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僕だけの幻想郷  作者: 鬼怒
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第一章、何もかもが違う幻想郷 after story ②

【何もかもが違う幻想郷 after story 鬼と鬼怒 ②







…もしあの時、萃香の【やっぱり鬼怒は面白いな!】がなかったら、

僕はどうなっていたのだろう。 

ツッコミがいないのがこれほど辛いとは思わなかった。

帰ったら紫の好きな旗付きオムライスを作ってあげよう。



さてあの後は、次から次へと出てくるご馳走を食べたり、

勇儀が勧めてきた酒を飲んだり、鬼と無謀にも腕相撲もした。

…勇儀は分かるが、萃香や威様の細い腕のどこに身体強化を使っても勝てない力があるのだろうか。

華扇なんて腕がないのにどうやって片方だけの腕で勝ったんだ、

鬼というのは本当に理不尽だ。



「…」


…今はもう真夜中で草木も眠りについている。

だいぶ酔いが回ってきていたので帰ろうとしたのだが、

萃香からどうせなら今日は泊っていけばいいと言われその言葉に甘えることにした。

正直、家に戻るのはめんどくさかったので助かった、

紫には明日オムライスを作ってあげよう。



……。



「ん…もう朝か」



ああ、よかった。 腕もあるし、足もある。 

昨日は戦わないって言ったけど今日は今日だからとかで食われるかと心配だった。



「…よう、鬼怒。 起きているな?」



「ああ、勇儀。 おはよう どうしたんだ? 朝早く」



「いやな? 昨日お前萃香に戦いを想像させるようなことを言ったんだろ?

…それで萃香が鬼の血が騒ぐ!とか言って暴れてるんだ。

だから寝起きのとこ悪いが戦ってもらうぞ」



「…ちなみに拒否とかは…」



「無理だ」



…誰か、昨日の僕に会ったら伝えてくれ。

伊吹萃香には関わるなって。



「よし! 来たな!鬼怒 お前のおかげで昨日から興奮しっぱなしなんだ!

【鬼の決闘場】という本来は鬼しか入れない場所なんだが、鬼怒は名前が鬼だから大丈夫だろ!

さぁ、早く行こう!」



「…もう! 分かったからそんなに引っ張っるなって! 手がもげる!」








「…さて戦うって言っていっても普通に戦っても鬼怒が勝てないだろ?

だからルールを決めよう」



萃香が僕の周りを回るように円を描く。

だいだい5メートルぐらいだ。



「この円から先に出た方が負けにしよう。 それと器の力を吸うのもなしだ。

ただその代わり私も能力は使わない、それでいいか?」



「ああ、いいよ」


実は器の力は誰かのを吸わなくてもある程度は溜まるみたいだ。

だからそこは問題ない。


「よし! じゃあいくぞ!」



萃香の開始の合図と共に体に身体強化をする。

…直後、3メートルはあった距離を一瞬で埋め、

萃香が左から頭を狙って殴りかかってくる。


「…!」


萃香のパンチを後ろに下がることで回避する。

…危なかった。 身体強化をしてなきゃまず避けられなかったし、

それでも結構ギリギリだ。


「おお! 避けるねぇ! ならこれはどうかな!」


萃香が低い体勢で足払いをし、

僕はジャンプすることで回避する。


「かかったな!鬼怒!」


「!!」


足払いを避けるためにジャンプしたことで隙が生まれ、

萃香の容赦のないアッパーが来る。


…でも萃香、それはこっちのセリフだ。


「くらえ! 萃香!」


「な! …ぐううう…乙女の肌になんてことするんだ…鬼怒」



萃香の拳が当たる寸前で手のひらに火の玉を作り萃香の拳に当てた。

ちなみにこの火の玉は【熱さ】をイメージして作ったため、

並の妖怪なら腕が溶けると思うんだが、どうやら火傷程度で済んでるらしい。


「どこに森が溶けた火の玉を受けて火傷で済む乙女がいるんだ」


「はは、まぁいいさ。 それより私はこれで右腕は使えない。

ちょうどいいハンデができたよ」


「…ハンデねぇ」


鬼と戦うのに、ハンデもないと思うんだが。


「さて、次は鬼怒から攻めたらどうだ?

待っててあげるよ」


「…なら遠慮なく」


…どうやら萃香は僕にチャンスをくれるらしい。

この勝負の勝ち負けはどちらかが死ぬことではなく、円の外に出たら負けということだ。

ならおのずと勝ち方が見えてくる。


…右の手のひらに力を溜める。

相手は鬼だ。 普通に戦っても勝ちはない。

なら…イメージするのは相手を動けなくすること。

さっきの攻撃で萃香は後30センチも下がれば円の外だ。

なら後は押し出せばいいだけだが、相手は鬼。

力では圧倒的に不利だ。だから抵抗できないように動けなくする。


…手のひらに力を感じる。

後は簡単、当てるだけだ。


「おおー。 器の力はそんなこともできるのか。

まさか【雷】とはねぇ。 だが対処法がないわけではないんだよ」


萃香が大きく拳を後ろに引く。


「当たって痺れるなら空気ではね返しちゃえばいいってね」


「やれるものならやってみな」


…本当にやってきそうだから恐ろしい。

ダメだよ? こんなのくらったら僕どうなるか分からないからね?


…だから


背中に手のひらのより強力な雷を作る。

イメージすれば手のひらじゃなくても作れるようだ。


「くらえ! 萃香!」


手のひらの雷を放つ。 それと同時に背中の雷を手のひらに移す。


「おらぁぁ!!」


…本当にはね返してきたよ…。

だけど。


「萃香。 僕の勝ちだ」


一発目より数倍の威力の雷を放つ。

それははね返ってきた雷も飲み込み、

やがて…。



















「いやー。 強いな、鬼怒!

いずれ鬼怒がもっと強くなったら本気でやろうな!」



「それだけは勘弁してくれ」



二撃目の雷は萃香に命中した。

…命中したんだが当たった雷が中途半端に強力だったため、

萃香が本気になってしまい、身体強化をしていたにも関わらず迫る拳は見えなかった。

あの時、勇儀が横から止めてくれなかったら死んでいただろう。


勝負は萃香は人間相手に本気になったことと雷に当たったこと、

僕は最後、萃香の攻撃を避けれなかったことで引き分けらしい。

…鬼相手に戦って生き延びたことも採点にいれてほしかった。



「なんだよぅ、つれないなー」


「まぁ、そう言わないであげなさい、萃香。

萃香と戦って引き分けなんて本当はすごいことなのよ?

それに次は私と戦うんだから」


「そうだぞ萃香。 私だって戦いたいんだからな。 つぎは私だぞ」


「…勇儀、邪魔する気?」


「…華扇、順番は守れ」


「そんな順番決めた覚えないんだけど」


「なら今から順番決めをしよう。

ちょうどいい場所もすぐ近くにあるしな」


「…いいわ、かかってきなさい」


「ああ、いかせてもらう」



「あー。 スイッチ入っちゃたかー。

ごめんな、鬼怒。 送るのは威様にやらせるから」


「ああ、助かるよ。 じゃあ、またな。 萃香」


「ああ、また」



「じゃあ、鬼怒! こっち来て!

早く来ないと死んじゃうよ!」



「分かった! 分かった!

分かったからそんなに引っ張るなって!」







「…行ったか?」


「ああ、感謝を伝えるには最高のシチュエーションだよ」


「まさか、威様が私たちにお願いをしてくるなんてな」


「ああ、威様も成長してるんだろうな」



「…さて、また酒でも飲むかな」


「あら、なら私のとっておきがあるんだけど飲む?」


「ああ、もらうよ」


「! なに二人だけで飲もうとしてるのさ!

私も飲むーーー!」


「はいはい、分かってるわよ」

















「…じゃあ、鬼怒。 後は一人で帰れるよな!」


「ああ、道案内ありがとう。

それと昨日はすごく楽しかった。 

他の三人にも伝えといてくれ」


「…う、うん。 分かった」


「じゃ、またな。 威様」




「……ぁ き、鬼怒!」


「!? び、びっくりさせないでくれよ。

それで、なんだ?威様」


「あ、あの時、私と戦ってくれてありがとう!

私を見捨てないでくれてありがとう!

…私を助けてくれてありがとう!!」


「…ああ、どういたしまして」


「!! …そ、それだけ! またね鬼怒!」



威様はそう言うと屋敷の方へとんでもない速度で走っていった。



「…なんで顔赤かったんだ?」


さぁ! 鈍感の鬼怒君で終わりました第一章!

次に向かうのはあの覚り妖怪のところです!

はたして鬼怒君は何を見て、何を感じ、誰を救うのか!


僕だけの幻想郷【第二章、訪れるは孤独な地底世界」

スタートです!!

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