みんなと目が合ったら
ノエルが本を持って寝室から出て少し後、ベッドで寝ていたアオイがゆっくりと体を起こして背伸びをした
「うー、良く眠った」
はぁ。と深呼吸をして一息つくと、ふと眠る前と視界が違う気がして寝室を見渡した
「あれ？いつのまに？」
腕を見て擦るアオイ。さっきまで小さかったはずの体がもとに戻っていた。戸惑いつつも嬉しさで笑みを浮かべながらベッドから降りると、寝室の扉の音をたてないように開けると、そーっと足音を忍ばせ廊下に出た
「いないのかな？お買い物？」
ノエルがいる気配もなく静かな家にちょっと不安になりつつも恐る恐る足音をたてないように歩くと、リビングの方からカチャンと食器の音が聞こえ、リビングの扉を少し開けた
「紅茶、おかわり」
ティーポットとティーカップがユラユラと浮かびノエルの周りでグルグルと回る。それに気づいているが、見て見ぬふりをして椅子に本を読む
「不機嫌だなぁ。もうちょっと笑ってくれてもいいんじゃない？」
「いいわけないよ。私はまだ許してないよ」
ノエルがいるテーブルから少し離れた所にあるソファーに座って本を読んでいたアオイが困ったように笑い、ノエルは不機嫌そうに返事をした。二人の会話を聞いて慌ててリビングの扉をもう少し閉じつつも、やり取りをみようとちょっとだけ耳を傾けた
「大丈夫だって。私の魔術と魔力を信じてないの？」
そう言いながらアオイがソファーから立ち上がり、ノエルの所まで来ると突然扉の方に振り向いた。目線が合いちょっと戸惑っていると、アオイがフフッと微笑んだ
「重い……」
また目が覚めたアオイ。今度はズシッと体が重く動かなず、ゆっくりと体を動かして、布団から出ると、ふぅ。と大きく深呼吸をした。また寝室を見渡し、小さな体に戻っているのを感じ、はぁ。とため息をついた
「いつものお布団が、こんなに重いなんて……」
「あれ？起きたの？」
枕の上で重い体を休ませていると、様子を見にきたノエルが寝室に来て声をかけた
「よく寝れた？」
「はい、たぶん……」
少しうつ向きつつ返事をすると、ノエルがベッドに座った。ちょっとだけアオイが座る枕が揺れてアオイの体がパタンと倒れた
「ごめん、大丈夫？」
ノエルの言葉に返事をするように、アオイがゆっくりと体を起こすと、枕から降りてノエルにちょっと近づいた
「あの、もっと教えてください！」
「なにを？」
「アオイって人が好きだったお菓子とかご飯とか飲み物とか、それからえーっと……」
「魔術とかじゃないの？」
「それは後から……」
すると突然、会話を止めるように二人の間に小さな光がポツポツと現れた。二人がその光を見つめていると、二人の間に長く青い髪をした女の子がフフッと笑って現れた
「魔術のことはきっともう教えられないから、私が色々と教えてあげる」
