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第38話 決戦

 ルークはついに魔王のもとへたどり着きました。


 途中、魔王軍幹部二人を殺害し、魔王軍幹部は全滅しました。




 そこは山の上でした。昼にもかかわらず、薄暗い場所でした。

 周りには悪魔が溶け出したであろう、黒い闇が漂っていました。


 魔王は紫の大きなマントを羽織り、顔は上半分をローブで隠していました。

 下の口元から見るに、中年男性のようでした。


「来たか。ルーク。預言書に書かれた勇者」


「勇者だが、預言者に書かれた存在じゃない」


「なるほど。そうだった。だって、本物の勇者、ジュリアは……」


 魔王は、突然笑い出しました。


「死んだんだったよな!! あははは!」


 ルークは睨み返しました。


「ああ。そうそう。アニーとミアも。ミアは俺のせいじゃないけど。

メアリという奴もいたな。部下から聞いたよ。逃げられたんだってなあ。

嫌だよねえ、女って」

「俺はお前とは違う。俺はメアリを信じていた。メアリの選択を尊重した」

「ああ。哀れ哀れ。お前を見ていると、昔の俺を思い出すわ。それは負け犬の遠吠えだよ」

「違う。俺は過去の自分を否定しない」


「ところで、どうして俺のことを知っているんだ?」

「虫型の小さな魔物でお前をずっと見ていた」

「なぜ」

「女神の使いが表れて、勇者だから監視するように言ったんだ。女神のお気に入りなんだろうと」


「女神の言うことに従うんだな」

「何が言いたいんだよ」

「別に何でもいない」

「そうかい。腹立たしい奴だ! 殺してやる!」


 そうして、魔王とルークの戦いが始まりました。


 ルークが剣を使って戦うのに対し、魔王は紫のビームを放ちました。

 それは遠くの木々を倒し、山を揺らし、燃やしました。


 ルークがビームを避けたとき、魔王は蹴りでルークを吹き飛ばしました。


「うっ…」


 ルークはうめき声をあげて、倒れ、気を失いそうになりました。


 前を見ると、ぼやける視線の中、魔王が近づいてきます。


 段々と、視界が薄れていきました。




 気付くと、青空が広がっていました。


 地面は鏡のように青空を反射していました。


 起き上がって前を向くと、ジュリアがいました。


「ジュリア!」


 ルークは思わず、ジュリアに抱き着きました。


「抱きつかないで。気持ち悪い!」

 ジュリアはルークを引き剝がしました。


「ごめん。でも、ジュリアだって思って。『シンギュラリティ』、本当にきれいだった。ずっとそれを伝えたかった」


 それで、ルークはジュリアの顔をまじまじと見ました。


「あれ? ジュリアに会えたってことは、俺は死んでいるってこと?」


「いいえ。現実世界だと気を失っているだけ」


「じゃあ。戻ったほうがいいのでは。魔王と戦闘途中だったし」


「大丈夫。ここと現実では時間の流れが違うから」


「ふうん」

 ルークが頷きました。


「一部始終見てたけど、それにしてもあんた、殺しすぎ。ルーク、あんた、あんなキャラだったっけ」


「ああ、もう俺は殺しすぎた。勇者一同を殺し、アントリミール族を滅ぼしてしまった」


「まあ、そうね。あんた、やりすぎだと思った。罰は下ると思う。大体、勇者一同を殺す必要あった?」


「てんぱった」


「てんぱったからって、殺す? 普通」


「すみません……」


「罰は下るだろうから、この場で強く言わないけどさ。一応、仲間だし」


「ジュリアらしくないな。仲間だから言わないなんて」


「あら。一応、私だって、仲間に思い入れがあるの。それに許したわけじゃないし」


 そういうとジュリアは大空が反射する大地に横座りをしました。


 水はないはずなのに、映し出された空が波打ちました。


「ジュリアは? 死んでどうなったんだ。女神様と会ったのか?」


「私は『シンギュラリティ』を引き起こしたから、神の理から外れてしまった」


「神の理から外れる?」


「そう。だから、私は私しかいない清らかな世界にいる」


「寂しくないのか?」


「不思議なことに寂しいと感じない。美しい自然をずっと散歩していられる。飽きそうでしょう?飽きないの。不思議な場所」


 そういって、ジュリアは大地を撫でました。


「そろそろ時間ね。バイバイ、ルーク。まあ、人生大変だけど、せいぜい頑張んなさい。

とりあえず、さっさと魔王を片付けな」


 ルークは未練がましく何かを言おうとしましたが、この世界はゆがみ、ジュリアとともに消えてしまいました。




 気付くと、ルークは倒れこんでいました。

 見上げると、目の前に魔王がいて、踏みつぶそうとしていました。


 ルークは間一髪避けると、立ち上がりました。


 魔王はビームを打って、ルークを追撃します。


 しかし、不思議なことに、ルークはすべてのビームがどこに当たるか読めるのです。


 ルークは今までと全く違う、軽々しく鳥のごとく、よけました。


 魔王も違和感を感じた次の瞬間、ルークは素早く飛び上がりました。


 すると不思議なことに、薄暗くしていた分厚い雲が避け、光が現れました。


 どこまでも高く! ルークは天へと昇っていきました!


「高く上ったからと!」


 魔王は飛び上がり応戦しました。


 魔王とルークが激突します。


 勝ったのは、ルークでした。


 魔王は悲鳴とともに、上半身が縦に切れて、紫の血液が吹き出ました。


 ルークが追撃すると、魔王は猛スピードで逃げ出し、山を下っていきました。


「逃げ足が速い!」

 ルークはそうつぶやくことしかできませんでした。




 魔王は血を吐きながら、木に寄りかかりました。

 なんとか、ルークから逃げ切ったのです。


 魔王は太陽の光を眺めました。

 すると、声がしました。


「哀れな姿ですね」


 女神の声でした。

 魔王は、数千年前の憎しみが蘇ってきました。


「あの時、どうして俺のことを愛してくれなかったんだ」


「お前を愛したくなかったからです」


「どうして俺を愛してくれないんだ! 俺を愛せ! 俺を愛せ!」


「消え失せろ、愛に飢えた男。私はお前が嫌いだ」


 突如、天が割れ、凄まじい雷が落ちました。


 魔王に直撃し、マントの布切れ一本残さず、焼き尽くされてしまいました。


 こうして、魔王は滅ぼされました。

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