体が死んでいく事が多い
なのでレア個体は数年、あるいは十数年生き続けたものもいる
人間にとってこの2つの偶然は身近で起こってほしくはない事である
だがこの広い世界、魔物が暮らしている世界だって十分広いし人間の居住区は元々魔動力が少ないのでそうそう起こる事ではない
だがゼロという訳にはいかない、今まで異常繁殖の群れに飲み込まれた村だって存在するしレア個体に殺された冒険者だって大勢存在する
「待ってください!私たちにレア個体、オークヒーローの討伐なんて無理です!」
オーカは断ろうと考えた
倒せない事はないかもしれない、だが分が悪い
レア個体、ヒーローというものが通常と比べてどれだけ強くなっているのかはわからないが何の予備知識もなしに突っ込んでいっていい相手ではない
立ち上がる事でこの話はもう終わりだと意思表示をする
「ああ、待ってくれ待ってくれ、流石に俺もレア個体の討伐を4階級には依頼しないよ」
「え?」
「座ってくれたまえ」
言われ再度席につく
「君もさっき言ったようにマイセーン草原のオーク退治は専用の業者がいる、その業者の中には怪我をした者もいればレア個体を倒した臨時収入で休みをとりたいとい言った者もいてね、臨時に2週間ほど通常個体のオークを倒して解体して納めてほしいんだ、どうかな?それならできるだろう?」
「はぁ・・・そういう事ですか・・・それならわかりました、じゃああとは報酬の話し合いですね」
「そうなるね、冒険者ギルドとしてはこのくらいの値段で・・・」
話を聞くより値段交渉の方が長くなったくらいだ
そうしてオーカとマックは他にも臨時で雇われた冒険者達と一緒にマイセーン草原へ向かい狩りをする事になった
値段は他の冒険者には言うんじゃないと釘を刺された為結構多めにとれたようだ
まあ、少なすぎるから言わないでくれという事かもしれないがそれはないだろう
マイセーン草原を管理している業者に説明を聞きどれくらいの数を倒せばいいとか密猟者を見つけたらどうしたらいいのかという話を聞いたら狩りの時間だ
いつもと違い食用する為なので叩き割りちゃんだけで狩りをした
いつもより丁寧な仕事なので若干疲労が残る
「そろそろ指定された数をこなしたわね、皆お疲れ様」
「「「お疲れ様です!!」」」
最初は階級の低さから軽く見られていたオーカだったが他の冒険者達はオークを狩っている姿を見てその考えを捨て今じゃいい仕事仲間だ
オーガ姐さんオーガ姐さんと呼び慕ってくる
「よし、じゃあちゃっちゃと報告して帰るわよ」
「「「へいっ!」」」
解体した肉を持ちながら帰路に帰る
最初の日なんかは女に持てるのかよ?と言わんばかりだった奴らが今じゃオーガ姐さんならもっと持てる!いけるいける!と言ってくる始末だ
自然とオーカを先頭にしながらサブウエエの街のまで帰っていく
だが今日だけはいつもとは違う出来事が待っていた
「うん?なんだか前に黒いフードを被った怪しい奴がいるわね」
「俺達だって傍から見たら十分怪しいっすよ!ガハハハ!」
「ああいった格好がかっこいいと思う時期があるんすよ、男には、姐さんにはわからないかもしれないっすけど」
その言葉に周りにいる男達はうんうんと頷きだした
所謂中二病だ、別に私にそんな黒歴史が存在しなかったとは誰もいってないのだが・・・げふんげふん・・・
「じゃあ気にせずに通り抜けましょう、あんた達、俺たちが道の真ん中を通るんだみたいな恥ずかしい事言わないでよ」
「わかってますよ!ガハハハ!」
オーカ達が近づいてもこの怪しい奴は動かない
気にせずずんずんと距離を詰める
大きい・・・2mはあるだろうか?そんなのが黒いフードを被っているのだ、怪しくない訳がない
その距離が2mくらいになっただろうか・・・その時
「待て、戦闘の奴、お前俺と勝負しろ!」
急に怪しい奴が口を開いた、声からするにどうやら男みたいだ
私は面倒なので無視をする事に決め横を素通りしようとした
「待てと言っただろう!!勝負から逃げるのか!」
「はーい、そうでーす、逃げますー、変な人と戦ってもお金は稼げないのでー」
「ちっ、腑抜けか、まあいい、もう興味なくなった、さっさといけ!」
「はぁ?興味なくなったからもういけだって?馬鹿なのか!?」
静まり返る、そしてそこにいる者全員がそれを口にした者へと視線を送る
そこには先ほどまで気にしないようにと言っていたオーカがいた
今回の主人公若干沸点低め
疲れてるのかな?




