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 ルーティーンは偉大だ。習慣というのは人間の精神状態に大きな影響を及ぼす。


 あれほど非現実的な現象を目の当たりにして、昨日から興奮状態だった頭は、寝て起きて仕事に行き、いつもの同僚としゃべりながら苦手な上司に書類を提出している間におさまってきた。変わったことと言えば苦手だったはずの上司の何が苦手だったのか、それが思い出せなかったということだ。あんな衝撃を受ければどうでもよくなるような理由だったということだろう。


 勝也はこれまで自分が思い出せないような理由で上司を避けていたことを損をしていたように感じていた。いつもと同じように仕事を終え、電車に乗り、帰りがけにいつものスーパーによって食材を買い、それを手に持って帰宅した。


 ドアを閉めカギをかけ、玄関に置いたスーパーの袋に入った食材を手に取った。手には袋が食い込んだ跡が残っている。スーパーを出た直後、能力を使ってみようかとも考えだが、こんなことでバレたくないと思いやめた。


 都会の住宅街はいつでも誰か歩いているし、周りの家やマンションの窓からぼうっと通行人を見ている人もいる。今自分がこの能力を使えるのは部屋の中だけだ。


 食材を収納する。手に触れた状態で「収納」と口に出せば、スーパーの袋ごと収納される。画面を見れば中身はきちんとわかるように画像と名前付きで収納されている。この収納の機能について、詳細設定なる項目があるが、今は半透明の文字となって選択できないようになっていた。スーパーで買った肉はそのパッケージのまま収納されている。肉とパッケージを分けたりとかもできるのかもしれないが、そんな細かく分けて収納されたところで不便なだけだから、この元々の設定のままで満足だ。試しに醤油を垂らしたタオルを収納してみたが、そのまま汚れたタオルが収納された。醤油とタオルが分かれて収納されたり、タオルのみが収納されて醤油が床に落ちるなんてことが起きるかもと想像したが、そうはならなかった。意識というより、自分の無意識に一体と思っているものが収納されるのかもしれない。


 取り出すときは、画面上で表示されているものを選び、「取り出す」を押すか、選択されている状態で「取り出す」と言えば、手に出てくる。今回のように袋に入ったまま収納されたモノたちは、グループ化されているようで、袋に入ったままの状態の画像を選択して取り出せば、収納されたまま出てくる。画像をダブルクリックしてみれば、商品それぞれを選んで取り出すこともできる。その場合、取り出した商品はもちろん画像群から消えて、袋全体を取り出したときにそれは入っていない。


 このぐらいはまぁそうだろうって感じだが、注意すべきは取り出すときの重力だ。


 大きいもの、冷蔵庫なんかは手の先から床に立っている状態で出てきてくれるので大丈夫だが、手にもてるサイズのものだと、手の平に現れて二秒ほどで重力がかかる。持ち上げる動作も、持っている状態の筋力も使わず、いきなりスーパーの食材たちの重さが手にかかると、肘が抜けるかと思うぐらい痛い。その二秒の間につかんで自分で持ち上げる動作が必要になる。もしくは、少しかがんで床の近くに手を伸ばし、取り出すと、冷蔵庫のように床に置かれた状態で手の先に出てくる。


 右手、左手、どちらかに出てくるがこれは自分がどちらに出そうとしているかを読み取ってくれるようだ。両方から、もしくはどちらかを考えずに取り出すをした場合、ランダムに右手だったり、左手だったりから出てくる。この辺は昨日ついつい試したくなって一通り確認してある。それでもまだ細かい設定とかはわかっていない。記録をつけようとノートにいくつかメモ書きしてある程度だ。


週一投稿予定です

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