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番外編.ラインと手足たち


「御主人様……ひと、一つ……お願いがあり……あります」

「? どうしたミネラ改まって……」


 カボチャ高原にある楽園の拠点にて、課金して新たな力を試した俺は休憩がてら居間でくつろいでいた。マインは家の裏手にて武器の試行、アスナは町のみんなから頂いたお礼品で豪勢な料理を作ると張り切って厨房にこもりきり。

 農作物の収穫を終えたミネラが汗を拭きながら神妙な面持ちで俺に話しかけてきた。作業を終えたばかりだからか火照った様子だ、だが、それはこれから話さんとする内容があまりに大胆なものなために動悸が収まらないからだとのちに知る。


「アスナとも話したんですが……あ……あの……マインお姉様と同じように…………私達とも一緒にお風呂に入っていっ……頂けないかと……」

「ぶふぅっ!」


 思わず、飲んでいた牛乳を吹き出す。

 余談だがーー略奪者(ピリジャー)にかけられた呪いを解呪する方法がこの牛乳だ。不思議な生態として知られるピリジャーの呪いの解除方法も不思議なもので何故か牛乳を飲むと呪いは解けるらしいーーと、あまりの動揺に関係ないことを思考してしまった。


「だっ大丈夫ですか御主人様?」

「げほっ……あ、あぁ大丈夫……だが……一体どうして……?」

「ご……御主人様はこれから遠くへ行かれるのですよね? 普段も中々一緒になれませんし……ですからお会いしている時間でもっと親密になれればと……せ……精一杯ご奉仕致しますので……」


 最初に会った時のツンとした振る舞いが幻だったかのように、ミネラはこれ以上なく照れた様子で恥じらいを見せる。

 死地へ(おもむ)く直前にして訪れた大きな問題に頭を悩ませる。


(いや悩むことなんてないマインとも一緒に入ってるんだ大した問題じゃない娘達と入浴するのに何も障害なんかないはずだだけど差別するわけじゃないがマインと一緒の時でさえ我慢してるのにアスナとミネラはもう大人の女性といっても差し支えないほど成熟しているあの身体を直視して理性が働くだろうかいや無理だマインが子供だって言っているわけじゃないぞマインにはマインなりの魅力があるそうだマインだ!)


 走馬灯のように、凝縮された思考の中で謎の言い訳をしながら活路を見出だす。

 勇気を振り絞って話してくれたミネラを無下にすることなく、傷つけずにやんわりと断る方法を。


「だ……だけどマインに怒られるんじゃないか? ほら、さっき言ってた正室的存在がどうとかってーー」

「マインお姉様には許可を取りました、お姉様も一緒なら良いと仰って下さいました」


 斜め上の回答に万策尽きる。

 結局、言い訳が思いつかなかった俺は帰ってきたマイン、アスナ、ミネラと共にみんなが仲良く入れるように製作した浴場に自ら入ることになった。


------------------------------------------


〈浴場〉


「ごごごご主人さまっ! ほほ、ほらっ! 綺麗なお風呂でっですよねっ!? あ、あははっ!」

「……(ぶくぶくぶく……)」

「…………」


 浴場では、ギクシャクして真っ赤になりながら空回った様子で浴槽で泳ぐアスナ、お湯に口元まで浸かりながら膝を抱えたまま微動だにしないミネラ、二人とも布も巻かずにいたために濡れた肢体をこれでもかと言うほど視界に入れてしまい浴槽で固まる俺……と混乱の一途を極めていた。


「お二人とも、嬉しくてはしゃぐのはわかりますけど……ラインさんは静かにご入浴中です。落ち着いてください、この後はラインさんの身体を三人で洗います。マインがしっかり教授しますので粗相の無いようにお願いします」


 その中で、慣れた様子で冷静に俺の股ぐらを陣取るマイン。落ち着いている様子だが、触れる背中越しにでもわかるくらいに高鳴る心臓の音が伝わってくる。いつもとは違うーーそう意識させるかのように、いつも以上に密着してくる。(くし)で纏めた綺麗な白色の髪が鼻先を(くすぐ)る。

 その後、マインに(いさ)められた二人は反省した様子で多少落ち着いた。だが、他愛ない話を三人でし始めるも……全員心ここにあらずといった様子だ、俺もだけど。


(身体を洗うということは二人の身体も俺が洗うんだよなそうだよなマインにもしてるんだから当然だだが今ですら理性の限界だマインも何故か必要以上に密着してくるしぎこちなく手で触ってくるし何のアピールなんだ一体何がしたいんだマイン)


 我慢できず浴槽から上がると続くように三人も上がり、退路を塞ぐように左右真正面に並ぶ。アスナとミネラは左右で俺の腕に身体を密着させ、マインは(かが)んで立て膝になりながら手で石鹸で泡立てて俺の身体をさする。


「入浴は大切です、一日の汚れを満遍なく浄化できるのですから。大切な方とご一緒できるなら尚更……至福の一時を共有できることを極上の幸せとして奉仕すべきだとマインは思っています」

「「べ……勉強になりますっ!!」」


 泡を自身の身体にも馴染ませて、擦りつけるようにしながらアスナもミネラもマインの言に耳を傾けている。

 絶え間なく押し寄せる極上の香りと、押し付けられる柔らかい粘液、浴場に微かに響く悶えるような吐息に交じる声ーー理性の糸が切れるのは時間の問題だった。


 すると、浴室外から救世主が現れた。


「アスナちゃーんミネラちゃーん! お風呂わたしもいれてーっ…………………」


 様子見に来たルルリラだった。

 彼女も綺麗で豊満な肢体を惜しげもなく晒し、浴場に飛び込んできた。風呂に入ろうとしたのだろうから当然だ。

 光景を目の当たりにし、彼女は固まる。

 そして、数秒の間を置いて……略奪者(ピリジャー)の鳴き声よりも遥かに大きな悲鳴を上げた。


「きゃあああああああっ!!? 変態っ!!? ラインさんのえっちーーーーーっ!!!!」


 ルルリラには思いきり平手打ちを食らったが、俺は彼女に感謝した。あと少し、ほんの少しでも遅かったら間違いを犯すところだった。


 その後、誤解(?)をといて五人仲睦まじくーーアスナの作った豪勢な料理を楽しんだのだった。


 


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