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 二階東側の部屋の窓辺で新鮮な空気と光に当たって一休みする。この部屋は昔の子供部屋だったのだろうか。勉強机などがあるが、そこにも洋服や靴や、その他雑貨などで占められていた。それにしても箪笥の多い家だ。押し入れはあったが、そこはきっと古い布団で占められているだろう。使わなくなったものを処分するという習慣のない家だ。窓の外はさっき見た小さな畑と向こう側の家が見える。ここの土地はは少し高くなっているようで、この二階から向こうの家の屋根が見え、その向こうに広がっている街が少し見渡せる。眺めのいい場所があってよかった。ここを寝室にでもしようか。これからする片づけのことを忘れ、良い景色に浸る。しばらくそうしながらこれまで見てきた部屋をどう使おうか考えた後、雨戸を閉め、窓も閉めると、来た道を戻り慎重に階段を下りた。


 玄関から出て西側の道路から改めて家を見る。大変な量のごみだった。トイレ、風呂、台所の水回りの掃除も大変そうだった。月三万円は妥当なのだろうか。勝也はこれからかかる労力と、月三万円の家賃を比べてみた。植木屋に頼まなくてはいけない庭木、外に転がる金属ごみ粗大ごみ、家の中のモノ、もの、モノ。問題はごみの処分方法だ。収納しておいて少しずつ捨てていけばいいゴミは置いといて、この大量の粗大ごみをどうするか。そこまで考えて、勝也は実家で昔ごみを燃やしていたことを思い出した。今ではごみを燃やすことはできなくなったが、切り枝や落ち葉などは庭で今でも燃やしているはずだった。とりあえず、箪笥などの燃やせる木製のものはそこで燃やせばいいか。たまには帰省しないといけないし。


 かなりの数の不動産屋を回ってきたが、このような物件が他にも同時期に見つかる可能性は低い。正直もっと簡単に考えていたが、やはり訳アリ物件の訳を解決するのは大変そうだった。それでも勝也はこの広い家を一人で使えることと、二階からの眺めに心惹かれていた。自分の部屋の大掃除ぐらいしか能力を使ってこなかった勝也には、これまでの常識からこの家の片づけの大変さを計算するしかなかった。それでしばらく家を眺めながら悩んでいたが、ここを逃すとこれまで通りの能力を持て余す生活に戻ってしまうだろうという予測が決心させた。それだけは嫌だった。



 玄関に鍵をかけ、勝也は来た時とは違う気合の入った顔をしながら不動産屋への道を戻る。片づけはもう始まっている。奇跡の力を大掃除に使うことを決意した小市民の男の顔であった。






週一投稿予定です

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