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その会話は、なんてことはない普通の井戸端会議だった。50代ぐらいに見える女性二人組は、子供のこと、夫のこと、年老いた両親のこと、保険や老後のことを行ったり来たりしながらお互いの状況確認をしていた。都会に暮らしてきた人の50代ぐらいの会話は、勝也が地元で聞いていた人たちのそれとは少し違う。お墓やその後の管理のことなど、限られたスペースで暮らすことの大変さがわかって新鮮だった。田舎ならお墓やどこで葬式を行うのかなんてのは、悩む必要がない。お世話になってるお寺があり、先祖代々の墓がある。せいぜいお墓をきれいにするとか、大きくするとかで悩む程度だ。
少し悪いと思いつつも、十分すぎる声量で話すもんだから勝也は考える休憩にその会話を聞き流していた。ある程度二人の家族構成が見えてきたところで、話は最近の困りごとに移っていった。どうやら遠い年老いた親戚がよくあるごみ屋敷を形成したまま亡くなってしまい、その跡継ぎも独身の60代で別の場所に暮らしていて、あまり精力的に片づけようとしないタイプの人らしい。その結果近所からも不満は出ているのだが、誰がその跡継ぎをせっついて片づけさせるのか、そもそも自分が相続するわけでもない家の片づけにわざわざ手を挙げる親戚などおらず、癖のありそうな跡継ぎに口出しして無駄にもめても嫌だ。問題を放置しておくのか気持ちが悪いが、放っておくしかないというような話だった。
アイテムボックスの能力を授かった勝也にしてみれば、なんともうらやましい話だった。ごみ屋敷でもなんでも自分に相続さえされれば、あっという間に良い家に生まれ変われさせるのに。周りにバレてはいけないという制約のせいでチャンスを逃しまくってる気になってしまうのも嫌だった。
勝也が悶々としてると、二人の会話は、さっさと片付けて賃貸にでも出せばいいのにねぇというような形で落ち着いた。賃貸、その言葉で勝也の脳裏に次善の策が巡った。
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