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 しばらく風に当たっていると手に持ったままの古いタオルに気が向いた。基本捨てるんだが、洗えば雑巾として使えるだろうか。と、ここで洗濯機のことを失念していたことに気づく。風呂場の横、脱衣所兼洗面所にはそんなスペースも洗濯機もなかった。まさかと思い、南側の庭を回っていくと、東側、モノが積まれた中に上に蛇口のついた風化した箱のようなものが立っている。上に置かれた段ボールをどかし、ふたを取ってみると、昔懐かしい二層式洗濯機があった。


 洗濯機が外なんてことを想像もしてなかったので不動産屋で確認することを忘れていた。なんならお金が浮いたと思い、これを機にドラム式洗濯機にでも切り替えようとすら考えていた。これでは無理だ。今使っている縦型洗濯機がとりあえず使えるかどうか確認せねばならない。勝也は蛇口までの高さと排水パイプの位置、電源の位置を確認すると、蛇口を少しひねり水が出ることを確認した。


 物干し台はまだ使えるが、物干しざおは古すぎてだめだ。これも今使っているものを流用しなければならない。現在のアパートでは上の階のベランダが一応屋根の役割を果たしてくれているが、ここにはそんなものはない。晴れている時に干して、取り込まなければいけないし、怪しい時は部屋干しだ。便利になると思えた新生活が意外と不便になるかもしれないと少し落胆していた。周りの家をちらっと見てもさすがに洗濯機が外に置かれた家はここぐらいだった。


 改装を頼むか、とも考えたが、そもそも片づけに金を渋っていたのに、そんなことに金を使ってくれるだろうか。月三万円でこの家を貸す上に、改装までやったら赤字確定だろう。逆に休日の朝に洗濯機を回し、きれいに干していることで、周りの住人に普通の青年が住んでますよアピールに使えるかもしれない。何年もごみ屋敷だったところが急に片付いて若い男が住む。最初は話題になるかもしれない。ましてや前の住人の親族でもなさそうとくれば、少し怪しまれる可能性はあった。能力を使って片づける以上、怪しまれることを極力避けたい勝也にとって、休日に洗濯物を干している姿を見せることは、怪しさを軽減するいい方法かもしれない。


 そこまで考えて勝也はどうにかこの不便さを受け入れる言い訳を自分の中で生み出したのだった。



週一投稿予定です

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