贖いし/罪裁くカイオディウム 終話② 預かる者のけじめ
ベルが企てた計画の全ては、フロルに露見することとなった。
ベルが修道女エルテミナの意思と魂を継承したのは、彼女がティタニエラに飛ぶ少し前。
スティンゴルドの悲願の達成は、ベルにとってもそれまでは荒唐無稽な話に過ぎなかった。フロルの警戒心は一級品で、大聖堂の護りが届かない場所に出向くことはまずないし、もしもそんな機会が日常の中で不意に訪れたところで、まさにそのタイミングでベルが覚悟を決められるはずもない。ベルには時間が必要だった。何か強烈な、「フロルを殺す以外の目的意識」がなければならなかった。フロルの殺害はあくまでもその過程にあるとしなければ、到底ベルにフロルは殺せない。
かねてより親しくしていた王女ルテアを操り、王女と国王の関係性を利用して王家そのものを傀儡と変えて。
女神レヴァンチェスカの元へ辿り着き、その器を乗っ取るという遠大な計画を立てることで、ベルは「最も達成したいが最も達成したくない」事項を、あくまでも計画の一部として仕立て上げた。
しかし一方で、ベルが企てた計画の果てにあるものもまた、彼女の本心ではあった。総司にエルテミナの魂を取り除かれたことで、彼女は本来の意味での「つきものが落ちた」状態ではあるが、十六年という短い人生の中であっても、ほぼすべての時間が「自分の血を呪う時間だった」ことを鑑みれば、そう簡単に全てが丸く収まるわけでもないし、割り切れもしない。
エルテミナの知識を垣間見たことで、スティンゴルドの血を忌み嫌うベルの本質はことさらに強く浮き出るようになったが、そもそもそれがなくても、ベルは自分の系譜が大嫌いだった。ウェルゼミットに属するフロルを憎まなければならない宿命が、敵とみなさなければならない宿命が嫌いだった。それをわかっていながら、フロルのことを嫌いになりきれない中途半端な自分のことも――――
「ヒトのことをとやかく言えたものではないので、私は別に何も気にしていません。偉そうな物言いかもしれませんが、言葉が必要というなら差し上げましょう。“全て、許します”」
そんな、自分が嫌う自分のことを、事も無げに。
ティタニエラで得た「初めての友達」の一人は、あっけらかんと、言ってのけた。
「私はベルさんのことが好きですし、リシアさんのことも好きです。ソウシさんのことは嫌いではない程度です」
「えぇ……なんか傷つく」
「冗談です。あなたのことも好きですよ」
ミスティルはくすりと笑って、涼しい顔で軽やかに訂正した。
フロルの執務室で、遂に一堂に会し、これまでの経緯を全て振り返ることとなった「五人」。フロルを筆頭として集まった面々は、ベルの所業を振り返りつつ、彼女をどう思うかについてまずは話すこととなり、ミスティルは逡巡することなく先ほどのセリフを言い切ったのである。
ティタニエラからカイオディウムくんだりまで連れ回された挙句、その理由の根幹となる部分が最初から嘘で塗れていたという事実は、誰よりもミスティルを怒らせて然るべきものだと誰もが思っていた。だが、とうのミスティルは全く意に介していない。
「……簡単に許されていいことじゃない、と思う」
ベルが遠慮がちに口を挟む。
「あたしがやったことは裏切り。みんなの誠意を、全部裏切ったんだから」
「それを言いかけたら、私は皆さんを殺しかけましたよ。さっき言った通りです。少なくとも私に何か言う資格もない」
ミスティルがちらっと総司を見た。総司はコホン、と咳払いして、
「負い目に思うならこれからは、フロルのために力を尽くせ」
「我らに裁きを求めるならお門違いだ」
総司の言葉に合わせて、リシアも微笑みながら付け加える。
「どうあがいても今更、ベルを糾弾したりは出来ん。裁きたいなら自分で裁くか、猊下にお願いすることだな」
「そのことについてですが、リシア」
ベルが何か言いかけたところで、フロルが遮るように言った。このままベルに話を続けさても、堂々巡りのように謝罪と赦しが繰り返されるだけだ。ベルはフロルを見て、どこかばつが悪そうに口をつぐんだ。
「既にラーゼアディウムの件については、虚実織り交ぜた情報を民衆に流したところです。全てを公にするわけにはいきませんので……ベルを不問とし、今回の件にヒトの陰謀は絡んでいないこととして片付けます」
「でもっ――――」
「事後承諾で申し訳ありませんが、リシアには詫びねばなりません」
やはり、ベルには何も言わせない。フロルは少し声を大きくして話を続けた。
「ベルの計画を秘匿する以上は、オーランドの行いも明らかには出来ません。よって彼も不問とし、引き続き大司教の地位にて私の補佐をしてもらいます」
「是非もない」
リシアはすぐに頷いた。
「猊下にお任せします」
「ありがとう。では」
フロルは指先に魔法の光を灯すと、部屋の扉に向けてぽいっとそれを投げた。
光が扉に吸い込まれると、すぐに扉がノックされた。どうやら「合図」だったようだ。
「入りなさい」
扉を開き、入ってきたのはオーランド。
リシアの目が細く鋭く、オーランドの姿を捉える。
一日二日で動けるはずのない大けがだったはずだ。大聖堂お抱えの医者は相当優秀な治癒魔法の使い手らしい。
しばらく、部屋は沈黙に包まれていた。オーランドがゆっくりと歩を進め、五人の輪の端に加わり、リシアと視線を交わすその最中、口を開く者は誰もいなかった。
オーランドの真意をリシアに伝えるような野暮な真似を、フロルはしていない。既に、遥か昔に決別した二人だ。真意はどうあれオーランドの人格そのものについては、リシアの人物評に間違いがあるわけでもない。今更「祖父」らしい祖父と「孫」らしい孫の関係性を築くなど、到底出来ない。
「……猊下の寛大さに感謝することだな」
「言われるまでもない。お前こそ、せいぜいこの先もイチノセの足を引っ張らんようにな」
交錯する視線にバチッと火花が散った気がした。フロルがパンパン、と手を叩いて、ひとまず二人を黙らせた。
「さて……ベルとミスティルはここに残ってください。もう少し話したいことがあります。ソウシとリシアはオーランドと共に。任せましたよ、オーランド」
「仰せのままに」
「待った」
あまりにもスムーズに話を運ぶフロルを止めて、ベルが慌てて言った。
「あたしも行く。良いでしょ、大司教」
「猊下の命だ。まだ背くつもりか、スティンゴルド」
今度はベルとオーランドが火花を散らした。
同じくフロルを害しようとした陣営ではあったが、この二人の結託は一度としてなかった。ベルはオーランドを利用しようとしたし、オーランドはベルを最後まで信用していなかった。
「私と同じく彼らとは敵対していたお前だ。共に来たところで不安要素が一つ増えるだけだろうに」
「ッ……」
お前とは違う、とは言えない。ベルが抱える負い目は当然のものであり、重いもの。形式上不問にされたというだけで彼女の行いがなかったことにはならない。幸いにして、彼女が直接的に敵対した者たちは誰も彼も、彼女のことを責めてはいないが、だからと言ってそう簡単に、騒動以前のような振る舞いには戻れない。
「ベル」
フロルが鋭く言った。
「無用の警戒です。あなたはこちらに残るように」
「……了解」
苦々しい顔をして、ベルが引き下がる。そんなベルに、総司が気さくに声を掛けた。
「後でまた会おうぜ。積もる話もあるしな」
大聖堂デミエル・ダリアの内部にある、「魔法に秀でた者」にしか見つけられない隠し部屋。オーランドがルテアに対して語った秘密の空間には、修道女エルテミナが記録した“千年前の出来事”や、彼女独自の魔法理論が残されている。
フロルの寛大な処置に対する謝礼として、オーランドはこの空間の存在を明らかにした。当然、フロルがとるべき行動は一つ。
この部屋の中に存在する情報を全て、女神の騎士に対して開示すること。未だ傷の癒えぬオーランドに、体に鞭を打ってでも出てくるよう命じたのは、オーランドにしか案内できない場所だからだ。
総司とリシアが入ったことのない大聖堂の一角にひっそりと、その部屋の扉はあった。
もちろん、これはオーランドが視覚的にも見えるように一部の魔法を解除したからであって、オーランドの処置がなければ、何の変哲もない壁でしかないのだという。
豪華さの欠片もない、まるで物置にでも繋がっていそうな木造りの扉を開き、中へ踏み入った時、総司とリシアは圧倒された。
広々とした牢屋のような空間の壁一面にびっしりと、淡い金色の光を帯びた文字が所狭しと刻み込まれている。雑多に大量に刻まれた文字は、全て千年前、いわば古代の文字であり、二人には読めなかった。
ルディラントでもそうだった。“真実の聖域”の巡礼通路にあった文字のほとんどは読むことが出来ず、二人に「読ませるために」あつらえられた情報のみを手にすることしか出来なかった。千年前、“ストーリア”であった頃の世界の文字は、現代を生きるリスティリアの生命にとっては普遍的でない、難解なものだった。
「これ、全部、エルテミナの……」
「一概には言い切れん」
オーランドが部屋の隅に寄り、壁の一部を示して言った。
「例えばこのあたりだ。見てみるといい」
総司が壁に駆け寄って、文字の一部をいくつか目で追ってみる。リスティリアの文字や言語を直感的に理解できる総司であっても、千年前の文字は全く意味を読み取れなかったが、オーランドの言いたいことはわかった。
「……筆跡が違うのか?」
「正解だ。恐らく、丸みを帯びたこのあたりの文字はエルテミナのもので、角度のついた刺々しい文字はロアダークのものだろう。推測だがな」
「貴様には、この文字の意味がわかるのか?」
リシアが聞くと、オーランドは当然とばかり頷いた。
「文字の意味は理解できるが、しかし文章そのものが暗号化されている。枢機卿猊下より、私が解明できた部分は全て翻訳するようにと命じられたが、困ったことに……」
オーランドがどこからともなく羊皮紙を取り出し、リシアに見えるように羽ペンを走らせた。
だが、書けない。
オーランドがわかりやすく、自分の名前を書いた後で、この部屋の文字を翻訳しようとする一文を書こうとしたことで、翻訳の部分だけが奇妙に消え失せてしまう現象を見ることが出来た。
「写し取ることが出来ないよう細工がされている。とは言え、重要と思われる部分については、見ればはっきりとその異常性がわかる。来い」
広々とした、文字を除けば殺風景な、無機質な石造りの部屋の奥へと、三人は歩を進める。
オーランドが示した部分を、総司とリシアは体を寄せて覗き込んだ。
長い文章、だと思われる。途切れることなく続く金色の文字の羅列。その中ほどで、明らかに「削り取られたように」、金色の光が乱雑に引っかかれたようになっていて、読めなくなっている箇所があった。
「文章の流れに沿えば、そこには“名前”が入るはずだ。ある時期から、ロアダークとエルテミナが『最も警戒すべき対象』とした、彼らの敵の名前がな」
修道女エルテミナが口にすることも出来なかった「名前」。
つまり、ここに入るのは――――“ハルヴァンベント”に渡った、ゼルレインではないもう一人の名前。
総司の“最後の敵”と思しき存在の名前が、ここにあったはずなのだ。
「そして、その一段下だが。繋がっている文章だ。その者について言及したものになっている」
総司はばっとオーランドを振り向いた。
「なんて書いてあるんだ!?」
オーランドはふっと笑って、特にもったいぶることもなく淡々と読み上げた。
「“どうやらゼルレインですら、仲間であるはずの奴を抑え込むのはもう不可能であるように見える”」
「……ゼルレインの陣営で、先陣を切っていたというよりは……ゼルレインですらも制御しきれないヤツがいた」
想像の域を出ないが、ロアダーク陣営にも、エルテミナの秘めた野望という誤算が生じていたように、ゼルレインの側も決して一枚岩ではなかったのかもしれない。
オーランドが解読した他の文章には、その“何者か”が「殺した敵の能力を奪う能力を有していたこと」を記録したものがあった。ライゼスがミスティルに対して語ったものと同じ内容が、オーランドから総司とリシアへ語られる。
千年前、ゼルレインの陣営にいたとある猛者。屈指の戦士であったゼルレインでも制御できない怪物であると共に、稀有な能力を有する者。
総司にとっての“最後の敵”は、千年前に活躍し、ある時から暴走を始めた人物。
おぼろげながら、総司とリシアは“最後の敵”に関する情報をまた一つ掴むこととなった。
一通り、オーランドが解読できた範囲の情報を聞き終えたところで、この場はお開きとなり、総司とリシアはとりあえずフロルの元へ戻ることになった。
だが、部屋から出る前に、総司がリシアに言った。
「先に戻ってくれるか?」
「……何だと?」
途端に、リシアの気配がざあっと変わる。明らかな殺気、明らかな敵意。彼女の尋常ならざる気配自体は、総司に向けられたものではないが、ぎらついた視線はしっかりと総司に注がれている。
「大司教と話したいことがあるんだ。後で何を話したかは言うさ。けど、伝える時は二人にしてほしい」
「……意味があるのか、それは……?」
妙なことを言う総司に、リシアが怪訝そうな顔で問いかける。総司が「頼む」と頭を下げるので、リシアは仕方なく頷いた。
「外で待つ。良いな」
オーランドに対する警戒を解いていないリシアは、せめてもの妥協案として、この場を外すことについては承諾した。
リシアが去ったのを見届けてから、総司はオーランドに向き合う。オーランドは腕を組み、流石に総司の考えが読み切れない様子で、探るように総司を見ていた。それもそのはず、このタイミングで総司がオーランドと二人きりになることを望む理由は、客観的に見れば考え付かない。オーランドから何か、女神救済の旅路に役立つ情報を引き出したいなら、リシアがいて困るわけもない。
「わざわざ私一人を残し……しかし、後でリシアには伝える。ふっ、すまんな、察しが悪い方ではないはずだが、皆目見当がつかん」
オーランドは皮肉げに笑って、総司に話を促した。
「挨拶しとかねえと、と思って」
「挨拶」
予想外の展開の中で予想だにしない言葉が出てきて、オーランドは渋い声を間抜けに響かせて、ただ繰り返すしか出来なかった。
「あんたはリシアの唯一の家族だから。俺はこれからも、リシアには一緒に来てほしいと思ってる。だけど、最後までアイツが共に来てくれるんだとしたら――――」
「その先に待っているのは不可逆の終わり。二度と戻れぬ、神域への到達だと」
「やっぱり知ってんだな」
女神の領域“ハルヴァンベント”には、行くことは出来ても、戻ってくることは出来ない。普通に暮らしていては得難い知識を多数披露してきたオーランドである、当然のようにその伝説も承知していたようだ。
「……それで?」
「もしかしたら二度と戻って来れない場所まで一緒に来てほしいと……戻る方法が本当になかったらその時は、俺と一緒に死んでくれと、リシアに言った」
オーランドの表情は崩れない。薄い笑みを浮かべたまま、総司の言葉を真摯に聞いていた。
「そしてリシアは頷いてくれた。あんたにだけは、言っておかなきゃならないと思った」
「……もとよりその資格があるはずもないが、もし私が反対したら、取り下げるのかね。アレの選択が了承であれば、私の許しが必要か?」
「決めるのはリシアだ、なんて押し付けたりしない。それにアイツは結局、あんたへの情を捨てきれていないし、そうである限りあんたはアイツの家族だ。だから、リシアにもあんたにも、俺にできるのは頭を下げることだけだ」
総司は言葉通り、オーランドに向かって深々と頭を下げた。
「リシアの命を俺にください。俺には、彼女が必要だ」
「無様な真似をやめろ。昨日も思ったことだがな、君の畏まった姿は実に好かん」
思わず、総司はハッとした。
同じようなセリフを聞いた覚えがある。そんなに自分の礼節を弁えた姿は似合わないのだろうかと、総司は驚きながら顔を上げた。
まさかオーランド・アリンティアスの口から――――ランセム・ルディラントと同じようなセリフを聞くことになるなんて、夢にも思っていなかった。オーランドは目を閉じ、何かを考え込んでいるようで、総司を見てはいなかった。
その人生で、本当にわずかに、何かが違えば。
きっと、この男は――――
「友であるスティンゴルドはともかく……私ですらも。勝敗が決したのちも、君は殺すことを強固に拒んだ。英雄としては落第ものの甘さだが、救世主としては相応しい、愚かなまでの高潔さだ」
無論、皮肉である。言葉の端々に、総司をどこかなじるようなニュアンスが含まれているのは明らかだったが。
オーランドの表情は、総司が見たことがないどころか、リシアですら幼き日の記憶の彼方に忘れ去った、穏やかそのものであった。
「君にとって、他者を殺すこと、他者が死を選ぶことは、それほど重いのだろう。単なる倫理観ではなく、君の信念が、容易く選び取られようとするその選択肢を許さない」
ベルが自分の死を願ったからこそ、総司は彼女との戦いに絶対に負けられないと決意を新たにした。オーランドはその精神性を見抜いた。
見抜いた上で、自分の孫を賞賛した。
「そんな君が――――『共に死んでくれ』と頭を下げるだけの信頼と敬愛を、我が孫は勝ち取ったのだな」
オーランドは表情を引き締めて、言葉を続けた。
「言った通りだ。私に意見する資格などない。だがそれでは納得しないというなら……」
カツン、と鋭く歩を進め、オーランドは総司の横を通り過ぎる。
通り過ぎざまに、総司の肩を一度だけ、優しくポンと叩きながら。
「くれてやる。好きにしろ」
「……ありがとう」
オーランドが扉を開け、部屋を去る。扉の外で、何事か言い合う声が――――というよりは怒声に近いリシアの大きい声だけが聞こえた。オーランドが、中での会話を茶化すようにごまかして伝えて、リシアが怒ったのだろう。
総司はくすっと笑い、足早に扉に向かった。
「一体何の話をしたんだ!」
部屋を出るや否や、リシアがつかみかからんばかりの勢いで総司に詰め寄り、顔から肩からバシバシと叩きながら無事を確かめ始めた。オーランドの姿はもうそこにはなかった。
「なんだなんだ!」
「何もされていないんだな? 大事ないか? オーランドめ、『男としての礼儀を互いに貫いた』などとわけのわからんことを……! 貫けるような礼儀があるものか、あの男に!」
「大丈夫だっての! 何もされちゃいねえよ」
総司はリシアの手を振り払いながら、彼女をなだめて落ち着かせた。
「で? 私にも話すという約束だったな? さあ、教えろ」
「『お孫さんを俺にください』って言っただけだよ」
「なっ――――お前まで私をからかうのか!」
「ホントだっての! それ以外のこと喋ってねえよ!」
「馬鹿を言うな! 私がいつ何時でもお前に甘いと思うなよ!」
ぎゃーぎゃーと言い合う二人の元に、フロルからの通信が届いて、二人はもう一度枢機卿の執務室へと戻ることになった。