第一章、何もかもが違う幻想郷 ⑨
【第九話、その後】
あの後、鬼の四天王と八雲紫との間で協力関係を作ることが出来たそうだ。
ちなみになぜあの時、萃香、勇儀、華扇を呼べたかというと
僕は屋敷の中で逃げていた時には紫と連絡がついていた。
紫は万が一、というよりは必ず僕に命の危険が近いうちに来ると思っていて
僕の器の中に最初、力を与えたのと同時に危険が及ぶとわかるセンサーみたいなのをいれていたようだ。
そして、威様が僕に殺気を放ったことで紫に連絡が繋がり、
出来るだけ早く花堂威様を除く鬼の四天王を花堂威様の屋敷に集めてくれと伝えられたのだった。
…もし紫と連絡が取れなかったり、
鬼の四天王が集まらなかったり、
威様が迷わず僕を殺していたらと思うと冷や汗が止まらなくなるが
ひとまずは…
「紫ー!」
「! は、はい!」
「何か言いたいことはある?」
「まずは、ごめんなさい。
でも頃合いを見て家に入れようとは思ってたのよ?」
「なるほど。 それで僕は死ぬ一歩手前までいったわけね」
「で、でも貴方の右腕は私が直してあげたし、
鬼との戦いでいろいろ学べたでしょ?」
「…まぁ、それも事実だからもいいよ」
「あら、ありがとう。 それで早速なんだけど」
「ん? なんだ?」
「さっき鬼たちと話し合ったのだけど、鬼の力はいるだけで幻想郷に影響を与えてしまうの」
「うん。それで?」
「だから地底に移動してもらうことになったんだけどね、
じつはちょっと問題があって…」
「…問題って?」
「地底には元々覚り妖怪が住んでいて、地底を管理してるのも彼女なの。
だから鬼怒にはその…鬼が住めるようにお願いしてきてほしの」
「いいよ?」
「え!? い、いいの!? いっちゃあれだけど地底って結構危ないし、
それに会うのは覚り妖怪よ? 本当にいいの?」
「まぁ、鬼たちのためならやるよ。
それに覚り妖怪って確か四つの勢力の一つだろ?
なら遅かれ早かれ行くんだし」
「分かったわ。 出発は一週間後よ、それまでに準備してちょうだい
…それと地底は本来一番最後に行く予定だったの。
その意味をよく考えてね」
…なんか意味深なことを言ってきた。
まぁ、今度は二日ぐらいで攫われることもないだろう。
…ないよね? 頼むよ?