第24話 ルークの脱獄
ルークは再び、牢屋に入れられました。
「魔王を倒す理由、見つかりましたか?」
女神が声を掛けました。
「いいえ」
ルークが首を振りました。
「じゃあ、私が魔王を倒す理由を与えましょう。
女神のため、魔王を倒しなさい。
これは命令です。私に逆らってはいけない」
「なら、脱獄しないといけないです。力を貸してください」
「いいでしょう。頼むのであれば、力を貸しましょう」
するとどうでしょう。檻のドアが開いたではありませんか。
「行きなさい。私が案内しましょう」
ルークは女神様の指示に従って、進んでいきました。
するとどうでしょう。
暗い石造りの廊下では、松明を持った兵士が巡回していましたが、一度もそれらと出くわすことはありませんでした。
しかし、この牢獄を出て、街に出ようとしたとき、突然叫び声がしました。
「おい! お前は何者だ!」
兵士の声です。
ルークは駆け出しました。街へと出ると、首都『アミューデルト』の夜は松明に照らされ、露天市場は開かれていました。
市民が、談笑をしたり、歩いたりしています。
そんな街の中を、ルークは駆けていきました。
それを、後ろから松明を持った兵士が追いかけます。
ルークは何とか、町の外の荒野にでることができます。
街のほうは、オレンジ色の光を放ち、まるで一つの大きな灯のようでした。
ルークはそれを寂しく見ていると、あることを思い出しました。
「メアリを助けてない。メアリを助け出さないと」
「そんなに気になりますか? メアリのことが」
女神が聞きました。
「ええ。だって、メアリは仲間じゃないですか」
「では、こうしましょう。
あなたが今、街へ戻れば、メアリと再会することができるでしょう。殺されることもありません。私が保証します。ですが、もう魔王を倒すことはできません。
もし、この荒野を突き進めば、あなたは魔王を倒すことができます。ですが、もうメアリとの絆は不可逆的に破壊されます」
「さあ、ルーク。選択の時ですよ。
魔王を倒すか。メアリを救い出すか。
あなたの選択を、私は尊重します」
ルークはメアリの顔を思い出しました。いつも後ろからついてきて、自信がなくて、肝心なことを言ってくれなかった彼女。
ルークはジュリアの顔を思い出しました。いつも元気で、自分勝手なところもあった彼女。最後は魔王軍の幹部と相打ちをした彼女。
『シンギュラリティ』!
ルークは何よりもそれを思い出しました。
この世のものとは思えぬ美しい光の中、ジュリアがルークに微笑みかけます。
それはすぐにでも消えてしまいそうで、実際消えてしまったわけです。
”ねえ、ルーク! あんたが証人になって! 私がこいつに命を賭してでも勝ったって!
私は勝利した!!”
ジュリアの言葉が反響します。
そうだ。俺だって、できるはずだ!
ルークは荒野を駆けだしました。街に背を向けて。




