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 家の窓は大きいものは雨戸でふさがれていた。南側には二つ掃き出し窓があり、各部屋に一つずつあるようだ。東側にも庭に面するように掃き出し窓があった。すべてを開ければ一階の南側と東側はかなり光が入りそうだった。二階もあるが、庭が狭いので角度的によく見えなかった。犬走りは植木鉢やスコップや風化したバケツやらの日用品でほとんど埋まっていた。小さい窓は厚い磨りガラスになっていて、中の様子は見えなかった。


 なかなか片づけ甲斐のある庭を見た後、勝也は借りてきた鍵を使って玄関を開ける。埃っぽいが昭和らしい硝子の使われたドアを開けると、暗い玄関が見えてくる。かび臭さとこもった空気が顔にかかった。慌てて植木鉢を取りに行き、玄関のドア止めとして限界まで開いたところで止める。少しでも新鮮な空気が入るようにすると、いつだか買った災害用品の中からマスクとゴム手袋を取り出してつける。家の中の片づけはまだまだと聞いていた。生ごみや冷蔵庫の中身そのまんまというのはさすがにないだろうが、多くのモノがカビにやられていそうだった。


 玄関にもたくさんのモノが積まれている。風呂敷に包まれた布団が重なり合って、かび臭さの温床となっている。下駄箱を開けてみれば、古い靴がいくつも残っている。最後にその中からスリッパを見つけると、靴を脱ぎ家に上がった。


 何度も思い出すことになるのだが、片づければ三万円なんて物件、そこら辺の普通の家のモノの量ではなかった。少し進んだだけで狭い廊下を埋め尽くすようにモノやタンスや、服がある。テレビショッピングで見たことあるような健康器具も。そして、ペットボトルや空き缶などもまとまってたり、混在したりしながらレジ袋に入れられて詰まれていた。少し進んだ先の左手に二階への階段があり、そこにも一人が通れるだけのスペース以外は、どこかのお土産の置物や、雑誌、トイレ用洗剤などが段々に置かれ、寄せられていた。


 まったくどうしてこんなにモノがあるんだと、名も知らないおじさんへの怒りを募らせながら、廊下を奥へと進んでいく。


進んで右手に和室が一つ、モノがたくさん。さらに進んで階段下のスペースにトイレ、埃だらけ。さらに進むと右手にまた和室があり、テレビやちゃぶ台、食器棚などが置かれている。その隙間を埋めるように新聞や雑誌なども積まれていた。ここが居間だったのだろうか。そのまま東側の掃き出し窓が見えた。トイレと同じ北側に風呂や洗面台があり、中を開けてみると、当時使われていたまま、手拭きタオルなどがかけられている。風呂は随分使われていないようだ。カビや水垢、全てが茶色く乾燥して粉っぽくなっていた。浴槽が思ったよりきれいなままなのは安心した。


最後、北東の隅に台所があった。そのまま居間とつながっている作りで、食器棚にも食器がたくさん詰まっている。流し場の前にある磨りガラス窓の前にも棚が設置され食器や調理器具がそのまま残されていた。流しの下の収納にもきっとたくさんのモノがしまわれている。家族みんなで暮らしていた頃のまま、不用品を整理することなく、覆いかぶせるようにモノが積まれていったのだろう。なるべくモノを端に寄せ、とりあえず人が通れるようにしてあるだけだった。北側通路とつながっている勝手口もあるようだが、その手前にごみ袋が積まれており、まだ開けることはできなかった。


 いったん玄関まで戻り、マスクを外して新鮮な空気を吸う。すべての部屋の窓を開けるつもりだったが、あまりのモノの量にいったん諦め、間取りを把握するだけで出てきてしまった。邪魔なものをすべて収納しまおうかと一度試みたが、ゴム手袋越しではいったんゴム手袋を収納してからでないとできず、正直素手であまり触りたくないレベルの埃とカビだったので、まだ契約もしてないし、と自分に言い訳をしながら収納するのをやめた。



 







 

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