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 なんでもその物件の持ち主の女性は、一年前に相続で手に入れたらしい。もともと家族で住んでいたが、兄妹が独立し、それぞれが家庭を持ち、家を持ったので、たまに両親の顔を見に行ったり、お盆や正月に親戚集まりを開くぐらいで使っていたが、15年前に母が急逝し、それから父親が一人で暮らしていた。もともと家事なんてできない父親の一人暮らし。すぐに家は散らかり始め、しばらくは子供たちで面倒を見ていたが、母親がいればうまくいっていた家族もそれぞれ大人になったり、父親が意固地になってきたりして少しずつうまくいかなくなってしまった。その少し疎遠になっていた数年の間に、実家は見るも無残なごみ屋敷状態。なんとか周りの住民ににおいなどで迷惑をかけないギリギリ状態だったらしい。ごみ屋敷にはしたものの、お金に関してはケチと言える父親は、退職金や母の保険金などは極力手を付けず、年金の範囲内で暮らしていたため、それなりの現金が残った。


 父の葬儀後、税理士を入れて相続手続きを行い、実家は売ってしまおうかとも思ったが、幼き頃の思い出や父母との思い出を消したくないとためらい、とりあえず長女である女性が家と土地を、残りの現金を弟と妹に分けたらしい。元気にごみ集めをしていたと思ったら、病気が判明して入院、そこからすっと亡くなったおかげで、介護費用でお金が消えることもなかった。その偶然のおかげで選べた選択肢だった。


 相続も終わり、さぁ片づけようとしたところで見積りを出すと案外費用がかさむことがわかり、急ぐことでもないからと、近隣住民から見える庭はこの一年で自分の用事の隙間を見つけて片づけてきたが、なかなか大変。相続で現金はやってしまったので、業者に頼む金を出してほしいと頼むのは気が引ける。


 というような状態で、知り合いの不動産屋のおばあさんに愚痴ついでに相談していたらしい。そしてその話を覚えていたおばあさんのところに、安く住まわせてくれるなら全部片づけますと言う変な青年が来たということだった。


 勝也がこんな話、普通にネットや不動産屋回るだけじゃ絶対出てこないよなと思いながら、自分の行動がよかったと自画自賛していると、おばあさんに住所と二枚の写真、それとカギをもらった。これから自分で見て来いとのこと。何をそんなに自分を信頼してくれてるのかと思っていると、相続手続きの際に重要書類や金目のモノはすでに持ち出されて、家具やごみしかないから今更盗まれても困らないと説明してくれたが、勝也はおばあさんが天気のいい初夏の昼間に外出したくないだけだなと思った。


店から出ると、本当に天気がいい。住所を頼りに検索してみると、ここから歩いて行けそうだ。もしかしたらこの街にこれから住むことになるかもなどと思いながら、ちらちら他の店や住民、公園などを確認しながら、紹介された物件へゆっくりと歩いて行った。





週一投稿予定です

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