15 王都出発
無事?に任命式が終わり、帰宅後すぐに魔法服に着替える。その上にトレンチコートを着て、門まで移動。お父様、オリジール家の騎士や使用人達がいた。門前には魔法馬車三台、魔法荷馬車が三台並んでいる。
「他領で、テマトマ侯爵とはあまり関わりがない。悪いとは言わないが、頻繁に支援を送るには難しいだろう。」
「大丈夫です。大量の保存食や苗や種、農作業具、馬に馬車を用意していただき、ありがとうございます。とても助かります。」
「何もなくても遠慮なく連絡しなさい。」
「わかりました。お父様、風邪を引かないように気を付けてくださいね。」
「あぁ。」
「……ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。」
「私もな、すまなかった。」
「でもこうして話せるようになって嬉しかったです。」
「私もだ。」
何年か振りにお父様に抱き付いた。
「……いってきます。」
「気をつけて行ってきなさい。」
「「「お嬢様お元気で!」」」
「「「無茶しないでください!」」」
「「「息子(娘)をよろしくお願いします。」」」
「皆さん、お父様を、オリジール家をよろしくお願いします。」
「「「お任せください!」」」
三台目の馬車に乗る。こんなに見送りに来るとは思ってもいなかった。私を見限らなくてありがとう。皆さんにもお父様にも祝福がありますように。
王都の最後の門を出ると同行者達が待っていた。アシャルーナ嬢達と彼女らの護衛達に、家と同じく魔法馬車に魔法荷馬車があった。
「同行感謝します。任命式にて私はラザート村周辺、ラザート領を任されました。そして、ラザート伯爵に叙任されました。」
元オリジール家以外の方々が驚いた顔をしている。
「私はあなた達を仲間であり、領民であり、そして家族として接します。」
真剣な表情や笑みを浮かべるみんな。
「苦労があります。迷惑をかけます。上手くいかないことが多々あると思います。未熟な私にあなた達の知識、力を貸してください。私もあなた達に知識、力を貸します。これからよろしくお願いします。」
「「「こちらこそよろしくお願いします!」」」
練習でもしてたかのようにぴったり合わさっている。簡単な自己紹介をして馬車に乗り込む。
皆の為に頑張ろう。ラザート領に来て良かったと思えるように頑張ろう。私の記憶を整理しよう。専門知識がなくてもこの世界より発展しているから何か役が立つ知識があるだろう。と気合いを入れる。
馬車がラザート領に向かって進み出した。
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