第二章、訪れるは孤独な地底世界 ⑦
【第七話、二人の孤独なさとり妖怪】
「…ここがお姉ちゃんの部屋だよ」
こいしの部屋から出て五分ほどでこいしが声をかけてきた。
さて…
「こいし、よく聞け。
今からこいしの器の力を僕が吸い取ってお姉さんに流す。
多分だけど僕がこいしを認識できたのはこいしの器の力を取り込んだからなんだ。
細かい説明はしないけどそれでお姉さんはこいしを認識できる。
ここまでは分かったか?」
「うん。 大丈夫」
「よし、じゃあ僕の合図と同時に部屋に入るんだぞ。
こいしの器の力が切れるまでがタイムリミットだ。
…じゃあ、いくぞ」
こいしの器の力を吸い取りさとり妖怪に流す。
こいしは存在自体が曖昧なのが原因なのか、
器の力も少ない。 これでは本当に長くはもたないだろう。
「…よし! 繋がった。
行け こいし!」
「…!」
こいしがドアを開けて中に入る。
…今、僕にできることはこいしを一秒でも長く気絶させないようにすることだ。
「…!」
ドアを開けて中に入る。
伝えたいことはたくさんある、それに謝りたいことも。
だから私は…自分に嘘はつかない。
「…え? こいし?」
「お姉ちゃん!!」
お姉ちゃんは椅子に座り何か書き物をしていた。
でも、関係ない。
お姉ちゃんに抱き着く。
昔の血だらけのお姉ちゃんは抱きしめることが出来なかった。
でも、だからこそ自分が本当に望むことをする。
「こ、こいし? どうして?
貴方今までどこにいたの!?」
お姉ちゃんが私を引きはがして聞いてくる。
でも、そんなことをしている時間はない。
「お姉ちゃん 聞いて!
お姉ちゃんが私に言いたいことがあるのは分かってる。
でも、聞いて!」
「…分かったわ ……こいし」
「…」
いざ、話すとなるとなぜか話せない。
何で!? もう伝えることは決めたはずなのに!
…思えば、里の人達を置いて逃げたことを私が攻めたときも
お姉ちゃんは黙って聞いてくれていた。
私はまた繰り返すの?
…違う。 もう私はお姉ちゃんを苦しめたりはしない。
だから…正直になろう。
「お姉ちゃん」
「…なに? こいし」
「私ね、お姉ちゃんのことわかってなかった。
一番、私がお姉ちゃんをわかってると思ってた。
でも、今はお姉ちゃんが何を望んでるかもわからない
私のサードアイが潰されたときから、
お姉ちゃんが何を望んでるのか分からないの…」
「…こいし」
お姉ちゃんが抱きしめてくれる。
「こいし、私はこの数十年。
ずっと貴方に会うのを待ち望んでた。
…分かっていない、なんて言わないで、
貴方はもう一度私に会いに来てくれた。
もう一度私と話してくれた。
…ねぇ、こいし。 …笑ってほしいな お姉ちゃんのために」
「…うん! お姉ちゃん、じゃあね!」
頭がいたい、意識も朦朧としてる。
…あぁ、もっと正直になればよかったかな。
「……こいし…」
こいしの器の力が切れた。
こいしはちゃんと伝えられただろうか。
【ずっとそばにいて】って。




