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第11話 メテアに到着!ルークのバイト探し

「ここがメテアかあ」

 ルークは思わず、声を上げました。


 ジュリアの村とは違い、大きい街です。

 メテアは城壁に囲まれており、入る際、門衛の検査がありました。

 夕暮れの中の検査は、どこか寂しいものがありました。


 それからルークたちは、中に入りました。

 中の石で作られた大通りは人でごった返していました。


「まず、どうしましょうか」

「とりあえず宿を探そう」




「いや、疲れた」

「そうだなあ」


 ジュリアは宿の部屋に入るなり、ベッドに飛び込みました。一部屋にシングルベッドが三つ。大きいのなんの。

 窓から見える、あたりは暗くなつています。


「メアリはどう? 大丈夫?」

「私も少し疲れたかな」

「そうか。今日は休むといいよ」

「うん、ありがとう」


「ねえねえ。明日からどこを見よう?! 私、魔法博物館に行きたいわ」

 ジュリアは目を輝かせて言いました。


「いいね。露店も見たい。珍しいものがあるかも」

「村では、鹿肉とかズューンの焼き魚とか食べていたものね。もっとオシャレなものを食べたいわ!」


「それから、仕事探したいなあ」

「ああ。仕事」

「宿代が馬鹿にならないし。どのくらいもつんだろう」


「ルーク。計算してみたら、まだ一週間くらいは大丈夫だよ」

「おお、計算してくれたのか」

「助かる! ルークも見習いなさい!」

「なんで俺が怒られているんだ」

「適当だからよ!」

「ジュリアも大概だろう」

「けんかしないで……」


「そういうわけで、明日は博物館に行ったり、仕事を探したりしよう」



 翌朝。

「うーん、もう少し寝ていたい」

「博物館が混むぞ、起きろー」

 ルークはまどろむジュリアを引っ張り起こしました。


「なんて雑なことすんのよ」

「それを言うなら、涎をたらさずに寝ろ」

「涎をたらしてはいけないと!! 私は自由だぞ!!」

 ジュリアは慌てて口を拭きました。


 こうして、ジュリアとメアリ、ルークは博物館に向けて、出発しました。


 博物館には、古代の魔法書や魔法杖が飾られていました。

 ジュリアは大興奮です。


 二百年ほど前のものでしょうか。


 他方、メアリは静かに、眺めています。鍛冶道具です。


「メアリは、そっちのほうに興味があるのか」

「そうなのかな……」

「もっと自分に自信を持っていいんだぞ」

「うん、そうかも」


 そういって、二人はまたしげしげと眺めました。


「物ができていくるのが楽しい」

「ああ。わかるよ。楽しいよね」

「うん。とても」

「この街は広いからさ、大きな鍛冶屋もあるし、体験できるかもしれないよ」

「体験……」


 そこで、ルークはメアリにジュリアを紹介した時のことを思い出しました。

 その時と同じ失敗を繰り返していると感じました。


「ごめん。余計なお世話だった」

「ううん。私、やってみたいかも」

「そう。なんかまた、無理強いしている気分だったから」


「メアリは好きなことしていいんだよ」

「私、十分幸せだよ。ルークが守ってくれているから、私は好きなことができる」


 メアリはルークを見ました。


 ルークは、必死に微笑んで返しました。自分が女性を守れているのは幸せなことでしょう。

 ただ、ルークはどこか息苦しくて、吐き捨てたいという気持ちがわきました。

 それが嫌になって、その感情を捨てました。ルークは自らを納得させました。


 守ってくれるなら、誰でもいいのでしょうか。




 博物館の帰り道、ルークたちはとある居酒屋を通り過ぎました。

 小さなこじんまりしたお店でしたが、ルークは何かに惹かれました。

 近寄ってみると、アルバイト募集中とあります。


「仕事かあ。ボチボチやらないとなあ」


 ルークは呟きました。


「まあ、まだ早いんじゃないの」

「でもお店で働いたりすると準備がいるだろう。面接とか。前回は単発で大きな仕事があったから良いけれど」

「確かに、ここには長くいることになるだろうし。継続した仕事があるといいかも」


「お仕事なら、パーティーみんなでしない?」

 メアリが言いました。

「別にそこにこだわらなくたっていいでしょ。戦闘ばかりじゃあ飽きるわ」


 お店に入ってみると、女性店員がいました。

「いらっしゃいませ」


 鼻は高く、しゅっとした顔の輪郭、美しいロングの黒髪です。

 黒い制服と高身長はとても似合っていました。

 ルークたちを見つけると、にっこりと笑いました。


 ルークは何かにくし刺しにされた気分になって、ぼうっとして、やがて帰ってきました。


「三名様ですか。お席にどうぞ」


 ルークたちはテーブル席に座りました。


 店内はそう広くなく、常連客と思わしき冒険者たちが、お酒を飲んでいました。

 和やかでうるさすぎず、心地よい場所でした。


 店員さんが再びやってきました。

 あの黒いロングヘアのお姉さんです。


「じゃあ、この魚のかば焼き定食を」

「私は、生姜焼き定食を頼むわ」

「ハンバーグ定食で……」


「あ、あの?」

 ルークが嫌われないよう、恐る恐る聞きました。

 行こうとしていた、お姉さんは首をかしげました。


「アルバイトってまだ募集していますか?」

 すると、お姉さんは、ウインクしました。

「しているよ。面接、していく?」


 彼女の名前は、ミアと言います。三十一歳でした。

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