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竜を狩る  作者: 六月十五
2/8

地竜を狩る(2)

 地中から姿を現したのは巨大な竜だ。

 体長は5、6メートルはあるだろうか。

 亀に似た姿で、背の部分は荒涼とした大地のような、ごつごつとした岩の外骨格で覆われている。

 その見た目から、巨大な岩が動いているようにも見える。


「出やがった!竜だ!」

「グリント、竜の前で座り込むのは危ない。逃げた方がいい」

「うっせぇ!分かってるわ」


 グリントは腰を抜かしていた。

 見たところケガは無さそうだが、すぐに戦闘はむりそうだ。


「つーか、マルクルのやつどこ行った!?ちくしょう・・・俺を庇ったりするから・・・!」

「マルクルは土の中。あとで掘り返そう」

「はぁ!?あいつ生き埋めになったのか!?」

「それよりグリント。早く逃げた方がいい」

「逃げるなんて出来るか!マルクルを助けないと・・・お前も手伝え!」


 ようやく腰を上げるグリント。辺りを見渡してマルクルの痕跡を探すが、地中にいる人物の手がかりなどそう簡単には見つからない。

 まして・・・。


「グリント逃げた方がいい」

「あん!?げっ!!」


 突如、四足の竜が身を起こした。

 そして目の前にいる2人目掛けて、その巨体を投げ出す。

 岩石で覆われた竜が地面に激突。

 地響きを伴いながら、2人がいた場所は巨大な岩石に押し潰された。

 余韻のような衝撃と砂煙が辺りに舞い散る。


「あ・・、ぶっね〜」


 2人は無事だ。

 咄嗟に身を引いて地竜のダイブを回避していた。


「って、おい!竜がいる場所!」


 竜が今立つのは、マルクルが生き埋めになっている場所だ。


「あの辺りにはマルクルが・・・た、助けねぇと」

「いや無理」

「は?」

「マルクルを助けるのはやめておいた方がいい」

「んな・・・仲間を見捨てる気かよ!?」


 声を荒らげるグリント。だが、ルーは気に留める様子もなく竜に目を向けている。


「私たちの役目は竜を倒すこと。どんな犠牲があってもそれが1番大事」

「くっ!!」

「私はそう教わった」

「テメェ・・・イカれてやがる。仲間が死んだってのに眉ひとつ動かさねぇ。やっぱり、お前は俺たちとは違う」

「それは当たり前。私はーーー!」


 と 次の瞬間、刺すような圧力(プレッシャー)が2人を襲った。

 ルーとグリントは、咄嗟に竜に目を向けると巨大な(アギト)をこちらに向けて開いていた。

 ゴゴゴォ、と竜から地響きが聞こえた。


咆哮(ブレス)だ!」


 グリントが叫んだ。

 ルーが構える。

 と その時ーーー、


「ぬぁぁぁぁあああああ!」


 雄叫びと共に大地が隆起して、竜の顎を打ち上げた。

 岩と岩がぶつかる耳障りな音が響いて竜がのけぞる。そのおかげで咆哮(ブレス)が放たれることは阻止できた。


「まぁぁあたくっアナタたちは!竜を前にして口喧嘩とは・・・ピクニック気分ですかァァァァ!?」


 ぼんっ と2人の足元が破裂して、マルクルが姿を現した。

 泥に塗れているが、大したケガもなさそうだ。


「マルクル・・・!?あんた無事なのか!?」

「当たり前です。あの程度で死ぬわけないでしょう」

「はは・・・頑丈そうだとは思ってたけど、スゲェなアンタ」

「私が凄いわけではありませんよ。この外套(マント)のおかげですよ」

外套(マント)?」

「と、無駄話はこの辺りにして・・・」


 マルクルは竜に目を向ける。

 岩で顎を打ちつけられたはずの地竜だが、大したダメージはなさそうだ。

 低く唸り声を上げながら、3人を睨みつけている。今にもこちらに突っ込んできそうな勢いだ。


「地竜ですか。強そうですね。ですが、私たちであれば倒せるはずです。2人とも!」

「!」

「なに」

「今からあの地竜を狩りますよ」

「まじか・・・」

「当たり前。そのために来た」


 マルクルは地竜に向けてまっすぐ腕を伸ばす。彼の腕にはめられた腕輪が、シャン と鳴った。


「それが私たち《滅竜部隊》の役目ですから」

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