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第37話 女神と魔王について

 この世界が誕生した時、大地と三つの神、一匹の悪魔がいました。


 後の女神になる女神、男神α、のちの魔王になる男神βです。


 男神αが身長が高く、顔が整い、背筋が伸びていました。

 一方、男神βは猫背で、腕が太いのに足が細いなど、身体のバランスが悪い存在でした。


 女神は、銀の髪を三つ編みにし、小さくてシャープな顔、長く柔らかな手足、高い鼻を持っていました。


 男神αも男神βも女神のことが好きでした。


 男神βは女神に好かれるため、必死に木の実を持ってきて、捧げました。

 

 一方の男神αは、女神に貢物をせず、いつもぐうたらしていました。

 それどころか働きもせず、女神に木の実を持ってきてもらうことさえしてもらいました。


 ある夕方、いつものように木の実採取から帰ってくると、女神と男神αはいなくなっていました。


 不安になった男神βは、二人を探しに出かけました。


 ある洞窟で中から松明がともっているのに気が付きました。


 男神βが、恐る恐る中に入り覗いてみると、男神αと女神がいました。


 二人は服を着ていませんでした。

 獣のように女神が四つん這いになっていました。

 男神αは前後になって、必死に動かしていました。


 それは男神αが、清純なそれを独り占めし、見せつけ、そこ中に無造作に身勝手に入っているようでした。


 サラサラの銀髪から、美しい肌を伝って、汗が顎から落ちました。


 女神は嘲るように男神βを見上げました。上目遣いで。


「ねえ、愛し合えなかった哀れな男。

私たち交わりは美しい? ねえ、どう思う?」


 男神βはこの出来事によって、女神を激しく恐れるようになりました。


 男神βは、女神と男神αの愛を恐れ、遠く遠く山の中に引きこもるようになりました。


 男神βは大樹の下に座りました。

 そうしていると黒いものが男神βの近くに現れ、周りの大地を覆いました。

 悪魔でした。


「ねえ。君、あの二人を憎悪しようよ」

「憎悪?」

「そうかなあ。だって、あの女はひどいじゃないか。そう思わない?」


「……俺には憎悪という感情がわからない。俺は今、悲しい辛いと思う。けれど、憎悪ってなんだ?」

「君は、神だから憎悪という感情が理解できないんだ。

しかし、魔王になってこの世界を憎悪する権利があると僕は思うね。

君に憎悪という感情を教えてあげよう。君はそれを初めて知ることになる。

しかしその代償に、君は神ではななり魔王に堕ちる」

「契約しよう。俺に憎悪を教えてくれ」


 悪魔はニヤリと笑い、契約が成立しました。


 魔王の中に、女神が何かかけがえのないものを奪っていったという被害者意識が芽生えました。


「これが……憎悪! これが憎悪!」


「契約だ。君は神様ではなくなる。その代わりに、憎悪を知ることになる」


「ああ! これが憎悪か。なんて衝動的な気持ちなんだ。頭よりも先に身体が動く!」


 こうして男神βは魔王になりました。

 悪魔は契約の成立と共に、この世界から消えました。


 


 しばらくして、女神は妊娠しました。


 男神αは、女神の出産の少し前に死にました。


 女神は出産しました。こうして誕生したのが人間です。


 女神から何百万人という人間が生まれました。


 そして、彼らは動物を狩り、石器を作り、稲作をし、文明を築きました。


 唯一神となった女神はいつの間にか実体を失い、霊的なものになりました。


 魔王は憎悪のままに、女神を探し続けましたが、当然見つけることができませんでした。


 次第に、魔王は人間に八つ当たりをするようになり、人間社会に甚大な影響を与えるようになりました。


 ルークたちが生まれる約千年前、当時の勇者たちによって魔王は倒されました。


 しかし、魔王は瀕死になりながらも必死に逃げ延びました。


 それから千年後、再び魔王は立ち上がったのです。

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