第21話 ジュリアに勇気を!②
「我こそは、魔王軍幹部『デストロイ』である! お前たちを皆殺しに来た。だがその前に、村の人口統計を教えてもらおう! 魔王様に報告しなければならないかな」
「魔王軍の幹部? どうしてここに」
ルークが尋ねました。
「私は先遣隊にほかならない。魔王軍よりも前に進み、情報を収集して、ちょうどいい村があったら潰しているのだ」
「なるほど」
「戦うしかなさそうね」
ジュリアが言いました。
それと同時に、アントリミール族の戦士たちが一斉に矢を放ちました。
「ほう? ずいぶんと攻撃的だな」
すると、デストロイは矢をつかみ、投げ返しました。すると、戦士の頭に直撃し、後ろに血を噴き出して倒れました。
村の何人かが悲鳴を上げました。
とっさにルークは切りかかりました。
しかし、デストロイは素手でその刃を受け止めると、ルークごと投げ飛ばしました。
そして、更に大きな炎の球を投げつけてきました。
後ろを振り返ると、木々が焼け落ち、真っ黒になって倒れました。
「これが、魔王軍幹部!」
ルークが恐怖に足をくすみました。
ジュリアが負けじと炎を放ちます。直撃です。
しかし、デストロイは傷一つなく現れたのでした。
ルークが、何度どれだけ剣を振りかざしても、デストロイに当たらないのです。
アントリミール族の戦士たちが応援に入っても、足手まといになるだけでした。
「どうなっているんだ」
攻防が続きます。しかし、攻撃が当たらない効かない以上、ルークたちはじわりじわりと押し込まれていきました。
デストロイは吹き飛ばしたジュリアを見て、嗤いました。
「人間なんて、モンスターにかなわないんだから、大人しくしとけ」
ジュリアはむっとして、飛び掛かりました。
そして、ジュリアはその魔人『デストロイ』の両肩をつかむと、魔力を注入し始めました。
「その程度の魔法は、効かない」
しかし、突如として二人は光始めたのです。
「な……」
デストロイは、初めて一歩下がりました。
魔力と反魔力の究極形態『シンギュラリティ』の発現です。
その強力すぎる光を見たとき、ルークは、ジュリアがこのまま進むと死ぬ、と確信しました。
「ジュリア!? そんな奴のために死ぬ必要はない! 戻ってこい!」
「癪なの。こんな奴に負けたなんてね!」
ジュリアが言いました。
「ねえ、ルーク! あんたが証人になって! 私がこいつに命を賭してでも勝ったって!
私は勝利した!!」
ジュリアはやり切ったような笑みを浮かべて、ルークを見ました。
それがあまりにも、納得している顔だったもので、ルークは何も言えず、涙がこぼれてきました。
どうしてジュリアがそんな顔ができたのか理解できませんでした。
ジュリアが出力を上げます。
「ぎゃあああああああああああああああああ」
デストロイが悲鳴を上げ、光はますます大きくなっていきます。
そして、二人は消滅してしまいました。
髪の毛一本も残さず。
その光の柱は彼方まで届きました。
それを見ていた人がいます。
「『シンギュラリティ』だ……。預言書に書かれた勇者、実在していたのか」
デストロイの動向を把握し、アントリミール族の村に向かっていた騎士団長たちです。
「何が起こっているんでしょう」
部下が恐る恐る聞きます。
「分からない。ただ、あそこに預言者に書かれた勇者がいることは間違いない」




