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僕だけの幻想郷  作者: 鬼怒
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第二.五章、あぁ 日常 ③

【第三話、花畑の強き猛毒】






「!?…………はぁ、はぁ」



………………なんて威力だ。

僕は威様やさとりと戦った頃より器の力を上手く扱えている。

今の僕の防御力は並大抵のものではないはずだ。

それにもかかわらず幽香の蹴りを受け止めた右腕は今も痛みを感じてる。



「……以外ね。 弱そうに見えるのに私の蹴りを止めるなんて」



「……いきなりすぎるんじゃないか?

危うく死ぬところだったぞ」


実際前の僕なら反応できずに死んでいただろう。

身体強化もしていない状態で幽香の蹴りに気づけたのは、

今までの死と隣り合わせの戦いがあったからだ。



「あら、殺す気で蹴ったのよ?」



「……」


もう油断はしない。

幽香はまず間違いなく今まで戦った中でも一番強い。

威様やさとりのときは接近戦はなかったし、唯一萃香とは接近戦で戦ったがあれは萃香にとってはお遊びのようなものだったんだろう。 実際本気になった萃香の攻撃は見えなかったし。

だが、幽香は僕を殺す気でいる、それに蹴りだけでこの威力なら器の力も相当なものだろう。

さて、どうしたものか………………ん? 器の力?



「………幽香、少し話があるんだが聞いてくれないか?」



「いいわよ、聞いてあげるわ。

でも……命乞いとかだったら………殺すわよ?」



「安心してくれ、そんなつまらないものじゃない。

…………幽香、実は僕は必殺技を持ってるんだ」



「……は?」



「いや、だから必殺技を持ってるんだ」



「……………それで?」



「この必殺技を食らって立っていたものはいなかった。

………だから、降参してくれないか?」



「……」



「幽香は戦いがしたいんだろうけど、僕は争いは好きじゃないんだ。

それに、今ここで争ったら花畑が大変なことになるし、

こんなに美しい花畑を僕は壊したくはない。

だから、頼む。 降参してくれ」



「……何を言いいだすかと思えば、必殺技だの、降参だの。

気に入らないわね、あなたのその考え。

それに、私が一撃入れた相手を逃がすわけないでしょう?

あまり……舐めないで!!」



幽香は言い終わると同時に僕に近づいてくる。

多分、幽香は気に入らないだろう。

こんな終わり方あんまりだと思うだろう。

でも…………こんな終わり方しかないんだ。



「悪いな。 幽香」



「!?………あなた……い、いったい………なにを」



おいおい、冗談だろ。

僕は幽香の器の力を根こそぎ吸い取った、

もう幽香に器の力は残っていないはずだ。

なのに、どうして立ち上がることができるんだ!?



「………」



「…そう。 答えないならいいわ」



!? まずい。

幽香から力を感じる。

それがどのような力なのかは分からないが、

非常に強力な力ということだけは分かる。


「待て、幽香!

ここを吹き飛ばす気か!?」



「うるさいわね………今、黙らせて……!?」








ごめん、幽香。

そんなことはさせられない。


幽香に近づき首元を触り、器の力を吸い取る。



「!?………」



「おっと……さてどうするかな」



やはり幽香には器の力が残っていて、残っていた分を吸い取ったら幽香は倒れた。

器の力は確かに密着した方がより吸い取れるが、触らないでも気絶するくらいの量をとることはできるはずだ。 それなのに幽香は吸い取っても気絶しなかったということはそれだけ幽香は強いのだろう。

………………戦わなくてよかった。



{………………終わった?}



「……雫…………今までどこにいたんだ?

僕はさっき殺されるところだったんだぞ」



{あーその、ごめんね?

でも、僕がいてもしょうがないでしょ?

僕はこんなんだから攻撃もできないし、鬼怒君しか僕のことは見れないしね。

……それよりその人の方が問題だと思うよ?}



「……はぁ、それもそうか。

でもどうしよう、幽香の家とかが近くにあればいいんだけど」



{あぁ、それなら着いてきて。

………………さっき見つけたんだ}



「そうなのか?

なら、案内してくれ」



{うん。 じゃあ、行こう!}



そういうと雫はふよふよと浮きながら花畑の方に向かった。

………本音を言うと幽香とはあまり関わりたくないが、このままというわけにはいかないだろう。

………………起き上がっても殺しに来るとかはやめてね?



「………………あれ、もしかして僕が運ぶの?」



………………問題発生だ。




















{鬼怒君ー! ここだよー!}



「……あぁ、やっと着いたかぁ」



さっきまでいた場所から、10分くらいしか離れていないのだろうがいくら女の子といっても人、一人を運んで歩くのはかなり疲れる。

それに幽香はなんというか、大人の女性の体だからかなり気を使い余計に疲れた。


………………幽香の家は白いログハウスのような見た目で周りには花壇がたくさんあり色とりどりの花が咲いていた。 さっきの幽香と話したことや、家に花壇があるということは幽香があの花畑を管理しているのだろう。



{あれ、開かないな。 

……鬼怒君。 その人のポケットにこの家の鍵とか入ってない?}



「……え? 僕が探すの?」



{そうだよ? だって僕は物とかに触れないんだから、

消去法で鬼怒君しかいないじゃん}



「いや、でも……さすがにそれはまずいんじゃないか?

第一、鍵を探してる間に起きたらどうするんだ」



{まず、間違いなく殺しに来るだろうね。

でも、大丈夫だよ。 大丈夫って信じればね。

それにベッドとかで寝かした方がいいでしょ? 倒れたんだし。

さぁ、ほら早く}



………………確かに器の力を気絶するまで吸えば危険なのは紫で試したから知ってるが、

幽香の場合は幽香自身が強いからそんなに心配するほどではないとは思うが……しょうがない。

頼むから起きないでくれよ。



「………………」



{……なんか、エッチだね}



「雫、頼むから今は静かにしてくれ」



{わ、分かったよ。 ごめんね?}



器の力で雫を威圧する。

ごめん、雫。 僕だってこんなことしたいわけじゃないが、

僕は今死ぬか生きるかの勝負をしてるんだ。



「………………よし、これだな」



鍵は幽香の着ている赤いスカートのポケットにあった。

……どうやら僕は一命を取り留めたようだ。



「………よし、開いた。

ベッドは……………あれだな」



鍵を使い家に入る。

家の中に仕切りのようなものはなく、家が一つの部屋のようだ。

そして家の中にも所々に花が置いており、落ち着くにおいがする。

少し狭い気もするがすごくいい家なのは確かだ。



{……………………}



「………ん? どうした、雫」


幽香を家の隅に置いてあるベッドに寝かしたあと、

ふと、雫を見るとどこか懐かしい場所に戻ってきたようなそんな顔をしていた。



「……………雫?」



{……ううん、なんでもないんだ。

ただ、少し昔を思い出しただけだから気にしないで}



「…………そうか」



昔………………雫は過去に何があったのだろう。

雫は自分のことを幽霊だと言ったがなら、どれほどの間幽霊のままなのだろう。

それにどこか、雫は幽香をとても親しい友人のような目で見つめていた。

………………幽香が起きたら少し試してみるか。





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