第36話 アントリミール族とリリアン
ルークは勇者の称号を得て、一人南部へ旅立ちました。
途中襲い掛かってきたゴブリンの群れを壊滅させ、順調に進んでいきました。
すると、霧が明けました。
正午、太陽は真上にありました。
前には、たくさんの人が現れました。
毛皮を使った特徴的な服装を見て、ルークはすぐに分かりました。
アントリミール族です。
「魔王軍の配下に下るとは、アントリミール族も落ちたものだ」
「ルーク。君はアントリミール族の悲劇を知らないから、そんなことを言えるんだ!
君は、一緒にいても表面的なことしかわからなかった。本当のことを分かっていない
いいか! アントリミール族は王国によって土地を奪われている!僕たちからすれば、中央政府の方がよっぽど魔王だ!
魔王は僕たちに土地と権利を与えるといったんだ! 僕たちに生きる権利を与えてくれると!
だから、魔王につくことにした」
「魔王のすることはすべて悪だ! リリアンが魔王の味方をするなら、殺すまでだ」
「どうしてわかってくれないんだ?! 僕たちはずっと虐げられてきたのに!」
リリアンが言いました。
「女神です。殺しなさい。そいつらは女神を信じない愚者どもです。私以外の神を信じるものです。この世に存在してはなりません」
「女神様。私は、頭がパニックで割れそうです」
「そうですか。いいですか、とにかく皆殺しにしなさい」
ルークは、襲い掛かりました。
アントリミール族は一斉に矢を放ちましたが、ルークはそれを避けました。
斧をもって切りかかる、アントリミール族を切り殺しました。一人目です。
続いて、大きな大剣を持った男のお腹を横に真っ二つにしました。
二人目。
三人目。四人目。
地面は血に染まりました。鉄のにおいが大地の湿った草木のものと混ざり、吐き気がするものでした。
赤いそれが、大地へと染み出しました。
ルークはリリアンに切りかかりました。
リリアンは応戦しました。
「どうして、俺たちを殺すんだ?!」
「お前たちが魔王の仲間だからだ」
「そんなに魔王が憎いのか」
「魔王は俺の大切な人を殺した! アニーもジュリアも!」
「だから、俺達には我慢しろと! アントリミール族はどうでもいいと!」
「我慢しろとは言っていない! 死ねといっているんだ!
死ねば我慢しなくて済む」
リリアンを突き飛ばすと、ルークはリリアンの首に剣を突き刺しました。
首から黒いそれが噴出しました。リリアンは言葉にならぬそれで、剣を外そうともがきましたが、無駄でした。
やがて、無意味だと気が付いたのか、抵抗をやめ、目を閉じました。
やがて、何もかもがリリアンから失せました。
「人は死ぬ。ミアもジュリアもアニーもみんなみんな死んだ。
俺もいずれそっち側に行く」
ルークは、人としてあまりにも醜い瞳で、言い放ちました。
その後もルークは殺しつくし、その後は後方にいた女性と子どもさえも皆殺しにし、
アントリミール族はここで絶滅しました。
女神は笑いが止まりませんでした




