第一章、何もかもが違う幻想郷 ⑤
今回で鬼怒君の能力が分かります。
では、ご覧ください。
【第五話、吸収の鬼、鬼怒】
「憂鬱だ。」
あの後、何故霊を見えるようにしたか聞いた所、
僕が見たのは亡霊で幽霊というのは素質がある人しか見ることはできないらしい。
そして、亡霊というのは悪霊に近いものなんだと。
ちなみに僕が見たのは紫が見せた幻覚らしく、本物の亡霊がいたら呑気に食事してないとのことだった。
もし僕が死んだら閻魔様に頼んで紫に一生憑りついてやろう。 それがいい。
「さて、昨日は鬼怒の力を調べたから、今日は能力について調べるわね?」
「あぁ、ばっちこい!」
「じゃあ、やり方を説明するわね。
と言っても私も貴方の能力についてはあまりよく分かってないの」
「ん? でも最初に会ったとき、貴方の能力は今幻想郷に最も必要なのとか言ってなかった?」
「あぁ、適当よあんなの。 幻想郷では私の味方がいなかったから、
外の世界で唯一能力を持っていた貴方に頼んだだけ。
でも間違ってはないでしょ?」
「あぁ、確かに間違ってはいないな。 だけど嘘はよくない。
鬼は嘘が嫌いなんだ」
「いや貴方鬼って名前だけで、ああああああああ! 吸われるううううう!」
鬼は嘘が嫌いらしい。 昨日紫に聞いた。
さて、今紫に何をしたかというと、紫の力を吸ったのだ。
これは昨日夜に眠れなかったのでいろいろやってたら出来るようになっていた。
【光を吸収する能力】というのはどうやら器の中の力を吸い取ることが出来るという能力らしい。
器の中の力は暗い海の底を照らすように輝いていて、紫の器の中は自分で言うだけありかなり明るかった。 だから根こそぎ吸い取ってやったら紫は倒れてしまった。
とても気分はいいがこのままでは困ってしまう、起こすか。
「なぁ、紫、起きてくれないと困っちゃうんだが」
「…うーん、まだ気分が悪いわ。 貴方一体何をしたの?」
「紫が嘘をつくから紫の器の中の光を吸い取ったんだよ。」
「…どうりで私の力がなくなっているわけね。 でも嬉しい知らせだわ。
能力の使い方が分かったら後は応用や工夫をすればいいだけなの。
これでまた一歩、鬼退治に進んだわね!」
「あー、そのことなんだがこの能力には吸い取る以外の使い道はないみたいだぞ?」
「…え? 何か頭に浮かんできたりしない? 例えば器の中の力だけじゃなくて
目に見える光も吸収できるとか。」
「んー、浮かばないな。 多分本当に吸い取るだけなんだと思う。」
「……まずいわね。鬼怒がこれから戦うことになる四つの勢力のボスたちは全員能力持ちなの。」
「…? それがどうかしたのか?」
「…例えば、今鬼怒が私の器から力を全て吸い取ったとしても私には【境界を操る能力】があるわ。
ということは確かに器の力に頼ったことはできなくなるけど逆にいえば器の力を封じられただけなの。
妖怪は人間とは素の力がまったく違うわ。 もし普通の人間が妖怪に挑んでもまず勝ち目はない。
…それに鬼怒が挑むのは妖怪の中でも素の力がすごく高い【鬼】なの。
そして能力も使える。 …かなりまずい状況なのは分かったかしら?」
なんてこった。 今までクレイジーデーモンズだと思っていたが、
どうやらクレイジーアビリティデーモンズだったらしい、……長いな、やめよ。
「…なんとなくは分かったが、どうするんだ?
僕の能力は本当にこれだけみたいだぞ?」
「…ええ、それは分かったわ。 でもね鬼怒。 ものは考えで変わるのよ。
確かに貴方の能力は器の中の力を吸収するだけ。 でも貴方が持つ器の大きさは規格外なの。
ということは鬼の器の力や私の器の力、そしてこれから戦う相手の器の力を吸収し続ければ、
貴方は十分戦っていけるわ。 器の力はそれぐらい強力なの」
なるほど。 ということは残り五日の内に器の力を使いこなせれば戦えるということか。
まだ僕の首の皮は一枚繋がってたみたいだ。
「…そうか。 なら師匠としてちょっと手伝ってほしんだが」
「!! ええ! いいわよ! 何でも言っ ……え?
何で私の手を握るの、ああああああああああああああああああああ!
二回目えええええええええええええええええええええ!!」
…これじゃあまるで吸血鬼ならぬ吸収鬼だな。
この時の僕は倒れる紫がスキマを僕の真下に開いていることに気付けなかった。
鬼怒君は吸収鬼になったようです。 …?
最後の紫がしたことでついにストーリーが動きます。