第三章、ゆらりと佇む亡霊屋敷 ①
さぁ、始まりました第三章!
鬼怒君は今回どんなことに巻き込まれてしまうのか!
そんな不幸体質な鬼怒君と共に第三章を楽しんでくださると嬉しいです!
では、どうぞ!
【第一話、
「………………」
………………………………紫のスキマを潜り、でかい屋敷の門の前で待つこと五分くらい。
紫が来る気配はなく僕は一人、静かな時間を過ごしていた。
………………いや、はよこいや。
大体この空間は何かがおかしい。
まず、今の時間は朝のはずだ、なのに辺りは暗く太陽も見えない。
それに、雫に似た気配がさっきから僕の周りを漂ってる。
だが目に見えるではなく漂う気配もぎりぎり感じ取れるぐらいには微弱なものだが、もしこれが雫と同じ幽霊なら笑えない冗談だ。
雫は自分のことを裁かれてない幽霊だと言ってた。
なら、裁かれた幽霊たちはどこに行くのか?
まぁ、この世に戻ってくることだけはないだろう、もし死んだ人間が裁かれた後戻ってくるようになっているのなら僕のもと居た世界もこの幻想郷も幽霊でギュギュっと押しつぶされちゃうし。
と、いうことは幽霊の世界がどこかにあるはず………………そして僕は今雫に似た気配を感じていて、さっきからここは少し寒くて、屋敷もなんかそういう雰囲気を醸し出してるように見えてきた。
………………あの幼女、お願いって僕を幽霊屋敷に連れていくことなのか?
いくら本物の幽霊に取り憑かれた僕でも勘弁してほしい。
「……よっと、ごめんなさい鬼怒。
待たせたわね………………どうしたの?」
「紫…………どうしたのじゃないよ。
ここは一体どこなんだ?………………普通じゃないぞ」
「あぁ、そういえば言ってなかったわね。
………とりあえず、そういう説明はこの屋敷の主が
してくれるからとまず屋敷の中に入りましょう?」
「…………はぁ、分かっっっったよ……」
「…………き、鬼怒? その遅れたのは悪かったと思ってるのよ?」
「じゃあ、何で遅れたんだ?」
「いや、その………………お花をね?……摘みに行きたくなって」
「いや、それ殺されなかったか?」
「え?…何言ってるの、鬼怒。
お花を摘みに行くぐらいで死んでたらおしまいよ」
「……まぁ、無事ならよかった」
今まで少し紫のことは下に見てたんだが考えを改めないとな。
まさか、幽香の花畑から花を摘んでこれるほどの力を持っていたなんて。
………………やっぱり見た目はこんな幼女だが幻想郷を作ったり、幽香の花畑から花を摘んできたりとまだまだ僕は紫には勝てそうにないな。
まぁ、紫とは戦うことなんてないと思うからいいんだけど。
「…まぁ、いいわ。
幽々子ー! 連れてきたわよ!
出てきなさい!」
紫が門の前で叫び始めた。
……なんというか………友達の家に遊びに来た小学生みたいだ。
[………紫さん。幽々子様はお身体が悪いことは知っているでしょう?
なので叫ぶのはやめてください」
…………門から出てきたのは中学生くらいの女の子だった。
髪は白く緑の服を着ていてよく似合っている。
……これじゃ本当に紫が友達の家に遊びに来たみたいだ。
「あら、妖夢ちゃん。
大きくなったわねぇ……前に会ったときはまだ自分で歩くことも出来なかったのに」
「そのようなことをおっしゃられても困ります。
ところで紫さんは幽々子様に用がおありなのでは?」
「えぇ、そうよ。 案内お願いね?」
「承知しました。
ではこちらへ……お連れの方も」
「あぁ、ありがとう」
この子はよくできた子だな。
喋り方や立ち振る舞い、話の変え方など、
ここの主はそうとう真面目な人なのだろう。
できればこの子に紫の教育をしてほしいとさえ思う。
まぁ、そこまで紫も常識がないわけじゃないだろうが。
………………門を妖夢ちゃんが開けてくれて紫が先に入り少し遅れて僕も門をくぐる。
最初に目に入ってきたのは美しい庭と教科書で見るような昔の屋敷。
そして見たことのないでかさの桜だった。
「うわぁ………あの桜は?」
「あれは【西行妖】という名の大桜です。
私が生まれたころにはすでにあの場所に生えておりました。
ですが、幽々子様からは誰であっても近づかぬようにという風に言われております。
ですので、くれぐれも近づくことのないようにお願いします」
「あぁ、分かった」
何故近づくことはダメなのか。
それを知りたい気持ちはあるが妖夢ちゃんみたいな性格なら
言う必要のないことはきっと聞いても答えてくれないだろう。
それに、あの桜からは嫌な気配がする。
まるでさとりの器の力のような………まぁ、今気にしてもしかたないか。
「では幽々子様を呼んでまいりますのでしばらくお待ちください」
「えぇ、お願い」
「あぁ、ありがとう」
さて、妖夢ちゃんの案内で部屋に通された、屋敷の中は威様が住んでる屋敷と同じくらい広いが威様の屋敷とは違い、庭がよく見えるように障子が開いていたり花が飾ってあったりとすごく風情がある。
幽香の家も落ち着くことが出来たが日本人の本能みたいなものでやはり和を感じられるこの屋敷の方がすごく落ち着くことができる。
「そういえば鬼怒、旅はどうだった?」
「一日だけの旅だからたいして面白い話もないけど………………でも普通の旅より面白い体験をしたよ」
「あら、そうなの? ぜひ聞きたいわ」
「あぁ、実はな、僕の旅は始まる前に始まってたんだ」
「………もう面白いわね」
「あぁ、そうだろ? それで………………」
紫に雫という幽霊にとっての居場所が出来る前に死んでしまった最初の幽霊のことや、目を奪われるほどに美しい花畑で出会った幽香という名のとても強い妖怪のこと。
そして、言うべきか迷ったがあの二人の過去は言わないでおくことにした。
彼女達もむやみやたらに話されたくはないだろう。
「へぇー、鬼怒も幻想郷を楽しんでるようでよかったわ」
「僕が楽しんでるように見えたか?」
「えぇ、とても」
「………そうかなぁ?」
まぁ、言われてみれば紫が見たのはあの夜の後だから、
そう見えてしまっただけかもしれない。
………………いい夜だった。
「紫~? 待たせたわね~」
「あら、遅いわよ幽々子。
客人を待たせないで頂戴。
鬼怒の旅話があったからよかったものの」
「紫さん、承知のことだと存じますが幽々子様はとてもお身体が弱いのです。
ですので少しばかりの時間はお待ちになってください」
「分かってるわよ、妖夢ちゃん。
少しからかっただけだわ」
「でも待たせたのは悪かったわ~。
ごめんなさいね~……ところでその子が妖夢を鍛えてくれる人~?」
「えぇ、幽々子も知らないわけじゃないでしょう?
妖怪の山の四天王が地底に移動したこと」
「もちろん知ってるわ~。
でも不思議よねぇ~、あのさとり妖怪が受け入れるなんて」
「そう! そこよ!
鬼怒はね単独で地底に行ってあのさとり妖怪に
鬼を地底に住まわせることを認めさせたの!
どう? 文句ないでしょ?」
紫……頼むからそんなに自慢げに話さないでくれ。
逆に僕の方が恥ずかしくなってくる。
「それなら問題ないわね~。
安心して任せられるわ~、ほら妖夢~挨拶なさい」
「まだ若く不慣れな私ですが、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします」
「あぁ、任してくれ。
僕からもよろしくね、妖夢ちゃん」
「はい。 後妖夢で結構です」
「あ、そう?」
「はい」
………………これは教えるのは楽だけど、仲良くなるのは難しいタイプだなぁ。
堅苦しいのは嫌だからせめて教えるとき以外はフランクに接してほしいんだけど、その前に僕にとって非常に重要なことを幽々子に聞かないといけない。
「一つ聞きたいことがあるんだが、いいか?」
「えぇ、いいわよ~」
「ここはいったいどこなんだ?」
「ここは冥界。 簡単に言えばあの世……と言えば分かるかしら~」
………………いや、もう驚かないぞ。
こういうことは今まで何度もあったんだ。
それに今は妖夢もいる、その前でかっこ悪いところは見せられない。
「あ、あの世………………か。
なんだか怖いな」
「あ、あとちょうちょには気おつけてね~」
「ちょうちょ?」
「えぇ、ここで見かけたちょうちょは私の能力【死を操る能力】に
よるものだから、触れば鬼怒君は死んでしまうわ~」
「………………触ったら死ぬのか?」
「えぇ、だから気おつけてね~」
「………………紫、帰してくれ」
「だめよ」
「一生のお願いだ」
「だめよ」
「………………」
………………。
妖夢は原作の妖夢を16歳くらいと
仮定して考えています。
ですので見た目は少し幼い風にイメージしていただければ幸いです。




