第二.五章、あぁ 日常 ④
【第四話、いたずらの王様】
「………………んん…」
「おはよう、幽香」
「………不法侵入よ。 出て行って」
「そ、そんな冷たいこと言わないでくれ」
「………冗談よ。 あなたがここまで運んでくれたのでしょう?」
「あぁ、流石にあのまま太陽の下にほっとくわけにいかないし、
幽香が気絶した原因が僕にあることは事実だしね」
「そう…………」
「そういえば何で幽香は僕に攻撃してきたんだ?」
「私はこの花畑の持ち主なの。
だから丁寧に育てた花たちを傷つけられるのは我慢できないし、
貴方の持つ力が大きかったから試してみたかったのも理由の一つね」
「勘弁してくれ、僕はただの人間だよ。
力なんてこれぽっちも持っていないさ」
「ただの人間に私の蹴りを止められるわけないでしょう?
それに、何をしたか知らないけど私を気絶させたこと。
…………今まで器の力が無くなったことなんてないのに……。
今すぐ再戦したいけど、流石に私も疲れたわ、お茶は飲める?」
「あぁ、頂くよ」
「分かったわ。 少し待ってて」
そういうと幽香は家の外に出て行った。
………幽香のことを鬼達に教えてあげたら喜ぶだろうな。
同じ戦闘狂同士、上手くやっていけると思う。
{………ねぇ、鬼怒君}
「ん? どうしたんだ?」
{少し探検してみない?}
「…………と、いうと?」
{いや、さっきね。 幽香が目覚める前にこの家の裏手を見てきたんだけど、すごく面白いものがあったんだ。 だから鬼怒君にも見せてあげたいなって思ったんだけどどう?}
「………………よし、タイムリミットは三分だぞ?」
{合点承知!}
「「「いざ、出発!」」」
幽香に気づかれないように家の前にある花壇の裏側に移動する。
気分は見つかったら終わりのかくれんぼだ。
「…………いいか? 雫。
雫は幽香には見えてないから雫が先に行って状況を見てきてくれ。
もし、幽香がいたら合図してくれ。 分かったか?」
{うん、任せて}
「よし、じゃあ行ってきてくれ」
僕が言うと同時に雫が移動する。
僕は確かにこの幻想郷ではあまり問題は起こしていないが、
それはこの幻想郷に住んでる住人が原因であり、
僕は元々いたずら好きなんだ。
元の世界では【いたずらの王様】なんて呼ばれてたし。
そんな、僕がいくら妖怪といえど失敗するはずがない。
「………………この緊張感は久しぶりだな。
これだからいたずらはやめられないんだ」
{………………見てきたよ}
「あぁ、それで、どうだった?」
{僕たちが向かう所に最短距離で向かえる家の右側にはいなかった。
だから、このまま直線に隠れながら移動するのがいいと思うよ}
「よし、分かった。 ありがとう。
じゃあ、作戦開始だ」
{はいはい~}
最初の花壇から移動し、二個目の花壇に隠れる。
ここからは家の裏側には花壇しかないように見えるが、
もう少し先にあるのか?
「じゃあ、次はあそこの花壇に行くぞ」
{はいはい~}
二個目の花壇から移動し、三個目の花壇に隠れる。
………………そこから見えたのは、
先ほどまでの幽香からは想像できないような笑顔で花を手入れしている幽香がいた。
「………………あぁ、なるほど。
確かにこれは…………」
{想像できないでしょ?
さっきまでの無表情からは}
「あぁ…………あんな顔をするんだな。
本当に花が好きだとよく分かるし、
幽香は笑顔が似合うのになんであんな無表情でいたんだろうな」
{………………}
「…………雫?」
{…鬼怒君、もう戻ろうか。
少し昔話を聞かせてあげるよ}
「…………分かった」
雫はそういうと来た道を戻り家の中に入っていった。
多分、雫は話してくれるのだろう、僕の知りたかったことを。




