表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/39

第25話 メアリについて

 メアリは王国東部の自営農家の娘に生まれました。

 弟が一人いました。


 決して裕福ではありませんでしたが、慎ましい幸せな生活を送っていました。


 しかし、メアリが八歳の頃。村は盗賊の襲撃にあい、メアリ以外の家族は皆殺しにされてしまいました。


 こうして、メアリは奴隷の一人として、連れ去られ、裕福な商人に売られました。


 メアリは、その中で小間使いとして働くことになりました。


 メアリは、同い年の少女、ミシェルと仲良くなりました。


 ミシェルは、よくおしゃべりをしてはメイドに怒鳴られるそんな女性でした。

 純粋無垢で、いつも笑顔を振りまいて、周りの子供の小間使いたちを励ましていました。


 そんなある時、メアリとミシェルが二人で部屋のベッド掃除をしていると、十八歳くらいの若い男性の小間使いが部屋に入ってきました。


 何事かと思いましたが、メアリは男たちの目を見て、察しました。


 ミシェルは彼らが何をしようとしているのか、分かりませんでした。


 男たちはドアを閉めて、足音を立てて、二人に近寄ってきました。


「ミシェルの方が豊満でいいですよ」


 メアリは心を殺して言いました。


 そうして、男たちとアイコンタクトをとったのです。


 ミシェルは訳も分からず、男たちにベッドに連れられました。


 メアリはその隙にドアから外へ逃げ出しました。


 メアリが慌てて、メイドのところへ行き、助けを求めました。


 メイドが部屋に向かう足音を聞いて、小間使いの男たちは部屋から逃げ出しました。


 そして、メイドが部屋に入りました。


 メアリが部屋の外で待っていると、メイドに連れられ、ミシェルはうつろな目をして、現れました。


「ひどい。裏切り者」


 ミシェルは、メアリを見るなり、言いました。


 そののち、ミシェルは、それを苦にして飛び降り自殺をしてしまいました。


 メアリは激しい罪悪感にかられ、眠れなくなりました。

 友人を売ったのですから。


 何度も何度も忘れようとしました。


 そして本当に忘れてしまったのです。

 半ば、激しいストレスで、記憶機能に障害が生まれたのかもしれません。


 そして、メアリはまた、いつも通り小間使いとしての日常を取り戻しました。


 しかし、この商人の栄光も長く続きませんでした。


 ある時、この地の領主との取引で、この商人は随分と尊大な態度を取りました。

 しかもあろうことか、領民の前でそれをしてしまったのです。

 再三の謝罪要求にも応じず、放置していました。


 すると突如として、メンツを潰された領主が兵を率いて、商人の館を襲撃しました。


 小間使いもメイドも殺されました。


 メアリは幸い殺されず、部屋の中で、諸侯の兵に囲まれていました。

 尻もちをついて倒れたメアリの隣には、主人である商人が命乞いをしています。


 領主が突然近づいてきて、剣をメアリに渡しました。


「死にたくなければ、この剣でお前の主人を殺せ」


 メアリは受け取ると、商人に近づきました。


「おい! 俺は、お前に衣食住を提供してやっただろう! 助けてくれ! なんでお前は俺を殺すんだ?!

お前は自分が生き残ることしか考えてないのか?!」


 メアリはそれらの言葉を無視し、自らの主人を殺しました。

 生き残るために。


 メアリは、かつての主人の血で染まった剣を、新しい主人に捧げました。


「よくやった。新しい主人は俺だ」


 こうして、メアリはその領主の小間使いになりました。


 さて、メアリは新しい主人の下、小間使いとして働くようになりました。


 メアリは十三歳になり、それはそれは美しい女性へとなりつつありました。


 それに目を付けたのが、この領主の次男でした。


 彼は二十五歳でしたが、事あるごとにメアリに求婚を迫りました。


 耐えかねたメアリは領主に相談しましたが、むしろ結婚するよう催促されてしました。


 メアリは領主の次男の容姿が気に入らず、心底結婚したくありませんでした。


 そこで十五歳の時、命からがら逃げだしたのでした。


 逃げ延びた先で、ルークと出会ったのです。


 ルークは男性でしたが、同い年ということもあり、メアリは少し心を開きました。


 しかし、ルークが今までの男たちのように、一向に自分に迫ってこないものでしたので、メアリは内心驚いていました。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


ブックマークやレビュー、いいね等をつけて頂けると、大変励みになります。

是非、ご検討ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ