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一か月ほど空いてしまいました。
三話ほど続けて投稿してから、週一投稿に戻ろうと思います。
正直に言えば、期待していた。この都会で三万円で借りられる一軒家。ここまで歩いてきた道程にも素敵な家がちらほらあり、ここで暮らす仲間になるんだなどと、とても都会で暮らす者の発想ではない思考をめぐらすぐらい浮かれていた。
しばらく歩いてきて、地図と写真を見比べながら何度も確かめた。表札の名前を最後に見て、ここだと確認を終えた。新しい家や、大きな家、アパート、マンションが混じりあう住宅街において、よくある家なのにそこだけセピア色になっている。湿気と古さが目立ってしまっている家だった。中途半端に家を囲う石垣、一台分の駐車場、古いカーポート。玄関まで行くまでに何本かの植木が植えてあるが、伸ばしっぱなしのせいで道に枝が出てしまっている。木の作る陰がこの家のじめじめした印象をより強くしていた。積み重ねられた植木鉢、まだ土が入っていて枯れた植物もある。庭は片づけたとは聞いたが、本当にごみを捨てただけだったらしい。
道路からは小さい家に見えたが、庭を奥へ進んでいくと、奥に長いことがわかった。南北を家に挟まれ、西が道路、奥に進んだ東側はまたの庭と石垣、その向こうはちょっとした畑を挟んで家があった。昔から住んでいる人たちがまだ多く住んでいる町のようだ。そのまま家の北側までぐるっと回ってみると、石垣との間に人ひとり通れるほど通路があり、勝手口や、ガスメーターなどがあった。どこも雑草がこの時期でもかなり伸びており、夏前にきれいにしないと大変そうだった。
昔使われていただろう物干し台の近くに、錆びた物干し竿が落ちていた。どこかから持ってきたのだろう錆びた自転車も。匂いの出るようなものを燃えるごみとして捨てた結果、捨てにくい金属製や陶器の粗大ごみだけが残っている。確かにこれを処分するのは手間だ。業者に頼んでもそれなりに費用が掛かるだろうな、と勝也はこの家のたどってきた流れを想像していた。
ただ、外から見たその家は、地方に行けばどこにでもありそうな、体力が落ちたお年寄りが暮らす普通の家だった。




