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走るランドセル

作者: 三雲 みゆ


今日もまた1日が始まる。


いつも通り6時15分に起き、朝の支度をする。

いつもと同じ時間に家を出て車に乗り込む。


いつも通る道を気分が乗らない中、職場に向かう。


ん、何かおかしい。


今日はやけに道が混んでいて、信号につかまってばっかりだ。


「まただ、これで3回目」


繰り返す信号待ちに苛立ちを覚えながら、窓の外を見る。


小学生の登校集団が、前の横断歩道を渡ろうと奥の方から走ってくるのが見えた。


ここの歩行者用信号はすぐ変わる。

「急がないと赤になるよ」

心の中でそう思った。


小学生の集団は一生懸命走っているが、一年生だろうか、

小さな男の子が遅れている。


旗を持った高学年の男の子がそれに気づき、進行方向とは逆に走り出す。


「頑張れ」

なぜか私も心の中で応援していた。


信号が点滅している横断歩道を一生懸命2人が走っている。

それを見守る反対側の集団は大きな声で叫んでいる。

「はやくー」


その様子を見てハンドルを握る手に力が入る。


2人の少年は何かに追われているかのように一生懸命走り、無事渡りきった。


何気ない光景だが、その様子を見て私は少し元気が出た。


誰かに支えられ、誰かを支え、誰かを応援する。

日々心の弾力を失いながら働き続ける大人たちが忘れつつあるものを思い出させてくれた。


車道の信号が青になる頃、私はいつもの道をいつもとは違う気持ちで走る。


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