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僕だけの幻想郷  作者: 鬼怒
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第二.五章、あぁ 日常 ⑧

【第八話、旅の終わり】





当たり前とは何なのだろうと考えたことがある。

あくまで人間としての常識だが多くの人が共通して持つ感覚。

そういった意味では当たり前とは人間として正しいものともいえる。

でも、ゲームや映画などで見る体験したことのないものに魅力を感じ、

時には当たり前が酷くつまらないものに感じるのも事実。


なら、当たり前とは誰が決めたのだろう?

少なくともその中に【目を覚ましたら幽霊と妖怪にサンドイッチされていた】というのは当たり前を決める当たり前評議会でも議論は終わらないだろう。

………………いや、どういうこと?


「お、おい。 幽香?」


「…」


「雫?」


『…』


「………………当たっちゃってるよなぁー」



左の方にはお山が、右には左のお山より少しだけ大きいお山があり

僕の腕がその感覚をしっかりと受け取ってしまってる。

………………僕はどうすればいいんだ?

僕は普通に一人で布団に入ったはずだ。

なのにこういう状況になっているということは二人が布団に自ら入ってきたことになる。


でも、どうして?

幽香はまずこんなことしなさそうだし、雫は面白がってやりそうだが、

本当にやるほど軽い人ではないだろう。

………………まぁ、人じゃないけど。

………………ってそんなことは今どうでもいいだろ!

とりあえず布団から出ないと。


「………………」


「…」


『…』


………………ゆっくりと、だが確実に布団から手を抜いていく。

幸い、二人ともすんなりと腕を離してくれた。



「よし、いいぞ………………次は」


「…ん」


『…』



なにぃ!? 幽香が体を掴んできた!

それに今度は幽香の体がより密着して………お山がやばい。

と、とりあえず幽香から離れないと………………。


『……んぅ……鬼怒………君…………』


「………………」


なにぃ!? 今度は雫が後ろから抱き着いてきた!

こ、これじゃあ余計に出るのが難しくなってしまった。

それに…………お山に挟まれてしまった。

このままじゃあ朝を迎えたとき僕がどうなるか想像もしたくない。

………た、頼むからあまり動かないでくれ!

僕は男の子なんだ、女の子じゃないんだよ!?

ちゃんと付いてるんだからそういうことされると非常に困る!


………………いや、落ち着け。

僕は今まで死と隣り合わせの戦いを潜り抜けてきたじゃないか!

僕ならできる! まずは幽香の手をどかして………………。


「……んぅ……………あ……」



………………もう無理。















『鬼怒君? ごめんね?

少しからかいたかっただけなんだよ』


「………………」


「えぇ、そうね。

雫の言う通りだわ。

でも私達も悪かったわよ」


「………………いや、大丈夫だ。

でも、今は少し一人にしてくれ」



………………幽香と雫が抱き着いてきたときまずいとは思ったが、

僕も男なわけで、少しだけ喜んでいたのも確かだったと思う。

でも……だからこそ忘れていた。

……………………彼女たちは人間じゃない。


最初は幽香の抱き着く力が次第に強くなっていき、

最初は喜んでいたが骨がきしみ始めたときは本当に焦った。

雫は幽霊だからなのか分からないが時間が経つにつれ冷たくなっていった。

そんな二人の天国と地獄に挟まれた僕は、

幽香たちが起きるまでなんとか生き残った。



「…………うん、もう大丈夫だ。

…………でもまさか、寝てるときすら死にかけるとは思わなかったよ」


『本当にごめんね?』


「いや、気にしてないよ。

死にかけることは何度もあったしね」


「それは助かるわ。

……ところで鬼怒。 貴方これからどうするの?」


「うーん………一応、旅だからね。

他の場所にいってみるよ」


『えーもう行くのー?』


「あぁ、そうか。 雫はまだここにいたいよな。

うーん………………」


【鬼怒? 少しいい?】


「うわぁ!?…………紫、驚かせないでくれ」



紫が突然出てきた。

そういえば、紫は旅に出る前何かあったらスキマで向かえに行くって言ってたな。

………………嫌な予感がする。


【あら、ごめんなさい。

それで鬼怒。 まだ旅も始まったばっかでこんなこと言いたくないんだけど、

私の友人がね、新しく生まれた女の子を鍛えたいらしいのだけど

体が弱くて直接教えることはできないそうなの。

でも鬼怒ならある程度教えられるでしょう?

お願いできないかしら?】


「………………」


正直、僕は面白そうだし悪くない提案だと思う。

でも、今の僕には雫が取り憑いている。

雫も幽香とは離れたくないだろうし、どうすればいいかな………。


「…………紫、見えないと思うけど僕には今幽霊が取り憑いているんだ。

話せば長くなるから大事なところだけ言うけど、僕に取り憑いてる幽霊はこの幽香っていう名前の妖怪と親友で離れたくないらしいんだ。

それに、この二人には特別な事情があってね、僕もこの二人を離れさせたくない。

だから、悪いけど行けないよ」


「……別に行けばいいじゃない」


「え?」


「鬼怒が思うほど私達は弱くないし、もう会えないと思ってたのに

会えたのだからこれ以上は望まないわ。

………………それに、そのスキマ妖怪ならなんとかできるんじゃないかしら?」


【…………もし、その幽霊がまだ裁かれてないのなら幽霊という境界を壊すことはできるわ。

でも、裁かれてない幽霊なんて…………】


「なら、大丈夫だ。 紫。

その幽霊の名前は雫って言うんだけど、

彼女はまだ裁かれてないと思う。

そんなようなことを言ってたんだ」


【うーん、まぁ分かったわ。

それで鬼怒が来るなら………………それ!】


『お?………おおー。

なんか懐かしい気分』


「…………そういえば貴方、そんな顔だったわね」


『えー、ひどい。

…………でも、これで一緒にいられるね。 幽香』


「えぇ、そうみたいね」


【鬼怒、これで私のお願いは聞いてくれるかしら?】


「あぁ、僕はどうすればいい?」


【このスキマに入って頂戴。

そしたら門の前に出るわ。

そこで私が来るのを待ってて】


「あぁ、分かった」


『鬼怒君』


「ん? どうした?」


『ありがとね。 鬼怒君がいなかったらきっと今も幽香に会えずに

さまよってたと思う。 だからありがとう、鬼怒君』


「……………感謝してるわ、本当よ」


「…………あぁ、二人とも元気で」


『うん!』


「えぇ」



幽香と雫に別れを伝え、スキマの中に入る。

それにしても、紫に友達なんていたんだな。














さて、紫に聞かれたら怒られそうな鬼怒君で終わりました日常回!

結局一日だけの旅でしたがそれもまたいいものでしょう。

そして鬼怒君が次に向かうのはどこなのでしょうか!

僕だけの幻想郷 第三章【ゆらりと佇む亡霊屋敷】スタートです!

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