13 任命式
任命される者達が中央に出てきた時会場がざわついた。正確にはある令嬢を見てざわついた。変わりように驚きのあまりぽかんと口を開ける者。ルナティーラ様は亡くなった筈では?!と驚く者。ルナティーラ様にますます似てきましたねとただ成長を喜ぶ者、ルナティーラ様の面差しがある令嬢に邪な思いを浮かべた者。どこの令嬢だ?と困惑する者。男だけが任命される任命式に女が出てきて困惑する者、不快に思う者。
好意二、悪意七、無関心が一といった感じかしら?普通に出ていたらさらに悪意の方へ傾いていたわね。お父様に感謝ですね。
静まれ!の司会の言葉から始まった任命式。呼ばれた者は集団から前に出て跪き任命を受ける。問題なく進行する。
「ルイナス・オリジール。」
呼ばれて前に出ると、王族がいるところから「誰だ?!お前は!?」と大声が聞こえた。ざわつく会場。
「ディズベルド・オリジール公爵の娘ルイナス・オリジールでございます。」と一礼し跪く。
「ルイナスは醜いオークのような女だぞ!」
お察しの通り、第三王子アルスタ・ベルサザリンの登場。近づいてくる気配、目の前に誰かさんの足が見える。顎を持ち上げられ目が合い、胸をちらちら見ながら言う殿下。ペシッとつい殿下の手を払ってしまった。
「お前、ルイナスの姉か。婚約者がルイナスじゃなくお前だったら良かったのにな。」
太る前は育っていなかった胸。太るにつれて、いや成長するにつれて大きくなった胸。今の身体が理想の姿、痩せるの頑張りますよ!
「私はルイナスです。私には姉はいません。それから、殿下。王族であっても未婚の女性に気軽に触れるのはいかがなものかと。」
「なっ!王子である私を騙すとは!無礼であるぞ!貴様!」
「任命式に乱入してくる方が、あ。」
声に出てしまった。顔を赤くするアルスタ殿下。
「くっ、こいつを牢に入れろ!我々を騙しているぞ!」
「はぁ……国王様、発言の許可をください。」
あとこの王子をどうにかしてください。
「許可する。」
「ありがとうございます。すみません、どなたか人物鑑定の魔法か魔法具をお持ちではありませんか?」
少しの沈黙の後、国王様の近くに立っていた男性が私達の前にきた。
「私がしよう。」
「ありがとうございます、宰相閣下。鑑定お願いします。」
「鑑定……アルスタ殿下。彼女はルイナス・オリジールで間違いありません。任命式の続きをしましょう。殿下、戻りましょう。」
「う、嘘だ!」
騒がず戻ってください。宰相閣下が何もなかったかのようにしようとしたのに。乙女ゲームの攻略対象は馬鹿になる何かがあるのか?と私が呟いた。
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