12 手紙
王都を出なければいけない日まで残り三日。同行者達と顔合わせをした日から時々来る令嬢達と複数化の訓練をしたり、開拓に役立つ魔法を思い付いたり、開拓の準備も順調であります。
そ、し、て、なんと、なんと話すだけで疲れない身体にまで痩せることができましたの!嬉しくて嬉しくて泣いてしまいました。見た目はお腹が一番痩せたように見えます。バランスボールではなくなりました。凹ましていたからでしょうか。でもまだオーク令嬢の名はとれないでしょう。次の目標は運動しても直ぐに息切れしないまでに痩せることです。オーク令嬢脱却です!
とまぁ新たな目標を立てていると、お父様の呼び出し。何かあったのかしら?執務室に入るとお父様が手紙をもっっっのすんごい顔で睨んでいました。
「な、なんのご用でしょうか?」
「王族は我らをどうしたいのだろうな。」
な、何が書いてあったのかしら?
「……」
「昨日知り合いから三日後に任命式があると聞いてな。私のところにはなんも連絡が来ていない。」
あぁ、察しました。
「知り合いに聞いてみたら、約一ヶ月前に任命式があると連絡が来たというではないか……」
婚約破棄された日くらいですね……
「で、今日この手紙が届いてな。」
手紙を持ち上げヒラヒラと振るお父様。
「三日後に任命式がある。ルイナス・オリジールを連れてくるようにと書いてあったのだよ。」
任命式は年始に行われる。それが十月だというのに三日後に行われると。しかも私を連れてこいと。
「……」
「……」
「た、短期は損気ですよ、お父様。ひぃっ!」
もっっっのすんごい顔のままのお父様に見られて、怒りの矛先が私じゃないとわかっていたけど恐怖で悲鳴をあげてしまう。
「……あぁ、すまない。」
「い、いえ。そそれはたぶん殿下の私への単なる嫌がらせであって、お父様を軽視とか蔑ろにしているとか考えてもいないと思います。」
婚約破棄後眠り続けた一週間に私と一緒に見た私の人生。第三者視点で見た学園入学してからの殿下は、なんといいますか、こいつがぁ王子ぃ?嘘だろ?と私が洩らすくらい、あれなんです……察してください。
「なんと、まぁ……」
「ええ、まぁ、あれですけど、任命式のための正装を用意しなければいけませんね。」
怒りが鎮まり、穏やかな表情で私を見るお父様。
「頑張っているようだな。」
「はい。」
「このあとすぐに仕立て屋を呼びつける。」
「ありがとうございます。」
お父様が執事長に伝を出し、引き出しから見覚えのある指輪を出した。
「出発日に渡す予定だったが、これを身に付け任命式に出なさい。」
「着けられないと思いますが。」
「自動調整があるから問題ない。」
にやりと笑うお父様。まぁ、その指輪が魔法具だと知りませんでした。他にも何かあるんですね?その笑みは何か思い付いたのですね。
最後まで読んで頂きありがとうございます。少しでも続きが気になると思ったらブックマークをぽちっとしてください。ついでに評価もぽちっと。星三以上で!